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香子は俺のものだ! 5

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「んっんー」

もう、なによ!
元木さんったら煩いよ。邪魔しないで。

「んっ、んんー」

……あ!

再度の不自然な咳払いで、私は現実に呼び戻された。
翔くんの腕の中から元木さんを見ると、既にお昼を完食してムスッとした表情でこちらを見ている。

「うわわっ、すみません元木さん。翔くん……翔くん!」

本当はもっと2人の世界に浸っていたいけど、そんな場合じゃなかった。
私は翔くんの腕をパンパン叩いて、離れるように訴える。

体を離して翔くんの顔を見ると、ちょっと剥れた顔をしている。

……だよね。わけわかんないよね。

「元木さん、翔くんに話していいですよね」
「ええ~?」

一応承諾を得ようと念を押すと、案の定というべきか、元木さんは不満の声を上げた。

だけどこれは譲れませんよ。
せっかく翔くんと両想いになったのに、あらぬ誤解は避けなくては!

そんな思いでじっと元木さんを見ていたら、渋々だけど折れてくれた。
……という事で、総て元木さんとのこれまでのことを簡単にだけど翔くんに話した。


「なんすか、それ。ダセー」
「なんだと、テメー」

翔くんにダサいと言われて元木さんは真っ赤になって怒った。

「ちょっと翔くん!」
「なんだよ、本当のことだろ? 第一犬好きが恥ずかしいだなんて、他の犬好きの皆さんに失礼だっての!」

「……お前」
「なんだよ」
「いや……。おい! そろそろ時間だ。しのちゃん、悪いけど移動するよ!」
「あ……! ふわぁい……。モグモグ」

2人が揉めてる間に少しでもと思って、私はおにぎりを頬張っていた。それをごくんと飲み込んで、急かす元木さんの元へと走った。もちろん翔くんの手を引っ張って。

「……たくよー。何でお前こんなことに付き合ってんだよ」
「いいじゃない面白いし。……それに、元木さんのおかげで翔くんの彼女になれたようなものでしょ? 私は感謝してるんだけどなあ」
「はあ? なにも元木さんのおかげとかじゃないだろ」

私に引っ張られながら、翔くんはムッとしたような表情になる。
……可愛い♡

「じゃあさ、翔くん今まで私のこと特別に好きだって、ちゃんと気づいてたの?」
「え……」

立ち止まり、振り返って詰め寄ると、翔くんの目が一瞬泳いだ。

ほらね。
やっぱり意識してくれてなかったんじゃない。

「……でも香子のすることみんな、可愛いって思ってたし……」

え?

不貞腐れたような表情だけど頬がうっすら赤い。
おかげで私まで頬が熱くなった。
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