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意識しあうイケメン 2
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「どうしたんだ、お前。家、こっちじゃないだろ」
余程私がこの時間にここにいることが信じられないみたいで、翔くんは目を真ん丸にして私を見ていた。
「だって! 翔くんと一緒に登校したかったんだもん!」
「……え? なにお前、そのためにわざわざここまで来たわけ?」
「そうだよ。ホメて!」
胸を張ってそう言うと、翔くんは可笑しそうに笑ったけど、一緒にいる女の子たちの顔が険しくなった。
「香子の行動力には参るな」
「えへへー」
「おーい、道の真ん中で立ち止まってんなよ」
突然の後ろからのブーイングに、ハッとして反射的に謝り後ろを向いた。
……向いて唖然。
だって、だってそこにいたのは元木さんだったんだもん。
そんでもって翔くんと同じように、女の子を2人はべらせていた。
「……相変わらずのモテっぷりだな。女の子四人もつれて歩くなんて、すご」
「そうですか? 元木さんこそ毎日違う女の子とデートしてるって聞いてますよ。さすがじゃないですか」
……なんだろう、この状況は。
学校のモテ男子2人が睨み合っている。
……こわ。
だけどこの2人、本当に顔だけはもの凄くいいよね。
そんな思いでしみじみと元木さんを見ていたら、パチッと目が合いニコッと笑われた。私はどう反応していいのか分からなかったので、思わずパチパチと瞬きをしてしまう。
「瑛太~、もういいから、行こ」
甘えるように、一緒に登校していた女の人が元木さんの腕を掴んだ。それに一瞬目を細めた元木さんが「そうだな」と言って「お先に」と学校に向かって歩き出した。
別にタイプというわけでは無いけど、確かに望の言う通り見ているだけならそれはそれで楽しめると言うのは間違いなさそうだ。
「元木さんってさー、確かにかっこいいかもしれないけど、なんだか最近翔のことライバル視し過ぎてると思わない?」
「だよね、だよね! 私もそう思ってた。さっきみたいに突っかかってくることも増えてきてるし。自分よりモテる翔に嫉妬してんじゃないの~?」
ふーん、そうなんだあ……。
上級生が、下級生にそんなことで嫉妬するのか。
なんだか可笑しい。
……考えようによっては、元木さんって可愛い人なのかも。
上級生の大人っぽい人を中心に、3人は元木さんの分析に夢中だ。おかげで翔くんの周りはがら空きになっている。ラッキー♪
もちろん私はソッコーで翔くんの腕を取り、ぴたっとくっついた。
「ちょっとあんた! なにどさくさに紛れて翔にくっ付いてんのよ!」
「キャー、翔くんこわ~い」
綺麗な人が本気で睨むとマジ怖い。
だけど絶対に離れる気は無いから、私はしっかりと翔くんにしがみ付いた。
「いいでしょ? 翔くん」
上目づかいで翔くんに一生懸命訴えると、翔くんは楽しそうに笑ってくれた。
「全然いいよ。さ、急がないと遅刻するぞ」
「そうだよー、遅刻するよ?」
「あんたねー!」
翔くんにしがみ付いたまま忠告してみると、案の定女の子たちは怖い顔で私に文句を言った。
道中小競り合いをしながらなんとか学校に到着。
教室に入ると並木さんを始め、クラスの子が一斉に私たちを取り囲んだ。もちろん私の腕は翔くんに絡んだままだ。その腕を見る女子の眼が怖い。
だけど流石翔くん。このくらいの空気は慣れたもののようで、場の雰囲気を叩き壊すような極上の笑みを作った。
「おはよう、みんな」
キラキラな笑顔で放たれた極甘な『おはよう』は、恐ろしい破壊力があった。それはこの場で不機嫌に眉間にしわを寄せていた女の子たちの顔を一斉に緩めるという魔法のような力だ。
「相変わらずすごいねー。翔くんって」
呆れ口調で言う望に、私はハハッと笑った。
「それにしても初めてじゃない? 翔くんと一緒に登校するのって」
「あ~、まあね」
翔くんと一緒に登校したいから早起きして待ち伏せたなんて言ったら、望には心底呆れられそうなので笑って流した。
余程私がこの時間にここにいることが信じられないみたいで、翔くんは目を真ん丸にして私を見ていた。
「だって! 翔くんと一緒に登校したかったんだもん!」
「……え? なにお前、そのためにわざわざここまで来たわけ?」
「そうだよ。ホメて!」
胸を張ってそう言うと、翔くんは可笑しそうに笑ったけど、一緒にいる女の子たちの顔が険しくなった。
「香子の行動力には参るな」
「えへへー」
「おーい、道の真ん中で立ち止まってんなよ」
突然の後ろからのブーイングに、ハッとして反射的に謝り後ろを向いた。
……向いて唖然。
だって、だってそこにいたのは元木さんだったんだもん。
そんでもって翔くんと同じように、女の子を2人はべらせていた。
「……相変わらずのモテっぷりだな。女の子四人もつれて歩くなんて、すご」
「そうですか? 元木さんこそ毎日違う女の子とデートしてるって聞いてますよ。さすがじゃないですか」
……なんだろう、この状況は。
学校のモテ男子2人が睨み合っている。
……こわ。
だけどこの2人、本当に顔だけはもの凄くいいよね。
そんな思いでしみじみと元木さんを見ていたら、パチッと目が合いニコッと笑われた。私はどう反応していいのか分からなかったので、思わずパチパチと瞬きをしてしまう。
「瑛太~、もういいから、行こ」
甘えるように、一緒に登校していた女の人が元木さんの腕を掴んだ。それに一瞬目を細めた元木さんが「そうだな」と言って「お先に」と学校に向かって歩き出した。
別にタイプというわけでは無いけど、確かに望の言う通り見ているだけならそれはそれで楽しめると言うのは間違いなさそうだ。
「元木さんってさー、確かにかっこいいかもしれないけど、なんだか最近翔のことライバル視し過ぎてると思わない?」
「だよね、だよね! 私もそう思ってた。さっきみたいに突っかかってくることも増えてきてるし。自分よりモテる翔に嫉妬してんじゃないの~?」
ふーん、そうなんだあ……。
上級生が、下級生にそんなことで嫉妬するのか。
なんだか可笑しい。
……考えようによっては、元木さんって可愛い人なのかも。
上級生の大人っぽい人を中心に、3人は元木さんの分析に夢中だ。おかげで翔くんの周りはがら空きになっている。ラッキー♪
もちろん私はソッコーで翔くんの腕を取り、ぴたっとくっついた。
「ちょっとあんた! なにどさくさに紛れて翔にくっ付いてんのよ!」
「キャー、翔くんこわ~い」
綺麗な人が本気で睨むとマジ怖い。
だけど絶対に離れる気は無いから、私はしっかりと翔くんにしがみ付いた。
「いいでしょ? 翔くん」
上目づかいで翔くんに一生懸命訴えると、翔くんは楽しそうに笑ってくれた。
「全然いいよ。さ、急がないと遅刻するぞ」
「そうだよー、遅刻するよ?」
「あんたねー!」
翔くんにしがみ付いたまま忠告してみると、案の定女の子たちは怖い顔で私に文句を言った。
道中小競り合いをしながらなんとか学校に到着。
教室に入ると並木さんを始め、クラスの子が一斉に私たちを取り囲んだ。もちろん私の腕は翔くんに絡んだままだ。その腕を見る女子の眼が怖い。
だけど流石翔くん。このくらいの空気は慣れたもののようで、場の雰囲気を叩き壊すような極上の笑みを作った。
「おはよう、みんな」
キラキラな笑顔で放たれた極甘な『おはよう』は、恐ろしい破壊力があった。それはこの場で不機嫌に眉間にしわを寄せていた女の子たちの顔を一斉に緩めるという魔法のような力だ。
「相変わらずすごいねー。翔くんって」
呆れ口調で言う望に、私はハハッと笑った。
「それにしても初めてじゃない? 翔くんと一緒に登校するのって」
「あ~、まあね」
翔くんと一緒に登校したいから早起きして待ち伏せたなんて言ったら、望には心底呆れられそうなので笑って流した。
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