たとえ神様に嫌われても

らいち

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異変

あたしの本音

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眩しい太陽。城田君は、明るい陽射しが良く似合っていた。

彼はサッカー部に入ったようで、グラウンドでみんなに囲まれてボールと戯れていた。
 
遠くから見る彼は凄く好印象で、みんなが彼を好きになる理由も分かるような気がする。


「……これだけ離れていれば、平気なんだけどなあ」 
 
青い空、白い雲の輝かしさに反比例して、あたしの心は曇って行く。
 

本当にあたしは純粋に人間のままなんだろうか?
 
今はまだこの程度で済んでいるけれど、もしかしたらこの先、大石君の悪魔の血が気になってくる事が出てくるんじゃないだろうか。
 

……大石君に捨てられてしまったのに……。


「いづみ、帰ろっか」
 
真奈美と千夏ちゃんが支度を済ませてあたしを呼んだ。

「うん」
 
グラウンドの側を通ると元気な声がこちらまで届く。手前ではサッカー部が練習をしていて、城田君の姿もあった。
 
真奈美たちもよく彼と話をするので、いつもなら手を振って声をかけたりするのだけど、今日はあたしの態度を見たせいかグラウンドを見ることなく他愛ない話で盛り上げてくれていた。
 
気を遣ってくれる2人に、口には出さなかったけど申し訳なさと嬉しさを感じていた。

いつものように校門前で千夏ちゃんと別れ、その後真奈美とも別れて1人家路につく。
 
1人になってしまうと考えるのはもう大石君のことばかりだ。

自分がもし悪魔になるとしたら……と考えると、ぞっとするし、怖いし嫌だ。
だけどこのままずっと、大石君に会えないのはもっと嫌……。
 
自分が本当はどうしたいのかも分からない。
 
会いたい……。
会いたいよ、大石君……。
 

立ち止まって俯くと、頬を伝って涙がこぼれた。


「しけた顔してるわね。サモンと一緒」
 
びっくりして顔を上げると、視線の先にエルザがいた。
ダークブラウンの長い髪をなびかせて、腕を組んでこちらを見ている彼女は相変わらず冷やかで美人だ。

「サモンがあなたの前からどうして消えたか分かる?」
 
あたしは力なく首を振った。
そんなあたしに、彼女は冷静に話を続けた。

「あなたを、魔界に引き込んじゃいけないと思ったからなのよ」
「……え?」
 
エルザの意外な言葉に、落とした視線を上げて彼女を見た。

「サモンがあなたに血を入れたのは、あなたを助けるため仕方なくって事は分かっているわよね?」
「……はい」
「それをサモンは、あなたを助けるために利用したの」
「え……?」
 
……利用? 
あたしを助けるため……?

「魔界で、あなたが問題視されていたのは聞いてるわよね?」
「……はい」
「だからサモンは皆があなたに危害を加えないように、あなたの中に悪魔の血が入っている事を知らせたのよ」
 
そこまで言うと、一旦言葉を区切ってあたしを見た。

「だけどあなたはそれがショックだったのでしょう? その事に気が付いたサモンが、これ以上あなたを魔界に引きずり込まないようにとあなたの前から姿を消したのよ」
 
大石君の本音に初めて気が付いた。
あの時の寂しそうな彼の顔は、あたしにはもう二度と会わないと、あの時点で決めてしまったからなんだ……。
 
だけどでも、彼の本音を聞かされても、自分の気持ちは渦を巻いてますます分からなくなってしまう。

悪魔にはなりたくないと思う恐怖感と、大石君と離れたくないという焦燥感。


それは、矛盾しているようでどちらもあたしが強く思う気持ちなんだ。
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