たとえ神様に嫌われても

らいち

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異変

悪魔の血

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「いづみ、どう? 気分は」
 
ドアに向けていた視線をこちらに向けて、大石君があたしの顔を覗き込んだ。

「あ、うん。大丈夫……。大石君、あの……ここって?」
「……魔界。俺の部屋だ」
「え!?」
 
驚いてつい素っ頓狂な声を上げてしまった。
 
魔界? 
何で? 
びっくりして大石君を凝視すると、気まずそうに苦笑いをする。

「……お前の事は以前からここで色々問題になっててな。……俺の行動にもチェックが入ってて……」
 
大石君の言葉に緊張が走った。もちろんよくよく考えてみれば、エルザが刺客を度々送ってきたことからも容易に想像はついたはずなんだけど。
 
自分の事が魔界で問題視されていた……。
そうあらためて聞かされると、ちょっと怖い。

「で、さ。」
「うん」 
 
言葉を続ける事を躊躇し、あたしを窺う大石君に促すように返事を返した。
 
大石君は一呼吸おいて、言葉を続ける。

「お前、吸血鬼に血を吸われたろ?」
「……うん」
 
あたしはその時の事を思い出して怖くなる。もしあの時、大石君が助けに来てくれなかったらどうなっていたのだろう。

「あの時……実はいづみ、結構血を吸われていて危険な状態だったんだよ」
「……え」
 
そう……だったんだ。
意識を失ってしまっていたから、自分がどういう状況になっていたのか分からなかった。

「……それで、いづみを助けるために」
 
大石君はいったんそこで話を区切って息を吐き、あたしを見る。
そして――、


「俺の血を、お前に与えた」


「……え?」
 
すごく、慎重な告白。

だけどあたしには、大石君が自分に何を伝えたいと思っているのか理解できなかった。
 
大石君は悪魔だから悪魔の血と言うこと……? 
それを、わざわざ言うって事は……。
しかもこんな、窺うような慎重な言い方……。

「あたし……」


「いづみの体の中には、少量だが悪魔の血が混じっている」

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