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夏休み
真夜中の誘い
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「いづみ、いづみ」
肩を揺さぶられて目を覚ますと、暗い部屋の中に大石君が立っていた。
どうやらまだ真夜中だ。
「……何……? どうしたの……」
深い眠りのさなかに起こされて、頭がぼんやりしている。体も眠気に引きずられてだるい。
「外に行かないか? 普段出来ないデートをしよう」
「……普段出来ないデート?」
「そう。空中散歩とか。羽を広げてそこら辺を飛ぼう。夜中だから誰にも見られないよ」
ホラ、と言って、大石君があたしの腕を引っ張る。
眠くて仕方がないけど空中散歩って言葉につられてベッドから降りた。
大石君に手を引かれて外に出る。だけどずんずん前に歩いて行くだけで、一向に飛んでくれる気配がない。しかも彼は手を引っ張って進むだけで、先ほどから一言も発していないのだ。
何だか普段の彼と違うようで戸惑った。
「大石君……?」
「もうちょっと上まで歩こう。そっから飛び立つんだ。ホラ、急いで」
たまらず大石君に呼びかけると、更に腕を引っ張られて早く歩くようにと急かされた。
急ぎ足になる中、後ろから何かが聞こえる。
「……し、……し」と。
その音はだんだんと大きくなり、音が近づいてきたかと思ったら強い力で後ろから引っ張られた。そしてその瞬間、あたしを引っ張っていた大石君の力が突然緩み、反動で勢いよく転びかけ思わず体を強ばらせた。
「いづみ!!」
え? と、思った瞬間、勢いよく何かにタックルされ地面に転がり落ちた。
「大丈夫か、怪我は?」
「えっ……。大……丈夫。あ、あの……?」
突然目が覚めたかのような、クリアな感覚にびっくりした。
……あれ? あたし今……。
周りを見渡すと、どうやら別荘の脇の道を上ってきたようだ。もう少しで崖のような場所に出るところで、大石君に抱き留められて地面に転がっている。
「えっと……、確か空中散歩って……」
どうしたんだろう。
そう言われた事は覚えているのに、他がぼんやりして何も思い出せなかった。
肩を揺さぶられて目を覚ますと、暗い部屋の中に大石君が立っていた。
どうやらまだ真夜中だ。
「……何……? どうしたの……」
深い眠りのさなかに起こされて、頭がぼんやりしている。体も眠気に引きずられてだるい。
「外に行かないか? 普段出来ないデートをしよう」
「……普段出来ないデート?」
「そう。空中散歩とか。羽を広げてそこら辺を飛ぼう。夜中だから誰にも見られないよ」
ホラ、と言って、大石君があたしの腕を引っ張る。
眠くて仕方がないけど空中散歩って言葉につられてベッドから降りた。
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何だか普段の彼と違うようで戸惑った。
「大石君……?」
「もうちょっと上まで歩こう。そっから飛び立つんだ。ホラ、急いで」
たまらず大石君に呼びかけると、更に腕を引っ張られて早く歩くようにと急かされた。
急ぎ足になる中、後ろから何かが聞こえる。
「……し、……し」と。
その音はだんだんと大きくなり、音が近づいてきたかと思ったら強い力で後ろから引っ張られた。そしてその瞬間、あたしを引っ張っていた大石君の力が突然緩み、反動で勢いよく転びかけ思わず体を強ばらせた。
「いづみ!!」
え? と、思った瞬間、勢いよく何かにタックルされ地面に転がり落ちた。
「大丈夫か、怪我は?」
「えっ……。大……丈夫。あ、あの……?」
突然目が覚めたかのような、クリアな感覚にびっくりした。
……あれ? あたし今……。
周りを見渡すと、どうやら別荘の脇の道を上ってきたようだ。もう少しで崖のような場所に出るところで、大石君に抱き留められて地面に転がっている。
「えっと……、確か空中散歩って……」
どうしたんだろう。
そう言われた事は覚えているのに、他がぼんやりして何も思い出せなかった。
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