もふもふ妖は、金の守り人

らいち

文字の大きさ
上 下
10 / 25
第二章

みつ姫かもしれない人

しおりを挟む
そして放課後。

「千秋ー、帰ろう」

いつもよく一緒に帰る乃依ノイちゃんたちが声を掛けてくれた。
だけど今日は須和君に頼まれて野田さんを誘う事になっている。

「あー、ごめん。今日ちょっと用があるの」
「ふーん。じゃ、また。明日ね」
「ごめんね、バイバイ」

乃依ちゃんたちが教室を出たのを見てから、帰り支度をしている野田さんの席に向かった。

「野田さーん、一緒に帰らない?」
「え?」

ほぼ、話をしたことの無い私に誘われて、一瞬キョトンとしたけれど、すぐに「いいよ」と笑って一緒に教室を出た。
帰る方向を聞いてみたら、途中まで一緒らしい。

「私ね、野田さんとお話してみたいなーって思ってたんだ。可愛いから」
「ホントに?」
「ホント、ホント」

ちょっぴり嬉しそうな顔をして小首を傾げる野田さん。
満更でもなさそうだ。

「良かったら、今からお家に遊びに行ってもいい?」
「いいわよ」
「ホント? やったー」

意外とすんなりいった事にホッとした。野田さんと他愛ない話をしながら歩いていて、ふっと何気なく振り返ったとたん、スッと誰かが建物に隠れたような気がした。

……?

気になったので、じーっとそちらを見続けたけど、特に変な気配はない。

『どうした? 八木』
『ううん……。気のせいみたい』

「八木さん?」

心で会話をしていたら、急に野田さんに話しかけられて慌てた。

「えっ、あ、何?」
「だからここ。私の家」

あ、着いてたんだ。

野田さんの家は、住宅街にあるどこにでもありそうな普通の一軒家だ。

「どうぞ」
「お邪魔しまーす」
「あらあら、お友達?」
「こんにちは。同じクラスの八木です」
「こんにちは。美和と仲良くしてくれてるの? ありがとうね」
「あっ、はい」
「八木さん、部屋こっちだから」

野田さんについて部屋に入る。すぐ後に、野田さんのお母さんが入ってきてジュースとお菓子を持ってきてくれた。

「どうぞ、ごゆっくり」
「ありがとうございます」

お母さんが部屋を出て行って2人きりになって、まずは何から話したらいいのかな……と、少し悩んだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

処理中です...