不思議な縁に導かれました

らいち

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第二章

労ってくれるの? 3

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 気を取り直して何か言いたい事があるのかと黙って待つこと数十秒、高科さんはガシガシと頭を掻いてため息を吐き、視線を横に逸らした。

「……いや、その。今日研究所でみんなが言っていたんだが、仕事を頑張って疲れたりした時は、気分転換に出掛けたりしてリフレッシュするものなんらしいな」

 何だろう、藪から棒に。

「そうですね」
「……じゃあ、行くか?」
「え? どこにですか?」
「何処でもいい。いつも頑張ってくれているから、君にも気分転換が必要じゃないかと思って」
「高科さん……」

 もしかしてそれは、私を労ってあげたいと思っているという事?

 思ってもみなかった高科さんの嬉しい申し出に、またさっきの甘くて温かい気持ちがぶわっと胸の奥から溢れ出す。

「はい、行きたいです!」

 思わず意気込んで返事をしてしまった私の大きな声に、高科さんは一瞬目を丸めて、そして楽しそうに、でも声は出さずに笑った。

 ……とくん。

 ああ、どうしよう。綺麗な顔でこんな風に楽しそうに優しく反応を返されると、今まで以上にうれしくなっちゃうし、それどころか男の人として本格的に意識してしまいそうで怖くなる。

「じゃあ、土曜日に。行きたいところ、決めておいてくれ」
「えっ、でも土曜日って明後日ですよね。大丈夫ですか?」
「何がだ?」
「だってお仕事忙しいのでしょう? 今週は、しっかり休んだ方がいいんじゃないですか?」

「ああ、そういう事か。大丈夫だ。今日で成果が見えてきたから、明日はこんなに遅くはならない。だから行きたい所、探しておいてくれ」

「は、はい」

 どうしよう、どうしよう。めちゃくちゃ嬉しい!

 高科さんにお休みの挨拶をした後、私は階段を駆け下りて自室に飛び込んだ。スマホを手に取り、何処に行こうかと検索を始める。

 やっぱり高科さんも一緒に楽しめるところがいいわよね。買い物とかそういうものは、興味なさそうだもの。
 そうだ。犬や猫との触れ合い広場なんてどうだろう。場所によっては、ピクニック気分も味わえそうだ。

 調べてみたら、そう遠くない所に一カ所あった。公園の一角に設けられていて、小さなカフェも隣接している。癒しプラス気分転換には、もってこいのようだ。

 デートみたいだな。

 不意に浮かんだ自分の言葉に、自分で恥ずかしくなってしまった。パンパンと両頬を叩き、明日の準備をして布団に潜りこむ。

 明日起きたら、高科さんに提案してみよう。気に入ってくれたらいいなと思いながら、私はゆっくりと目を閉じた。
  
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