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エピローグというより番外編?
来てほしくない理由
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そんな私たち二人を見て、ヒロくんは慌てて両手を振った。勘違いされては困ると思ったんだろう。焦ったように説明を始めた。
「そうじゃなくて。俺んち、兄と弟がいるから、男嫌いの未花ちゃんにはあんまりいい環境じゃ無いと思うからっ」
「え? ヒロくんって、一人っ子じゃないの?」
「違うよ。男ばかりの三兄弟」
「知らなかった……」
ヒロくんから兄弟の話を聞いたことがなかったから、てっきり私と同じ一人っ子なのかと思ってた。
「そうかあ、それじゃあ未花には、秋永君ちの訪問は無理かなー」
……ん?
「うん。だから、無理して俺んちに来ることないよ」
んん? 何それ……?
「そうだね。未花のお母さんとは仲良くなっているみたいだから、未花んちでデートしてればいいか」
ちょっと待って!
「大丈夫だよ! だって、ヒロくんの兄弟でしょ!?」
「え!?」
ヒロくんどころか雅乃にまでびっくり顔で振り返られて、一瞬たじろぐ。
だってさ、二人にムリムリ言われてムッとしたんだもん。
「だ、だからヒロくんのお兄さんたちなら、変な事するわけないでしょ」
「え? それは、そうだけど」
「うわー、そっかあ。未花も知らないうちに成長したんだねぇ」
雅乃にしみじみとそう言われて、なんだかバツが悪かった。だってさ、何となく勢い的なものがあったから。
チラリとヒロくんを窺うと、何故だか彼は私とは違う意味で落ち着かないようだった。
「ヒロくん?」
「え? な、何?」
ビクッとしたその感じは、やっぱりいつもの彼とは違っていた。飄々とした雰囲気が微塵も無くて。
「……もしかして秋永君、未花に家に来て欲しくないとか」
「そうなの?」
「や! そうじゃなくてっ」
また二人に正面からマジマジと索るように見られて、ヒロくんの顔から汗がにじみ出る。
「あ~、もう分かったよ! 来て欲しくないんじゃ無くてっ」
ヒロくんはそう言いながら、頭をガシガシと掻いた。
「俺が勝手に心配してるだけ。兄貴は体も態度もデカいから、未花ちゃん怖がりそうだし。弟は弟で可愛いっつーか、人見知りしない奴だから、未花ちゃんに興味津々になりそうだから」
「え……」
「それって、心配と焼き餅の両方が入り乱れてるってこと?」
雅乃の突っ込みにヒロくんの顔が微妙なものになった。
「悪いかよ」
「ぷはっ。悪くは無いけど……」
「心配しすぎだよ、ヒロくん。確かに私は男嫌いだけど、怖いとかいうのとは違うし。それにいくら可愛くても、弟くんの事を好きになったりなんかしないよ」
「…………」
「あ、でもヒロくんがダメって言うなら無理にとは言わないけど」
「えっ? ちが……っ! ……ムリじゃないよ。そんなんじゃないから……っ」
ヒロくんは慌てて胸の前で両手を振った後、ガシガシと頭を掻いた。そしてブツブツと何やら呟いた後、パッと顔を上げる。
「未花ちゃんとはずっと付き合っていきたいと思っているんだ。だから……、だから無駄な心配や焼き餅は封印することにするっ!」
「ヒロくん……」
「と言う事で、未花ちゃんを俺んちに招待します!」
「ヒャーッ、男前!」
雅乃が興奮して、ヒロくんの肩をバシバシと叩いた。
「いって!」
「あはは、ごめん、ごめん。てかさ、別に最初から家族に引き合わせる事を考えなくてもいいんじゃない?」
「でも俺んち、母さん専業主婦だし。兄貴たちの行動は予測不能だから」
「……お母さん、どんな人?」
「ん? 普通だよ。あ、息子の彼女に対してどう思うかって心配なら大丈夫。兄貴が初めて彼女を連れて来た時、母さん普通にその子と仲良くなってたから。その点の心配なら全然大丈夫」
「そっか」
男兄弟がいたことは盲点だったけど、お母さんが気さくな人なら安心だ。ホッとして微笑むと、雅乃も「良かったね」と、私の肩を叩いた。
「そうじゃなくて。俺んち、兄と弟がいるから、男嫌いの未花ちゃんにはあんまりいい環境じゃ無いと思うからっ」
「え? ヒロくんって、一人っ子じゃないの?」
「違うよ。男ばかりの三兄弟」
「知らなかった……」
ヒロくんから兄弟の話を聞いたことがなかったから、てっきり私と同じ一人っ子なのかと思ってた。
「そうかあ、それじゃあ未花には、秋永君ちの訪問は無理かなー」
……ん?
「うん。だから、無理して俺んちに来ることないよ」
んん? 何それ……?
「そうだね。未花のお母さんとは仲良くなっているみたいだから、未花んちでデートしてればいいか」
ちょっと待って!
「大丈夫だよ! だって、ヒロくんの兄弟でしょ!?」
「え!?」
ヒロくんどころか雅乃にまでびっくり顔で振り返られて、一瞬たじろぐ。
だってさ、二人にムリムリ言われてムッとしたんだもん。
「だ、だからヒロくんのお兄さんたちなら、変な事するわけないでしょ」
「え? それは、そうだけど」
「うわー、そっかあ。未花も知らないうちに成長したんだねぇ」
雅乃にしみじみとそう言われて、なんだかバツが悪かった。だってさ、何となく勢い的なものがあったから。
チラリとヒロくんを窺うと、何故だか彼は私とは違う意味で落ち着かないようだった。
「ヒロくん?」
「え? な、何?」
ビクッとしたその感じは、やっぱりいつもの彼とは違っていた。飄々とした雰囲気が微塵も無くて。
「……もしかして秋永君、未花に家に来て欲しくないとか」
「そうなの?」
「や! そうじゃなくてっ」
また二人に正面からマジマジと索るように見られて、ヒロくんの顔から汗がにじみ出る。
「あ~、もう分かったよ! 来て欲しくないんじゃ無くてっ」
ヒロくんはそう言いながら、頭をガシガシと掻いた。
「俺が勝手に心配してるだけ。兄貴は体も態度もデカいから、未花ちゃん怖がりそうだし。弟は弟で可愛いっつーか、人見知りしない奴だから、未花ちゃんに興味津々になりそうだから」
「え……」
「それって、心配と焼き餅の両方が入り乱れてるってこと?」
雅乃の突っ込みにヒロくんの顔が微妙なものになった。
「悪いかよ」
「ぷはっ。悪くは無いけど……」
「心配しすぎだよ、ヒロくん。確かに私は男嫌いだけど、怖いとかいうのとは違うし。それにいくら可愛くても、弟くんの事を好きになったりなんかしないよ」
「…………」
「あ、でもヒロくんがダメって言うなら無理にとは言わないけど」
「えっ? ちが……っ! ……ムリじゃないよ。そんなんじゃないから……っ」
ヒロくんは慌てて胸の前で両手を振った後、ガシガシと頭を掻いた。そしてブツブツと何やら呟いた後、パッと顔を上げる。
「未花ちゃんとはずっと付き合っていきたいと思っているんだ。だから……、だから無駄な心配や焼き餅は封印することにするっ!」
「ヒロくん……」
「と言う事で、未花ちゃんを俺んちに招待します!」
「ヒャーッ、男前!」
雅乃が興奮して、ヒロくんの肩をバシバシと叩いた。
「いって!」
「あはは、ごめん、ごめん。てかさ、別に最初から家族に引き合わせる事を考えなくてもいいんじゃない?」
「でも俺んち、母さん専業主婦だし。兄貴たちの行動は予測不能だから」
「……お母さん、どんな人?」
「ん? 普通だよ。あ、息子の彼女に対してどう思うかって心配なら大丈夫。兄貴が初めて彼女を連れて来た時、母さん普通にその子と仲良くなってたから。その点の心配なら全然大丈夫」
「そっか」
男兄弟がいたことは盲点だったけど、お母さんが気さくな人なら安心だ。ホッとして微笑むと、雅乃も「良かったね」と、私の肩を叩いた。
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