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第二章
今度は何?
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「ちょっと、いい?」
授業が終わり先生が教室を出た後、私は素早く美代の席の前に立った。美代はギョッとした顔をして固まり、うろうろと視線を彷徨わせる。
「あの話しが嘘だって証拠、見付かったからね」
「…………」
美代は無言で唯々悔しそうな表情を見せる。それはどう見ても、肯定を意味するものだ。私はちょっぴり顎を上げて不敵に笑い、自分の席へと戻った。
デマだと分かればこれ以上話を広げる必要もない。こんな酷いデマをヒロくんに聞かせることもないし。もう彼女たちのことは気にせずに、放っておこうと思った。
お昼休み、今日は私と雅乃はお弁当を持ってきていた。ヒロくんへのおすそ分けも私を送り迎えしてくれているお礼だから、それは今でもちゃんと続いている。
で、今ヒロくんは、椎名君と一緒に売店へと行っていた。
「遅いね、秋永君たち。混んでるのかなあ」
「うん、そうだね……。あ、椎名君!」
なぜだか椎名君だけが一人で戻ってきた。なんとなく後ろが気になるのか、チラチラと振り返りながら教室に入ってくる。
「椎名君、ヒロくんは?」
「あ? うん、向こうで大桃達に捕まってた」
「大桃さんに?」
思わずガタッと席を立った。
あれから特に何も言ってこなかったから、てっきり嫌がらせを諦めたと思っていたのに、今度はヒロくんに何かしかけてるの?
「未花?」
「ごめん、ちょっと見てくる」
私に嫌がらせしたみたいに、ヒロくんに何か変なこと吹き込んでたら許さないんだからね!
怒りのあまりドタドタと速足で廊下を急ぐ。売店近くまで行くと、ヒロくんが例の四人に取り囲まれていた。
「ヒロくん!!」
「あ、未花ちゃん」
「ヤバッ!」
美代たちは、私に見られたことで狼狽し、一目散に走り出した。
「ちょっと! 美代、柑奈……!! ……なんなのあの子たち……」
私が大声で呼んでもお構いなしに、すごい勢いで視界から消えていなくなってしまった。振り返ると、ヒロくんが苦笑いを零している。
授業が終わり先生が教室を出た後、私は素早く美代の席の前に立った。美代はギョッとした顔をして固まり、うろうろと視線を彷徨わせる。
「あの話しが嘘だって証拠、見付かったからね」
「…………」
美代は無言で唯々悔しそうな表情を見せる。それはどう見ても、肯定を意味するものだ。私はちょっぴり顎を上げて不敵に笑い、自分の席へと戻った。
デマだと分かればこれ以上話を広げる必要もない。こんな酷いデマをヒロくんに聞かせることもないし。もう彼女たちのことは気にせずに、放っておこうと思った。
お昼休み、今日は私と雅乃はお弁当を持ってきていた。ヒロくんへのおすそ分けも私を送り迎えしてくれているお礼だから、それは今でもちゃんと続いている。
で、今ヒロくんは、椎名君と一緒に売店へと行っていた。
「遅いね、秋永君たち。混んでるのかなあ」
「うん、そうだね……。あ、椎名君!」
なぜだか椎名君だけが一人で戻ってきた。なんとなく後ろが気になるのか、チラチラと振り返りながら教室に入ってくる。
「椎名君、ヒロくんは?」
「あ? うん、向こうで大桃達に捕まってた」
「大桃さんに?」
思わずガタッと席を立った。
あれから特に何も言ってこなかったから、てっきり嫌がらせを諦めたと思っていたのに、今度はヒロくんに何かしかけてるの?
「未花?」
「ごめん、ちょっと見てくる」
私に嫌がらせしたみたいに、ヒロくんに何か変なこと吹き込んでたら許さないんだからね!
怒りのあまりドタドタと速足で廊下を急ぐ。売店近くまで行くと、ヒロくんが例の四人に取り囲まれていた。
「ヒロくん!!」
「あ、未花ちゃん」
「ヤバッ!」
美代たちは、私に見られたことで狼狽し、一目散に走り出した。
「ちょっと! 美代、柑奈……!! ……なんなのあの子たち……」
私が大声で呼んでもお構いなしに、すごい勢いで視界から消えていなくなってしまった。振り返ると、ヒロくんが苦笑いを零している。
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