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第一章

そこらの男子よりは強いと思うんだけどなあ

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「よー! お二人さーん」

 後ろから、揶揄い交じりの元気な声が飛んできた。椎名君だ。

「よう。当麻」
「おはよう、椎名君」
「はよ。ところで、なんかあった?」
「え?」
「さっき後ろから見てたらさ、なんとなく深刻な話してるみたいだったから」
「ああ……。未花ちゃんのことさ、尾行する奴がいたんだって」
「え!? ストーカー? 大丈夫だった?」
「うん。頭にきてボコりに行ったんだけど逃げられちゃって」

「なにやってんだよ! ダメだよ、仮にも女の子だろ? いくら腕っぷしに自信があるからって、そんな変態行動する奴に女の子一人で立ち向かって行っちゃ危ないよ!」

「同意。ということで、今日から未花ちゃんの家まで送ることにした」

「ああ、そっか。ならいい。いい? 糸魚川さん。それ以外でも何かあった時には、こいつに連絡して助けに来てもらった方が良いよ」

「え……。う、うん。でもそこまでは……」
「そうだな! さすが当麻、いいこと言うじゃん。未花ちゃん、連絡先交換しよう!」
「え? でも、秋永君、いつでもどこでも呼び出すなんて、それって迷惑じゃ……」
「無いから! 迷惑じゃないよ。ほら」
「う、うん」

 なんだかすごい形相の二人に押されて、秋永君と連絡先を交換した。

 二人は私が女の子だからって心配してるみたいだけど、腕っぷしには自信あるんだけどなあ。
 チラッと秋永君を窺うと、「何かあったら、遠慮するんじゃないぞ」と念押しされてしまった。
 心配性だなーと思いつつ、私は「うん」と頷いた。
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