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第一章
ボディガードになってあげる
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ちょっと、待って。でもこれどういう状況?
盾になってくれているのはいいけれど、しっかり私の肘を抑えているし、ものすごく近いよ!
見上げた秋永君の顔は恐ろしいほど真剣で、私の胸を触ろうと手を伸ばしてきた男子をきつい目で睨んでいる。
「し……、知るかよっ! だいたい、そいつが悪いんだろ? 胸突き出して巨乳アピールなんかしてるから」
「はあ!? いつ私がそんなこと……」
「いででででででっ! 痛いって!」
「未花ちゃんに失礼なこと、言うからだろ!」
秋永君は分けの分からない悪態を吐く男子の腕を、グイッと明後日の方向に捻じ曲げている。
「痛い、痛い! 放せって!」
「謝れよ、未花ちゃんに!」
「うっせ! ……いででででっ!! ……、わ、分かった。悪かったよ! ……いったー!」
秋永君が腕を離した途端、その男子は飛びのくように秋永君から離れた。そして涙目で、ギッと彼を睨む。
「覚えてろよ、バカヤロー!」
「それはこっちのセリフよ、バカ!!」
私の怒声に振り向きもせず、男子は一目散に逃げて行った。
「なんだったの、あれ……」
雅乃も相当呆れたんだろう。呆けたようにポツリと呟いた。周りに並んでいる子たちも、眉を顰めて去って行く男子を見ている。だけど中には、私の方を見てコソコソと何かを囁いている人たちもいた。
私はこんなことで目立つ羽目に陥ってしまったのが悔しくて、ついつい大声で秋永君をなじってしまった。
「痴漢未遂よ! もう、秋永君が余計な事してこなければ私がボコってやったのに」
「そんなことないだろ?」
真っ赤になって八つ当たりする私にちっとも動じる風もなく、秋永君はいつものように穏やかに私を宥めた。
そんな態度で返されると、ちょっと怯む……。
「……なによ?」
「未花ちゃんが一番嫌なのは、ああやって勝手に触ってくる奴らだろ?」
「そう……、だけど」
「だけどそれと同時に、なんでもない普通の男が傍に来ただけで、ついつい過剰に反応しちゃうこと、本当は困ってたりするんじゃないの?」
「…………」
「だから俺が未花ちゃんの代わりに、ああいう奴らを追い払うのは未花ちゃんのためにもなると思うんだけど」
「どういうことよ?」
「だからね、未花ちゃんが手を出さなきゃならない機会が無くなって行けば、勝手に手や足が飛び出すことも無くなっていくと思わない?」
「あ……」
「そうか! そうだよ、未花! 秋永君頭いい! 良いこと言うじゃん」
「ハハ……。そうかな」
雅乃が感心しきりで秋永君の肩をバシバシ叩く。それに秋永君は、照れたように笑った。そして私の方にクリンと顔を向ける。
その真剣な表情にびっくりしたのか、私の胸がトクンと変な音を放った。
「でさ、提案」
「な、なに?」
あまりにも真剣な表情をする秋永君と、なんだかわからないけどトクトクと鳴り続ける心臓に、変な警戒心が生まれて焦る。
「今から俺、未花ちゃんのボディガードになってやるよ」
「は、はあっ!?」
「いいね! それ!」
「ちょ、ちょっと雅乃!」
盾になってくれているのはいいけれど、しっかり私の肘を抑えているし、ものすごく近いよ!
見上げた秋永君の顔は恐ろしいほど真剣で、私の胸を触ろうと手を伸ばしてきた男子をきつい目で睨んでいる。
「し……、知るかよっ! だいたい、そいつが悪いんだろ? 胸突き出して巨乳アピールなんかしてるから」
「はあ!? いつ私がそんなこと……」
「いででででででっ! 痛いって!」
「未花ちゃんに失礼なこと、言うからだろ!」
秋永君は分けの分からない悪態を吐く男子の腕を、グイッと明後日の方向に捻じ曲げている。
「痛い、痛い! 放せって!」
「謝れよ、未花ちゃんに!」
「うっせ! ……いででででっ!! ……、わ、分かった。悪かったよ! ……いったー!」
秋永君が腕を離した途端、その男子は飛びのくように秋永君から離れた。そして涙目で、ギッと彼を睨む。
「覚えてろよ、バカヤロー!」
「それはこっちのセリフよ、バカ!!」
私の怒声に振り向きもせず、男子は一目散に逃げて行った。
「なんだったの、あれ……」
雅乃も相当呆れたんだろう。呆けたようにポツリと呟いた。周りに並んでいる子たちも、眉を顰めて去って行く男子を見ている。だけど中には、私の方を見てコソコソと何かを囁いている人たちもいた。
私はこんなことで目立つ羽目に陥ってしまったのが悔しくて、ついつい大声で秋永君をなじってしまった。
「痴漢未遂よ! もう、秋永君が余計な事してこなければ私がボコってやったのに」
「そんなことないだろ?」
真っ赤になって八つ当たりする私にちっとも動じる風もなく、秋永君はいつものように穏やかに私を宥めた。
そんな態度で返されると、ちょっと怯む……。
「……なによ?」
「未花ちゃんが一番嫌なのは、ああやって勝手に触ってくる奴らだろ?」
「そう……、だけど」
「だけどそれと同時に、なんでもない普通の男が傍に来ただけで、ついつい過剰に反応しちゃうこと、本当は困ってたりするんじゃないの?」
「…………」
「だから俺が未花ちゃんの代わりに、ああいう奴らを追い払うのは未花ちゃんのためにもなると思うんだけど」
「どういうことよ?」
「だからね、未花ちゃんが手を出さなきゃならない機会が無くなって行けば、勝手に手や足が飛び出すことも無くなっていくと思わない?」
「あ……」
「そうか! そうだよ、未花! 秋永君頭いい! 良いこと言うじゃん」
「ハハ……。そうかな」
雅乃が感心しきりで秋永君の肩をバシバシ叩く。それに秋永君は、照れたように笑った。そして私の方にクリンと顔を向ける。
その真剣な表情にびっくりしたのか、私の胸がトクンと変な音を放った。
「でさ、提案」
「な、なに?」
あまりにも真剣な表情をする秋永君と、なんだかわからないけどトクトクと鳴り続ける心臓に、変な警戒心が生まれて焦る。
「今から俺、未花ちゃんのボディガードになってやるよ」
「は、はあっ!?」
「いいね! それ!」
「ちょ、ちょっと雅乃!」
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