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第一章
盾になってくれた秋永君
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午前の授業が終わって昼休みになった。雅乃と一緒に売店へと向かう。
二人とも弁当を持参するときもあるのだけどそれは稀だ。だいたい学食と売店を適当に振り分けて、なるべく飽きないようにと考えているのだ。
「やっぱ、混んでるねー」
この売店の人気商品は、カツサンド。サクサクジューシーな豚カツに、キュウリが入っていて食感もいい。しかもこのソースがまた絶品で、とにかく美味しいのよ!
「ああ~、どんどん無くなってくよー」
「ダッシュで来たのにね」
売店に並んでいる人の列は、三列出来ていた。私と雅乃は、その列の一番端に並んでいる。
もちろん私たちの前方は、女子の塊だ。誤って男子の近くに行こうものなら、私の場合碌なことにならないことは目に見えているから、こういう時もやはり気は抜かない。
うれしそうに買い終えて戻って行く人たちが手に持っているのは、やっぱりカツサンドが多い。私たちの分まで残っていますようにという思いから、私は背伸びをしながらみんなが買っていく物をハラハラしながら見ていた。
「ああ~、未花、あの人たちが買ったのもカツサンドだよー」
「あと幾つ残ってる?」
「ん~、見えないー」
きっとみんな私たちとおんなじで、カツサンドの行方が気になるのだろう。前方にいる人たちの多くが伸びあがっている状態では、後ろに並ぶさほど背も高くない私たちに、ショーケースの中身まで見えるわけがなかった。
そんなふうに雅乃と二人、前方に気を取られている真っ最中、突然右側から急に何かの気配がしてハッとした。パッと視線をそこに向けると、明らかに男子と思われる誰かの手がヌッと私の方に伸びて来ていた。私がいつもの反射神経で、それを撃退しようと肘鉄をくらわす格好を取った時、いきなり別の手にその肘を受け止められてびっくりした。
「いてっ! なんだよ!」
「なんだじゃない! お前今、未花ちゃんの胸さわろうとしてただろ!」
「秋永君!?」
……びっくりした。
私のすぐ傍にはいつの間にか秋永君が立っていて、知らない男子から私を守ろうと、盾になってくれていた。
二人とも弁当を持参するときもあるのだけどそれは稀だ。だいたい学食と売店を適当に振り分けて、なるべく飽きないようにと考えているのだ。
「やっぱ、混んでるねー」
この売店の人気商品は、カツサンド。サクサクジューシーな豚カツに、キュウリが入っていて食感もいい。しかもこのソースがまた絶品で、とにかく美味しいのよ!
「ああ~、どんどん無くなってくよー」
「ダッシュで来たのにね」
売店に並んでいる人の列は、三列出来ていた。私と雅乃は、その列の一番端に並んでいる。
もちろん私たちの前方は、女子の塊だ。誤って男子の近くに行こうものなら、私の場合碌なことにならないことは目に見えているから、こういう時もやはり気は抜かない。
うれしそうに買い終えて戻って行く人たちが手に持っているのは、やっぱりカツサンドが多い。私たちの分まで残っていますようにという思いから、私は背伸びをしながらみんなが買っていく物をハラハラしながら見ていた。
「ああ~、未花、あの人たちが買ったのもカツサンドだよー」
「あと幾つ残ってる?」
「ん~、見えないー」
きっとみんな私たちとおんなじで、カツサンドの行方が気になるのだろう。前方にいる人たちの多くが伸びあがっている状態では、後ろに並ぶさほど背も高くない私たちに、ショーケースの中身まで見えるわけがなかった。
そんなふうに雅乃と二人、前方に気を取られている真っ最中、突然右側から急に何かの気配がしてハッとした。パッと視線をそこに向けると、明らかに男子と思われる誰かの手がヌッと私の方に伸びて来ていた。私がいつもの反射神経で、それを撃退しようと肘鉄をくらわす格好を取った時、いきなり別の手にその肘を受け止められてびっくりした。
「いてっ! なんだよ!」
「なんだじゃない! お前今、未花ちゃんの胸さわろうとしてただろ!」
「秋永君!?」
……びっくりした。
私のすぐ傍にはいつの間にか秋永君が立っていて、知らない男子から私を守ろうと、盾になってくれていた。
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