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第1章

ソイ村へのお願い(改稿4/13)

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「あのー、オイラたち、客じゃないんです」

「客じゃない?」

 なんか前にもこんなやり取りがあったような…?

「オイラ、ソイ村のロッドって言います。他のヤツも村の者です」

 代表の一人が言う。

「ソイ村?あの魚醤の?」

「はい。さっきギルドの売店に行ったら、村の魚醤を買ってくれた店があるって、聞きまして…。それでうどんとかいうのに使ってると…」

 そう意外と、うどんが出るんだよ。うどんだけだと軽めの食事なんだけど、常連さんはね、ハンバーグや唐揚げをうどんにのせて、食べるの。卵も注文する人もいるよ。

「それでお礼を言いたくて、来たんです」

「それはありがとうございます」

「おじさん、おばさん!」

 おじさんたちに声をかける。ソイ村の人たちの話をする。

「わざわざ来てもらわなくても、よかったんですよ」

「ちょうどいい。うどんを食べていってくださいよ」

「実はうどんを食べさせてもらおうと思ってたんです。ただ、余りお金がないので、一人分だけでもいいですか?」

「一人分ですか?でもうどんは銅貨1枚ですけど、いいですか?」

「えっ?銅貨1枚?」

 そう人気の秘密の1つは、値段にもあったんだ。粉は、パン屋のジョンさんの協力で、ジョンさんのお店と一緒に粉を購入して、パン屋へ配達してもらう。ジョンさんのお店から、粉を分けて持ってくるということで、粉を安く仕入れることに成功。
 ちなみに、食堂で出すパンは銅貨1枚で2個買えるんだ。安いのだと、4個買えるんだよ。
 ソイ村の魚醤は薄めて使えるので、安く提供することができたんだ。
 うどんは安いから、ハンバーグや唐揚げなどと一緒に食べても、お財布に優しいお値段なんです!

「いつも使わせてもらってますし、今日はご馳走させてください」

 おじさんがそういうと、代表のロッドさんは首を振った。

「いえいえ、そういうわけには、いきません。オイラたち、今評判の店って聞いたもんで、値段が高いんじゃねえかって思ったもんで…。大丈夫。その値段なら払えますんで、4人分ください」

「はい、わかりました。うどん4人分ですね。どうぞ座ってください」

 そういうと、おじさんは厨房へいく。おばさんは席をすすめてる。私はおじさんを手伝いにいった。
 おじさんは、うどんと一緒にハンバーグも出した。

「これはウチの名物なんで、一度食べてみてくださいよ」

「ありがとうございます」

 ロッドさんたちは、うどんとハンバーグを不思議そうにみて、食べ始める。

「こんな長い麺、食べたことないぞ」

「おー、村のソイツーユがこんなに旨い食べ物になるなんて!」

 みんな喜んで食べてくれる。ん?今大事なことを聞いたような?

「今なんて言いました?」

「なにが?」

「村の…?」

「ウチの村のソイツーユですか?」

 やっぱり?聞き間違いじゃなかった!なにそれ、そのまんまだしつゆみたいなネーミング!
 食事中はわるいと思ったので、ロッドさんたちが食べ終わってから、聞いてみた。

 ソイ村は、ここ数年、作物の出来がよくなかったという。唯一豆だけは収穫がよかった。魚も捕れない時もあったため、魚醤作りに困ってしまった。魚は食べたい、魚醤も作りたい。その時、魚醤をなんとか、かさ増しできないかと考えた。試行錯誤の末、魚醤に豆を混ぜて作り、かさ増しすることに成功したのだという。
 魚醤に豆が入っているのは珍しいので、売れるのでは?と、街に持ってきたのだという。

「ソイはオイラたちの村の名前。“ツー”は村の言葉で魚、“ユ”は豆って意味です」

 それでソイツーユ。

「これで村の特産として、売っていく自信がつきました」

「あのー、お願いがあるんですが…」

今の話を聞いて、もうちょっとがんばってくれないかな?と思ったんだけど…。ダメ元でお願いしてみようかな。

「なんですか?オイラたちにできることなら…」

「ソイツーユも美味しいです。これも作っていってもらいたいです。あと魚を入れずに、豆だけで作る魚醤を作ってもらえませんか?」

「豆だけの魚醤ですか?」

「イヤ、魚が入ってない時点で、魚醤ではないですよ?」

 他の人に突っ込まれた。なんと説明すればいいのかな。

「いいんです。豆だけで作る醤油を作ってもらいたいんです!」

「そいゆ?なるほど、さすが考えることが違いますな!豆だけのソイ村の魚醤!おーいいですね」

「イヤ、ソイユじゃなくて、ショウユなんですが…。聞いてますか?」

「どうだ、お前たち?」

 他の3人に、ロッドさんが聞く。

「魚を入れなければいいんだろ?」

「なんとかいけそうな気がするが、やってみなけりゃわからん」

「やる価値はありそうだ」

などと話しあってる。みんな前向きだ。がんばってほしいところなんだけど…。
 しばらく話したあと、ロッドさんが言った。

「村に帰り、他の者と相談し、作ってみようと思います。うまくいくかどうか、わかりませんが…」

「ありがとうございます!」

 うまくいってほしい。ぜひ醤油を我が手に!

 ソイ村の人たちが帰る時、おじさんはうどんのお金だけもらっていた。あとはサービスだからと言って、代金は受け取らなかった。

「ソイユが出来たら、持ってきます」

「楽しみにしてます!」


~~~~~~~~~~~~~~~~


 ダジャレっぽい名前にしてみました。
 う、冷たい目でみないでください…。あ、温かい目で読んでください。

 一部文章を直しました。

なんとかかさまし→なんとか、かさ増し

かさをますことに成功→かさ増しすることに成功

ご指摘ありがとうございました。
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