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第1章

お手伝いが増えるって、素晴らしい

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 口コミで、ハンバーグを食べに、お客さんが増えてきた。
 私達3人はフル稼働中である。

「そろそろ、手伝いを増やさなくちゃいけないかねぇ」

 おばさんがつぶやくと、

「そうだなあ」

 おじさんも相鎚をうつ。

 それから、二日後。

「おはよう」

 入ってきたのは、一人の女性と子供3人。

「おはようございます」

「あなたがアリサちゃんね。いつもコイルから、聞いてるわ」

「コイルさんから?」

「私はコイルの妻で、この家の娘なの。メイっていうの。よろしくね」

「コイルさんの奥さんで、この家の娘さん?」

 うん、よくみるとおばさんに、よく似てる。メイさんは20代前半くらいに見える。

「この子たちは、私の子供たちなの」

「「「お姉ちゃん、こんにちは」」」

「一番上がミリア、11才。二番目がジミー8才。三番目がトミー、4才よ」

 一番上のミリアちゃんが11才…。メイさん、若いお母さんですね。おいくつですか?

「こんにちは、私はアリサです。よろしくね」

「あのね、きょうおいちいもの、たべにきちゃの」

  一番下のトミーが寄ってきて、報告してくれる。
 私はしゃがんで、トミーと目線を合わせる。

「おねいちゃんは、おいちいものたべた?」

「食べたよ」

 私が作ったからね。

「食べたことあるに決まってるだろ。アリサお姉ちゃんは、ここで働いてるんだから」

 ジミーが少し呆れた口調で言う。

「ぼく、もちかちて、たべたことないかもって、おもっただけだもん」

 すねたようにトミーは言う。

「二人ともやめなよ。はずかしいじゃない」

 年長のミリアが仲裁に入る。

「トミーにちょっと言っただけじゃんか」

「ぼく、悪くないもん」

 3人で、ワーワー言いだした。こういう光景、なつかしいな。学園に小さい子たちもいて、なれている。学園の子たち、元気かな?
 おばさんとメイさんが話しているので、私は子供たちの相手をする。
 しばらくして、おじさんが料理を運んできた。

「ほら、子供たち、席につきな。あったかいうちに、食べな」

 あわてて座る子供たち。

「お手伝いしなくて、ごめんなさい」

「なに言ってんだ。子供たちの相手をしてくれて、よかったよ」

 メイさんの前で、遊んでいると思われたら困る。今日、なんの用事で来たかはわからないけど、「でてけ」とか言われたら、どうしよう。

「うまー、肉やわらけー」

「すごい、なにこれ、おいしい」

 ジミーとミリアがびっくりしてる。

「本当、やわらかい肉ねぇ。美味しいわ」

 メイさんも満足そうだ。トミーは、口の周りをソースでベタベタにしながら、頬張っている。

「コイルが配達の日が楽しみだって、言ってたの、よくわかるわ。配達の度に、こんなおいしいもの食べてたってずるいわ」

「「うん、お父さんばっかり、ずるい」」

 子供たちも同意している。
 うーん、でも、コイルさんは配達してもらってるしね。

「お父さんは配達してるご褒美だからね」

 おばさんがフォローしている。


「アリサ、これからメイとミリアにも、手伝ってもらうことにしたんだ」

 さっき2人で話してたのは、そのことだったのか。
 料理が評判になり忙しくなってきたので、メイさんたちにお手伝いをお願いしたそうだ。
 朝から夕方まではミリアちゃん、夕方から夜はメイさんが手伝ってくれるという。
 えっ?ミリアちゃんって、11才だよ?まだ子供なのに…。でもミリアちゃんは今まで市場の手伝いをしていたそうだ。
 こちらの世界では、子供が10才くらいから働くことはよくあることらしい。こちらの子供たちって、すごい子供たちなのね。

「そうだ、アリサちゃんに服を持ってきたのよ。着てちょうだい」

 そうか、今日メイさんは私の服を持ってきてくれたんだね。

「ありがとうございます」

「アリサちゃんはもう少し食べた方がいいわ」

「そうなんだよ。この子は食が細くてさ」

 おばさんはそう言っているけど、私はすごく食べていると思うんだ。

「もう少し食べて、肉をつけなくちゃ、大きくなれないよ」

 おばさんは私をいくつだと思っているんだろう。でもそうだな…大きくなるといえば…。
 メイさんは胸が大きいの。うらやましいくらいに…。この世界の食事を食べていれば、メイさんみたいに、胸が大きくなれるかな?…私の場合は違うところが大きくなりそうで、こわいけど…。例えばお腹周りとか…。考えたくない。メイさん、胸が大きくなる食事を教えてください!

「「ごちそうさま―」」

「おいちかったー」

「美味しかったかい。よかったよー」

 おじさんもおばさんも、孫たちが「美味しい」って言ってくれたことで、喜んでいた。
 食事が終わると、小さい子供たちは遊び始める。これはどこの世界も一緒だ。

「お姉ちゃんと遊ぼうか?」

「「「うん」」」

 食堂の奥から庭へ出て、石蹴りなどをして遊んだ。

「そろそろ帰るわよ」

 メイさんが声をかけてきた。

「「「えー」」」

「もうちょっとダメ?」

「もう暗くなるから、その前に帰らなきゃね」

 どこも一緒だ。暗くなる前に、帰りましょう。
 この世界の大通りには、魔晶石の入った魔道具である街灯が設置されている。でもね、本当に夜って暗いんだよ。暗い夜道は大変に危険。子供の誘拐や犯罪が多いだけでなく、魔獣が入り込むこともあるんだって。
 街の周りは高い塀で囲まれており、結界というものがはってあるそうだ。けれども、稀に結界をすり抜ける魔獣がいるらしい。異世界、怖っ。
 そのため、警護団の人たちが昼夜交代でパトロールしている。警護団の皆さん、ご苦労様です。


 お客さんも増えたが、お手伝いも増えた。
 朝ミリアちゃんが来て、お皿をさげたり、洗いものをしてくれる。
 夕方メイさんがジミーとトミーを連れてやってくる。ミリアちゃんが弟たちの面倒をみて、メイさんが手伝ってくれる。
 仕事を終えたコイルさんがくると、皆で食事をする。忙しい時はおじさんと私、おばさんとメイさんが交代で食事をとる。
 コイルさんが子供たちを連れて帰り、メイさんはそのまま手伝ってくれる。夜仕事が終わると、おじさんがメイさんを送っていくのが、このところの日課である。
 メイさんは小さい頃から家の手伝いをしていたので、慣れたものだった。
 ミリアちゃんは小さいのに、働き者だ。すごく働いてくれる。
 私も頑張らなきゃと思う。

 皆で食べる食事って、美味しい。メイさんたちは、私を家族の一員として、扱ってくれる。皆、いい人たちだ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~


 今回は新しい料理は出ませんでした。
 次回は出せるかな?





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