嫌われ者の皇族姫

shishamo346

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運命の出会い

裏切り

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 皇帝シオンが私室にいる時を条件に、婚約者メフノフと皇族の友達ティッシーが皇帝の私室に招き入れられた。
「シーア、元気そうだな」
「親子仲良くしているのね。皇帝の愛娘、なんて噂されているわよ」
「まだ、馴れませんね」
 他愛無い話をして、食事をして、としていると、あっという間に時間が過ぎていった。
「別室はいくらだってある。泊まっていきなさい」
「いいのですか!!」
「いや、さすがに、僕は」
 ティッシーは喜び、メフノフは遠慮した。婚約者といえども、異性が過ごす場所で宿泊は、さすがにまずいと思ったのだろう。
「シーアに夜這いしないように。それをした時は、私の手で処刑してやる」
「は、はい」
「もう、父上、冗談が怖いですよ」
 皇帝シオンは、ちょっと怖いことを言って、婚約者メフノフを震えあがらせた。
「俺様は、屋敷に戻る。また、朝に来るからな。シーア、勝手に料理するなよ!!」
「ちょっとぐらい、いいじゃない」
「てめぇは、後片付けが雑なんだよ!!」
 私が食べる分だけでも、と料理したのだけど、物の位置がずれただの、材料を勝手に使うなだの、筆頭魔法使いナインが滅茶苦茶、怒った。妙なところで、細かいの。
 それからは、ちょっと会話して、それぞれ、就寝することとなった。筆頭魔法使いナインが、わざわざ、客人用に、二部屋を整えてくれた。
「じゃあ、また、明日」
「おやすみ」
「シーア、部屋の鍵、しっかりとしないと、メフノフが夜這いに来るよ」
「しないよ!!」
「鍵なんてないよ。でも、メフノフのこと、信じてるから」
「しないから」
 そんな冗談を言い合って、就寝に入った。
 久しぶりに他人と話したからだろう。その日は、興奮して、眠れなかった。気分も高揚していたので、わたくしは、筆頭魔法使いナインの言いつけを破った。
 勝手に台所に立って、湯を沸かして、お茶をいれた。
「ナインみたいにならないなー」
 自分でいれたお茶は普通だ。ナインみたいに美味しいお茶ではない。だけど、飲めないことはない。ちょっと濃いな。
 ふと、皇帝シオンの部屋の灯りがドアの隙間から漏れているのに気づいた。時々夜更かししている皇帝シオンと一緒にお茶を飲んでいたりする。
 その日も、わたくしと同じ夜更かしかと思っていた。皇帝シオンの子だと発覚したばかりの時は、ドアをノックしたりしたが、今は、そんなことしない。シオンから、ノック不要だと言われた。ノックが必要なことなんてしてない、と言っていたからだ。
 だから、その日も、ノックなしで入ってやった。もしかしたら、あの皇帝シオンが、怪しい本でも読んでいる光景が見れるかも、なんて思っていた。
「ど、どうして!!」
「シーア、寝てたんじゃ!!!」
 皇帝シオンの寝室に、婚約者メフノフと皇族の友達ティッシーがいた。二人は、何故か、血まみれだ。
 服を真っ赤に汚した二人に驚いて、わたくしは、持っていた茶器を落としてしまった。がしゃんと壊れる音で、わたくしは我に返って、部屋を見回した。
 皇帝シオンが、血まみれになって、ベッドに横たわっていた。
「な、何?」
 人の死を初めて見た。だから、わたくしは震えて動けなかった。
 婚約者メフノフと皇族の友達ティッシーがわたくしの腕をつかんだ。呆然となっている内に、二人がわたくしの側にやってきた。
「シーア、ごめん、死んでくれ」
「ごめんなさい」
 二人の手に、短剣が握られていた。それは、赤黒く汚れていた。
「ど、どうして?」
「わたくしたち、愛し合っているの」
「婚約を続けたいと言ったのに、ごめん」
 だから、皇帝シオンを殺したの? それを声に出来ない。喉に色々なものが詰まっているようで、言葉が出なかった。
 殺される!! 短剣を振り上げられた時、わたくしは反射で動いた。二人を押した。
 メフノフとティッシーの手の力は、そこまで強くなかった。簡単にわたくしの腕を離してくれた。わたくしは、転がるように皇帝シオンの寝室から出ていく。
「待て!!」
「逃がさないわ!!」
 二人がかりで追いかけてくる。わたくしは鍵がかからない寝室へと逃げ込んだ。
 鍵はかからないけど、中から棚なんかでドアを塞げば、中に入られることはない。
 ドアが開けられないとわかった二人は、外側から、手あたり次第に物をなげつけて、どうにか、ドアを壊そうとした。その衝撃で、ドアの前に置いた棚が揺れて動いた。だから、さらに、家具を置いて、塞いだ。
 こんなの、時間の問題だ。いつか、二人は気づく。皇帝シオンが死んだのだ。皇帝の私室の支配はなくなった。誰もが入ることが出来る。
「シーア、やっと殺せる!!」
 しつこく皇帝の私室を見張っていたのか、皇族ネフティがドアの向こうで叫んだ。
 ドアの向こうでは、何が起こっているのか、わからない。衝撃音に、複数の人の声が響いてきた。
 わたくしの味方はいないな。
 ドアの向こうは、わたくしに対しての敵意しかない。わたくしに死んでほしいばかりだ。
 婚約者も、皇族の友達も、わたくしに恨みを持つ皇族たちも、皆、わたくしを殺したくて、わたくしの寝室のドアを攻撃しているのだろう。
『万が一の時は、逃げなさい』
 皇帝シオンが真っ先にわたくしに教えてくれたのは、逃げるための隠し通路だ。皇族であれば、迷ってでも、どうにか逃げられるという。皇帝の私室には、複数、それが存在している。皇帝となると、まず、その隠し通路の場所を教えられるのだ。
 隠し通路の場所を知っているのは、皇帝と筆頭魔法使いのみ。
 それを皇帝シオンは、わたくしに教えた。本当は、家族であっても、教えてはいけないのだ。
 きっと、こんなことがいつか起こる、と皇帝シオンは予想していた。それが、こんなに早いなんて、思ってもいなかっただろう。
 教えてもらったばかりだ。記憶が新しいから、間違えない。道順だって、しっかり覚えている。どこに出たほうがいいのかまで、皇帝シオンは笑って教えてくれた。
 どうせ、皇族失格となって、外に出て、平民になって暮らそう、なんて考えていた。平民の生活を知りたくて、無理を言って、体験までさせてもらった。大丈夫、わたくしなら、出来る!!
 自らを奮い立たせて、隠し通路へと通じる場所へと向かっていった。







 隠し通路、掃除するべきだと思う。思ったよりも、埃やら何やら、いっぱいだった。皇族の血筋に反応する魔道具の灯りがなければ、転んだり、大変だっただろう。
 わたくしは、皇帝シオンに教えられた通りの場所へと走っていった。それは、とても遠い場所で、長く、隠し通路を移動することとなった。
 そして、全身、汗で汚して、わたくしは、城の外に飛び出した。
 深夜の凶行だ。だから、城の外は真っ暗だ。
 だけど、そこは、王都の中心ではない。王都の中心は眠らない都と呼ばれ、深夜でも明るい。
 皇帝シオンが逃げる場所としてわたくしに教えたのは、王都の貧民街だ。追手が来るとしたら、まず、王都の平民地区だ。貧民街の捜索は余程のことがないかぎり、ありえない、という。
 貧民街では、皇族は生き残れないからだ。
 もう、王都から出る交通手段は全て、封鎖されているだろう。皇帝が死んだんだ。命令系統が乱れているが、わたくしを逃がすわけにはいかない。きっと、逃亡した皇族を探せ、と命令が飛び交っているのだろう。皇族は野放しにすると、大変なことになるからだ。
「おい、綺麗な服だな。どこのお嬢さんだ?」
 早速、薄汚い男に声をかけられた。いくら、埃とかで汚れていても、わたくしが身に着けている衣服は、上等だ。
「貧民街の支配者に会わせてください」
 次の手段を講じた。貧民街の支配者は特別だ。貧民街は無法地帯だが、支配者は絶対的な王である。
 支配者との繋がりなんてない。ただ、堂々としていれば、勝手に相手が勘違いするだろう、と予想した。
「てめぇ、わかってないな。俺に、そんな伝手、あるわけないだろう!!」
「だったら、出来る人の元に案内してください。すぐに」
「だったら、金出しな!!」
「いいのですか? わたくしから金をとるということは、妖精の復讐を受けることとなりますよ」
「てめぇ、妖精憑きか!!」
 違うけど。だけど、皇族なので、下手なことすると、筆頭魔法使いの妖精が罰を与えるだろう。
 迂闊なことが出来ないと気づいた貧民の男は、わたくしから距離をとった。
「妖精憑きなら、妖精使って行けよ!!」
「妖精って、そんなことが出来るのですか?」
 これは、純粋な疑問だ。妖精って、万能とは聞いているが、何が出来るかなんて、知らない。
 何より、妖精の魔法って、普段から、目にすることはないから、よくわからない。
「なんだ、てめぇ、妖精憑きじゃねぇのかよ!!」
「ですが、妖精の守護がついています。わたくし自身は、妖精に守られているので、悪さすると、妖精が復讐しますよ」
 その妖精の復讐すら、実際に目にしたことがないけど。
 嘘は言っていない。皇族だと、この目の前の男はわからないだろう。貧民だから、そういう教育を受けていないはずだ。
 貧民の男は訝し気にわたくしを見ていた。
「面倒事に巻き込まれるのは御免だ」
 さすが、勘がいい。だけど、わたくしは、この貧民の男の腕をつかんだ。
「きちんとお礼はします。色々と、持ってきました」
 逃亡すると決めた時に、前もって作っておいた荷物には、宝石類や金貨銀貨が入っていた。わたくしは、その中で、一番価値が低そうな指輪を貧民の男の手におしつけた。
「それ、そのまま、質入れすると、足がつきます。支配者の元に案内してくれたら、金貨と交換します」
「妖精の復讐が起こることはないよな」
「わたくしは、ただの人です」
「わ、わかった」
 警戒しながらも、貧民の男は、伝手がある人の元へと案内してくれた。
 あちこちから見られていると肌で感じる。城の外は、思ったよりも寒い。こんな薄い寝巻じゃなくって、着替えてから逃げれば良かった。
 靴だって、部屋で使うものだ。歩いていると、脱げそうになったりする。履いてないよりマシだけど、悪い道を歩くと、躓きそうになったりする。
 寒さで震え、恐怖で震え、不安で震えるも、目の前の貧民の男を頼りに、支配者の繋ぎを持つ者の元へと案内された。
 そこも、酷い場所だ。今にも壊れそうな建物の中に入っていく。その建物、いくつかの建物がくっついてい作られたような感じだ。暗い所で見ると、怪物の中を歩いているように錯覚した。
 そして、ついたのは、酒場だ。酒の臭いに、気持ち悪くなる。
「おい、随分、綺麗な女だな」
「手を出すな!! 支配者に会いたいんだと。誰か、案内してくれ」
「俺はないなー」
「俺もない」
「酒飲めば、思い出すかもなー」
「ふさげるな!! この女、妖精が憑いてるんだぞ!!!」
「なっ!?」
 妖精と聞いて、すぐに、ふざけた空気が消えた。妖精は、貧民の間でも畏敬として見られているのだろう。
「金はあるか?」
 その中で、店主が声をかけてきた。貧民らしくな人だ。
「あります」
「わかった、ついてこい」
「待ってください」
 わたくしは、ここまで案内してくれた貧民の男に金貨を差し出した。
「指輪と交換です。その指輪は、持っていると危ないです」
「わ、わかったわかった」
 指輪のほうが高価に見えたのだろう。渋々、貧民の男は指輪と金貨を交換した。
「あと、わたくしがここに来たことは、内緒にしてください。ここの支払い、わたくしが持ちます!!」
「支配者に会いに来た奴を売るような命知らずな貧民はいない」
「それでも、です。巻き込んでしまいましたから」
 事情は話せない。店主は仕方なく、わたくしの支払いを受けてくれた。
 それからすぐ、店じまいになった。貧民の客は、文句も言わず、店を出ていった。
 店を施錠してから、店主はごちゃごちゃとした道を進んで行った。暗いから、どこをどう歩いているのか、わからない。頭の中では、王都の地図は入っているが、貧民街は真っ白だ。そこだけは、不法地帯なため、地図が作られていないのだ。
 わたくしがどこの誰か、なんて店主は質問しない。無言で進んでいく。
 城で自堕落に過ごしていたから、わたくしは、それほど体力はない。しかも、皇帝シオンによって、皇帝の私室に軟禁されていたのだ。久しぶりに動いたから、はぐれそうになった。まず、こんなに歩くことなんてない。
「おいおい、置いていくぞ」
「ちょ、ちょっと、休ませて、くだ、さいぃ」
「もう、あんたが行くと、支配者に伝令を送った。待ってる」
「そ、そんなぁ」
 こんなに早く事が進むとは、思ってもいなかった。もう、動けないと、座り込んでしまった。
「たく、仕方ねぇな」
「きゃっ!!」
 店主は、わたくしをひょいっと肩に、荷物ように持ち上げたのだ。
「お前みたいなガキに妙なことしない」
「そ、そうですよね」
 婚約者メフノフに裏切られたのだ。きっと、わたくしは、女としての魅力はない。
 だけど、そう言われて、色々と湧きだしてきたわたくしは、泣き出してしまった。
「お、おい」
「ひぐっ、ううぅ」
「泣くな!! 支配者に会わせてやるから」
「は、はいぃ」
 店主は悪くない。ただ、わたくしは辛いことが続いて、泣いているだけだ。その事情を話せないから、店主は勘違いした。気の毒なことをしてしまった。
 とても頑強な高い塔の前で店主は立ち止まった。
「ここの最上階にいる。それまでには、その顔、どうにかしろ」
「あい」
 頑張って、泣き止もう。わたくしは鼻をずずーと鳴らし、顔を手でぬぐった。
 店主は、結局、この高い塔をわたくしを肩に持ち上げたまま上ることとなった。途中、数度、店主は足を止めた。見れば、全身が汗でびっしょりと濡れている。ごめんなさい!! 次からは、体をもっと鍛えます!!!
 そうして、最上階に到達すると、店主はわたくしを下ろした。そして、ばたんと店主は倒れた。
「大丈夫ですか!!」
「大丈夫なわけないだろう!!! くそ、軽いから大丈夫だと思ったのに」
「ちょっと太ったんですよね。ごはん、美味しくて、食べすぎちゃいました」
 皇帝シオンの娘となってから、太ったなー、と自覚はある。筆頭魔法使いナインの料理、美味しいから、食べすぎちゃうんだよね。
 わたくしが呑気なことを言うから、店主はおかしなものでも見るように、わたくしを見上げた。
「あの、ここからは、どうすればいいですか? あなたと一緒に、支配者に会いに行けばいいのですか?」
「あんた、何者だ。見たところ、いいとこのお嬢さんだろう」
「父に、教えられました。いざとなったら、貧民の支配者の元に行きなさい、と。貧民は、違法な手段で助けてくれるだろう、と教えてくれました」
「なんつぅ親だ!!」
「本当ですね」
 まともな親は、違法な手段なんて教えない。神殿に助けを求めるとか、もっとまともなことを教えるだろう。いざとなったら、神殿が救済してくれるのだ。
 だけど、わたくしは、神殿に助けなんか求めたら、命はない。神殿と皇族は繋がっているのだ。
 少し休んだからか、店主はどうにか立ち上がった。
「支配者の案内までが俺の仕事だ。交渉は自分でしろ。失敗したら、死ぬぞ」
「わかりました」
 ここでも、命のやりとりか。城で殺されたほうが良かったか、それとも、ここで貧民の支配者に殺されたほうが良かったか、わからないな。
 ちょっとした通路を歩いた先のドアを店主が開けてくれた。
「一人で入れ」
「ありがとうございます。あの、お礼」
「生きて出てきたら、貰う。お前が死んだら、その荷物は山分けだ」
「わかりました」
 どっちにしても、店主は損しない。わたくしは、店主に頭をさげて、ドアの向こうに行った。
 そこは、謁見の間のような感じがした。だだっ広いそこには、複数の護衛らしき人たちが左右に並んでいた。その間を歩いていく先に、支配者の椅子に座る男がいた。
「伝令からは聞いた。俺に会いたいと」
「はい。どうか、わたくしを王都から逃がしてください」
「逃げたきゃ、逃げればいいだろう。馬車でも徒歩でも、簡単だ」
「もう、出来なくなっているでしょう。意地悪言わないでください」
 支配者は知っているはずだ。そういう情報を受け取れるのが、支配者だ。
 支配者はニヤニヤと笑う。
「てめぇを差し出せば、いい金になるな」
「その伝手があるということですか」
「そうだ。どの貴族にしようか、迷ってる」
 失敗した。わたくしの周囲を支配者の手下が囲んだ。このまま、わたくしは拘束されるもと思った。
「待て待て、その女は、俺様が預かる」
 そこに、別の男が割り込んできた。
「え、ナイン?」
 驚いた。筆頭魔法使いナインだ。ただ、その恰好は違う。
「なんだ、この美形な顔を知ってるのか」
「ナインでは、ない?」
「誰だ?」
「おいおい、勝手に連れて行こうとするな!! 相変わらず、自分勝手だな!!!」
 支配者が、わたくしと、このナインそっくりな男の間に割って入った。
「俺様とこの女は運命で繋がってるようだ。名前は?」
「シーアと申します」
「俺様は、エンジだ、綺麗なお嬢さん」
「お前ら、勝手に盛り上がるな!! おい、連れて行こうとするんじゃない!!!」
 ナインそっくりな男エンジは、流れるような身のこなしで、支配者の手を潜り抜け、わたくしの手を引いた。
「あ、あの、でも、どうしましょう。運命だなんて。わたくし、今、追われています。わたくしに関わると、危険です」
「それはまた、燃えるね。一緒に辺境まで逃げよう」
「待てーーーーーーーー!!!」
 とうとう、支配者の手下が、わたくしを抱き寄せるエンジごと逃げられないようにつかみかかってきた。
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