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さよなら世界、こんにちは異世界

14.異世界で初めての友だち

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 何も言わないのが、ダンの優しさなんだと思うけど、僕が耐えられなかった。

「さっきのね。今日、護衛でついてくれた騎士の人達だったよ。それでね、ぼ、僕の事を話してたでしょう……」
「エディ、言いたくなければいいんだ。大丈夫だよ。噂話を聞いても、俺はエディを嫌いにならないから」

 ダンはそう言ってくれたけど、僕は聞いて欲しかった。でも、自分の嫌なところを話すのはすごく勇気がいるんだ。握りこぶしをギュッとしていたら、ダンがそっとあたたかな手で包んでくれた。
 
 なんか、ダンから勇気を貰えた気がする。僕の中のエディも、きっとそう思っている。

「あのね、僕ね。すごく嫌な子だったの。お父様とお母様とお兄様にも、かまって欲しくてワガママばかり言ってた。嫌がられたら、お仕事場まで押し掛けてワガママ言って……。そうしたら、離れの館にばあやと住むことになったの。でも、ばあやの事が大好きだからいいんだ。僕が嫌な子だから、みんなに嫌われてるって話しなの。ダンも嫌になっちゃうかな」
「エディ、子どもはみんなワガママだぞ。かまって欲しいってことは、寂しかったんだろう?」

 ダンが分かってくれた事が嬉しくて、何度も頷いた。

「エディは、同じ年くらいの友だちはいるのか?」
「ううん。僕、貴族院も社交場も行ってないから、友だちは1人もいないよ」
「そうか……。エディくらいの年齢だったら、友だち同士で遊ぶと楽しいぞ。駆けっこしたり、友だち同士で遊びに行ったり。この商店街も、子ども同士で来ているぞ」
「じゃあ、ダンが友だちになってよ。でも、僕は子どもだから友だちはなれないかなぁ?」
 
 初川終の時も、エディの時も、僕には友だちはいなかった。だから、わざと軽口で言ったけど、本当は心臓バクバクだった。

「俺が友だちになっていいのか?エディから、見たら俺なんておじさんだろう?」
「ダンはおじさんじゃないよ。すごいかっこいいし、剣捌きもすごかったし、魔法もすごいし、教えて貰えたらなぁと思うぐらい尊敬しちゃうよ。ダンは世界一かっこいいんだよ!」

 思わず顔を真っ赤にして、いきおいで言ったけど恥ずかしいな……僕。

「そうか、俺がかっこいいか。褒めてくれて、ありがとうな」

 ダンも嬉しそうな顔をしてくれてるから、良いよね。すごいしか言ってないけど、ダンは引いてないよね。

「じゃあ、あらためて、友だちとしてよろしくな。エディ」
「いいの?僕と友だちになってくれるの?ダン、よろしくお願いします」

 生まれて初めて、今日は友だちが出来た日だ。しかも、勇者ダンと友だちになれるなんて思わなかった。うわぁ、嬉しいな!初めての友だち!

 でも、友だちって何して遊ぶの?ダンと駆けっこ?う~む、友だち付き合い……難しそう。

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