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10月 1

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10月

「あ、ルピナス?」
ナズナはルピナスの後ろ姿を見つけた。寮が学校の敷地内で幼い子供でも行ける徒歩圏内にあり、登校はそれぞれなので時間が被りやすかったりするのだが、1人でいるのは珍しい。
ナズナは声をかけようと少し近づく。

「ルピナスおは
「ルピナスおはよう!!」
「アスター君おはよう!」
「・・・っ!」
何で僕、隠れたんだ!?

ナズナの後ろから走ってきたアスターはルピナスの肩を軽く叩いた。2人の背中を見送るナズナは、混乱した。
「何だか、最近みんなに荷物が届いてるね。外出も多いし」
ルピナスはアスターと並んで登校しながら最近の疑問を口にする。アスターはフルールが長いのできっとよく知っているだろうと思ったからだ。
「あ~ハロウィン近いからな・・・」
アスターはカバンを右肩で担ぐように持ち直す。
「ハロウィン?何かするの?」
「あ、そっか!お前は知らないよな!」
「うん」
アスターはどこか楽しそうだ。話すのも教えるのも好きだ。上手いかと聞かれると・・・よくいるわからん!と怒られるタイプだ。しかし、聞いたらちゃんと教えてはくれる。
「ハロウィンの夜に、仮装コンテストするんだよ」
「仮装コンテスト!?」
ルピナスは驚く。ハロウィンだけならわかるが、仮装コンテストなんて・・・。本当にこの学校は不思議、いや、変だ。
「おぅ!ガチな奴も、楽でいいやって奴もいるな。アイディアと発想力が重視されるイベントだ」
「アスター君はどっち?」
「オレは祭り大好きなんだ!あんなの力入れて楽しむのが一番楽しいに決まってるだろ?」
「ふふっ!そうだね!」
ルピナスは予想が当たり、やはりと笑みが溢れる。
「オレもうネットで頼んだぜ」
「赤い服?」
ルピナスは似合いそうな海賊のコスプレをしたアスターを想像した。
「あははっ!確かに評価はされそうだけど、ハロウィンで能力の色使うのは制限されるからな!優位にはならないし、今回はアクセサリーで使うよ」
「確かにそうかも・・・」
でも、面白そうで自分ならと考えてもみる。
「オレはチョーカーを首輪っぽくするんだ」
「へ~チョーカーかぁ」
「・・・・・・見るか?コレだ」
「どれどれ?」
アスターがケータイの画面を見せてくれたのでルピナスは画面を覗きこむ。
「・・・・・・っ!」
近い近い顔が近い!!!
ナズナは指先を光らせようとしてやめた。ルピナスまで凍ってしまう
「わぁ、オシャレ!いいなぁ」
「欲しいか?」
「うん!」
「じゃ、一緒に頼んどいてやるよ。ピンクでいいか?」
「いいの!?うん、ありがとう」
「送料なくなるしな!」
「あははっ!良かった。ピンクなんてナースさんしか思い浮かばなかったよ」
「・・・・・・!」
アスターは固まる。
「・・・・・・・・・・・・!」
ナズナもピクリと反応する。絶対的に可愛い!!

「アスター君?」
「・・・・・・ぃ」
「え?」
「見たい!!!」
アスターは真っ赤になりながら絶叫する。

僕だって見たい!!!ナズナは内心で叫んでいた。
「何その勢い!絶対にイヤ!!」
「え?何でだよ!いいじゃんピンクのミニスカナース!!」
「・・・・・・!」
ナズナは鼻を押さえる。解釈が完全に一致していた。
ルピナスは華奢で本人はバストを気にしているが、細い腰がチャームポイントだ。普段の制服が膝丈な分、ナズナは脳内でアスターに同意した。

「何でミニスカになってるの!?絶対にイヤ!!」
「ちぇっ!」
「・・・・・・」
ルピナスの絶対否定によりアスターが諦めてナズナはがっかりと肩を落とした。

「・・・・・・でも、 何のコスを着ようかな?」
「今決めなくても、 いいなと思ったやつネットで見て衝動買いとかもオススメだな」
「なるほど・・・」
アスターもそうしたようだ。説得力がある。
「イメージも湧きやすいしな!」
「たしかに!・・・あ!アスター君は何着るの?首輪って事は・・・動物系?」
「まぁな。当日までみんなヒミツなんだよ」
「あ、そうなの!?」
アスターは気にしていないようでざっくりと教えてくれる。
「でも、思ったよりフワフワしてて驚いたな!」
「ふふっ、楽しみにしてる」
「お互いにな!ミニスカナース期待してるぞ!」
「怒るよ!?」
「ひひっ!!」
2人はじゃれ合いながら教室へ向かう。

「・・・・・・・・・・・・」
ナズナは距離をとってから1人登校した。
ルピナスのナースは残念なような、ホッとしたような、複雑な心境だった。
ナズナは見られるなんて無理とかなり嫉妬深いけど、アスターは触られたりしなければ見られるのは嫌じゃない。自分が近くにいれば見せびらかしたいと思うタイプだ。近くにいれば、だが・・・。




ナズナは自分の教室に入ると、真っ先にとある少女を連れ出して依頼した。
「ほぅ、酒か?」
「強力なアルコールのチョコレートボンボンだ。作ってくれ」
「・・・して、何に使う気じゃ?」
少女の名はシャクヤク。Sクラスの中学生で薬を作るのを得意としている。薄い紫の瞳で銀髪のストレートをハーフアップして2つのお団子にしており、どことなく不思議な雰囲気のある少女だ。
「何でもいいだろ?料金は弾む」
「妾の能力は鏡じゃ。良いのか?」
「鏡?」
ナズナは知らないように繰り返し、シャクヤクはイラッとする。
「お主、知らんのか?引っ張ってきておいて・・・っ!」
「なんだよ!依頼を受けるのか?受けないのか?」
シャクヤクは怒りを押さえる。忠告はしないといけない。私は止めましたよ?と怒られる可能性を下げておかないといけない。これが効果に深く関わり、自身の身を守るためでもあるのだ。
「・・・一つだけ教えてやる!妾は草属性でなく地属性じゃ!それでも良ければ受けよう」
「受けてくれるんだな!ありがとう!じゃあな!」
「・・・さて、どう転じるかのぅ?ほっほっほ!」
シャクヤクはナズナの想いがどうやって周囲を捲き込むか楽しそうに笑いながらその場を後にした。



ハロウィンパーティー当日
思いきって買った帽子や衣装を着て、ルピナスは部屋のドアを開けた!
「ルピナス!」
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