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9月 12
しおりを挟む「カエデとモミジちゃんど~っち?」
言い終わった後、当ててない方の先を地面に刺した。当然ぽてんと棒は倒れる。カスミは倒れた方向に
「あっちかもーっ!」
カスミは棒を拾ってからてってって~っと1人走って行く
「ええ?ちょっとカスミちゃん待って!」
ルピナスとみんなは追いかけた。
「分かれ道ですわね」
ボタンが困っていると、ヤマブキが驚いて言う。
「・・・近くなってるうっすら聞こえるよ」
「え!本当ですか!?」
「カエデとモミジちゃんど~っち?」
カスミはまた地面に木の棒を刺した。
ぽてん
「あっちねー!」
「行こう!」
ルピナスが後を追う。
「マジか・・・」
アスターが呆気にとられているとポトスが頷く。
「マジだ!カスミの指先が光っていた!おそらく能力を使っている!」
「近い、すごく近いよ。あの中にいる」
ヤマブキが確信してる。それは、ローズ先生のいた休憩所だ。カスミがそっと声をかける。
「あけるねーカエデー?モミジちゃーん?」
すやすや
「ね・・・寝てるね・・・」
ヒイラギは苦笑いし、アスターは未だに混乱している。
「マジでいたよ・・・」
「カスミちゃんお手柄だよ!」
ルピナスはカスミを抱きしめて撫でまくる。
「えへへカスミすごい?すごい?」
「すごい!」
「なるほど、能力を木の枝に移していたんだね」
ヒイラギが頷くとカスミはきょとんとしている。
「・・・?枝さんにきいただけだよ?ありがとね」
カスミは持っていた枝を撫でてそっと地面に置いた。
「カ・・・カスミ?」
先生は固まっている。
「枝さんもしんぱいしてた。みつかってよかったねって」
「能力の・・・影響・・・」
ボタンが呟き、アスターが閃く。
「まさか自然の声が・・・聞こえるのか?」
「ん?うん。え?みんな聞こえないの?雨さんずーっとしんぱいしてたよ?」
「う・・・う・・・」
「先生?」
ルピナスが声をかける。フクジュは震えて下を向いていたがカスミをガバッと抱き上げて抱きしめる。
「ウチの子天才!自然を愛し、愛される!」
「パパくるしい~!」
カスミは潰されそうになっている。
「出た親バカ・・・」
ヤマブキにツッコミを喰らうも聞いておらず、ヒイラギに双子が起きると注意されるのだった。
「今日は外で食うぞ!カスミの能力の影響が判明したお祝いで先生の奢りだ何がいい?」
すっかり起きた双子は声を揃え
『お寿司!』
「遠慮しなさい!」
『なら回転寿司!』
またしてもピッタリだ。
「当たり前です!」
「あ、ならこの近くにおすすめのお寿司屋さんあるので行きましょう」
ボタンに連れられて行くと、会員制と書かれたお寿司屋さんがあった。暖簾が掛かっている昔ながらのお店だ。
えっ?とみんなが固まっているのに気づかずボタンはスタスタと向かう。
「こんにちは」
「おや、ボタンちゃんいらっしゃい」
ガラリと扉を開くと、優しい初老の板前さんが1人で1列に並んでショーケースの前にいた。そう。1列に。
「あ、回らないお寿司屋・・・さん?」
ルピナスが冷や汗をかき、先生をチラリと見ると固まっていた。
「え!お寿司って回るんですか!?」
「あ、えっと・・・」
ボタンが興味を持ったように聞いてくるが、ルピナスは返答に困る。
カスミが回りながらはしゃぐと先生に捕まった。
「わ~すごいすご~い!!」
「カスミぐるぐる回らない!お前にはまだ早いです!」
ボタンはにっこり笑いお財布からとある物を出した。
「あ、大丈夫ですよ?こちらがあるので」
「ぶ、ブラックカード!?」
「ボタンそれはしまって!」
カエデとモミジに止められ、先生は少しガッカリしていたが、首を左右に振り言った。
「・・・今日は俺のおすすめのお店に行くか」
「は、はい?ま、また来ますね!」
ボタンは引き摺られながら頭を下げた。
席に着くなり双子は即注文する。
「俺、エビとタコ」
「アタシ、甘エビとイカ」
似ているけど違う。いつの間にこんなに変わっていたんだろう・・・
「はい。エビと甘えびにタコとイカね!」
俯く双子に店員さんが渡してくれた。
「ありがとうございます」
「ありがと!」
お礼を言って受け取り、4種類のネタを見ながらカエデは呟く。
「やっぱり、違ってきてるね」
「・・・そうね。・・・カエデ、色が変わるの好きよね?」
モミジが箸を渡す。
「・・・そうだね。・・・料理してると楽しいからかな?」
カエデはお醤油を渡す。
「ふ~ん」
『あ、玉子!』
2人が同時にレーン手を伸ばした定番の玉子のお皿
『変わらないモノもあるね・あるわね』
また同時に言い合って吹き出す。やはり双子なのだ。カエデとモミジは2人で1皿で2巻の玉子を分けた。
カエデはそこで理解した。
「ね、モミジ。俺わかったコレでいいんだよ」
「コレって?」
「また今日みたいに行きたい道が違っても、言いたい事言って、喧嘩して、助け合ったりして、疲れた時に寄り添う。俺はモミジとそんな双子でいたい」
「うん!それなら大賛成!!これからもよろしくねカエデ」
「兄妹愛尊い!」
「微笑ましい!」
板前の人や店員さんはそんな事を言いながら涙していた。
寮のみんなもニコニコしながら見守っていた。
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