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7月 海9
しおりを挟む「・・・男湯の方ですね」
「もしかしたら・・・聞かれてたかしらね?」
「もぅ・・・もぅ・・・。・・・バカぁ!!!!!」
恥ずかしくなったルピナスのご機嫌はナナメに。
寝るのはもちろん。男性陣と夕食も別々にとりました。
お風呂上がってすぐにカスミがアスターのところへ走った。
「あ、アスター」
「カスミか?」
「うん、おみみ貸して?」
「ん」
アスターはしゃがんで聴いた。
「コショコショ。はい、カシ返したよ」
「ん、サンキュ。・・・台風、朝早くなら落ち着くか?」
「お外にでるの?」
「中にあるコンビニには大きくないから、一般的な薬用しかないだろ?」
「・・・でもパパ怒るよ?」
「パッと行ってパッと帰ればバレないって!探してみる!ありがとな!!」
「あっ!ちょっと!!!もぅ・・・、パパにはヒミツにしとかないと!」
次の朝早く。午前中
「ルピナス、かぐや姫大作戦よ!!」
モミジがにっこり笑って言った。
「かぐや姫・・・大作戦?」
ルピナスは顔を洗ったところでタオルで拭きながら聞く。
「ご機嫌ナナメなルピナスをにっこりにさせるようなアイテムをみんなに持ってきてもらうの!」
「ルピナスさんがにっこりになれば合格というかぐや姫にちなんだゲームです!!」
ボタンも一緒に考えたらしい・・・
「いや、別にもうそこまで怒ってないよ?あれは私も悪
「い、い、の!外はまだ風が強くて帰れないでしょう!?」
「・・・うん、それが?」
「要は・・・ヒマなの!」
「なら、宿題すれ
「持ってきてないわ!」
「先生に持ってこいって言われてたのに・・・」
「イヤ!こんな楽しそうな事見逃せないわ!」
「確かに、今の状況しかできませんものね!」
ボタンも楽しそうだ。
「ルピナス!ちょっと怒りながらお願いね!」
「ボタンちゃんまで・・・。もぅ、絶対楽しんでるでしょ!?」
モミジどボタンは今いる男性陣の前で発表した。
『かぐや姫大作戦?』
「そう!ルピナスはまだご機嫌ナナメなのよ」
「にっこりにさせる為に、皆さんプレゼントを用意して、順番に渡して下さい」
「なるほど。かぐや姫にちなんだゲームかな?楽しそうだね」
ヒイラギも笑う。ポトスは困惑している。
「な、何を渡せばいいかわからんぞ?」
「あのさ、もうそれはじめていいのかな?」
ヤマブキは今にも向かいそうだ。
「え?あ、ちょっと待って!」
モミジは一度部屋に行き戻ってきた。
「もういいわよ~!」
「モミジ、かくれんぼじゃないんだから・・・」
カエデが頭を抱えるが、ヤマブキはマイペースだ。
「丁度良いや。ずっと見せたかったから、先に行く」
「いつの間に!」
ポトスが驚き、カエデは少し考えて口を開いた。
「・・・ボタン調理場借りていい?」
「あ、はい。お願いしに行ってきます!」
「なら、一緒に行っていい?早く始めたいから」
「お、俺様も着いていく!」
「何、マネする気?」
カエデは少しポトスを睨んだがポトスは気にしない。
「お前と俺様の得意分野は違うから大丈夫だ!」
その頃のヤマブキは?
「ルピナス、いい?」
「・・・ヤマブキ君?」
「あのさ、ゲームをアップデートしたんだ。ゴールデンウィークに言ってた意見叶えたよ」
「ホント?見せて!」
「ち、ちきゃい・・・」
「・・・うん、うん!凄く良くなった!!」
「何、ご機嫌直った?」
「うん!」
「・・・なんか、リアルな意見を消費者からもらえるのって嬉しいね。また意見あったら教えて」
「うん!ありがとうヤマブキ君。合格!」
「合格?」
「あ、モミジちゃんが言ってって」
「なら良かった。もう気にしてなさそうだね」
「うん。私も悪かったからごめんね」
「別に、気にしてないよ。こっちこそ騒いでごめん」
ヤマブキが戻った。少し嬉しそうだ。
「合格貰ったよ」
「よし、俺様も完成したぞ!」
ポトスは既に手に持ちカエデは時計を見ていた。
「俺も冷やしてるだけ。こっちは甘いものだし、お先にどうぞ」
「おぅ!」
「あれ、アスターはまだいないの?」
ヤマブキがきいた。アスターだけが集められた中にいなかったのだ。ポトスが応える。
「さっき見つかって、先生に怒られてるぞ」
「朝方に誰にも言わずに外に出たんでしょ?何でそんな事したんだろね?」
「さぁどうしてかな?まだこのかぐや姫大作戦も知らないよ。きっと」
ヤマブキが首を傾げ、ヒイラギがニコリと笑いながら答える。
「・・・じゃあ俺様が行くぞ!」
「うん」
ヒイラギが見送る。ヒイラギは動かずにずっと見守っているようだ。
「・・・次はポトス君?」
「おぅ、渡す機会が無かったから丁度良い。アヒルや白鳥の吸い物だ」
「か、可愛い!食べられないよ!」
「ずっと眺めているつもりか?食え!」
「写真だけ撮ってもいい!?」
「・・・好きにしろ。もうお前のだ」
「うん、好きにする!ありがとうポトス君!」
「そうか、にっこりだな」
「ん・・・ちょっと黙って集中したい」
「オイ!」
「あ、合格ね!」
「軽いな・・・。ま、いいか」
ポトスが戻りカエデが入れ替わる。
「合格だそうだ」
「ん、用意出来たから俺行くね」
「・・・カエデ君も?」
「うん。ヒマだったから元々何か作る予定だったんだよね」
「イチゴゼリー!」
「どう?」
「美味しい!!」
「ルピナス、実はもうさ、そこまで怒ってないでしょ?」
「あ・・・うん」
「モミジが事を大きくしたんでしょ?ゴメンね」
「ううん、みんな優しいから、楽しいよ?」
「アリガト・・・」
「ふふっ!カエデ君は双子でもやっぱりお兄さんだね」
「あ、当たり前でしょ!?モミジをずっと止めてきたんだから!」
「そっか!」
「いつまでも、ずっと止められるわけじゃないんだけどね・・・」
「カエデ君?」
「・・・!ご、ゴメンなんでもないから!!じゃあ、みんなにもゼリー渡してくるね!」
「うん!ありがとう!!ご、合格!」
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