29 / 64
7月海 6
しおりを挟むポトス君の手は、大きくて太い。腕には筋肉の盛り上がりがあり、ムキムキなポトスはあったかくて大きく、力強い手だ。
違う・・・。
「ボク、こっちのがいい。イルカちゃんやりたいんでしょう?」
「・・・拗ねてるの?」
「別に・・・」
あらら、ヤマブキ君本当に拗ねちゃってる・・・。
「じゃあルピナスをこのイルカに乗せればいいんだな?」
「え?」
「よっ!」
「きゃあっ!」
足がついてるポトスはルピナスを抱き上げてイルカに乗せようとしたけど
正面から見たしっかりと見たルピナスの水着に鼻血を出す
「ぶはっ!」
「ちょっと!!」
「鼻血・・・?」
「は、破廉恥な・・・ふ・・・着・・・るな!!」
「破廉恥って・・・水着だもん」
「ポトス・・・ピュアだね。プププッ!」
「笑・・・な!」
「あ~もうケンカしないでよ!」
ルピナスは少し浜辺に寄る。
「よし、私、こっちなら足がつくから、ポトス君、イルカに体重預けられる?浜辺に戻ろう」
「・・・スマン」
「ヤマブキ君も手伝って!」
「はいはい」
ヤマブキとポトスをイルカちゃんになんとか乗せて、浜辺に戻ろうとすると
カエデの声が浜辺に響いた。
「ごはんにしよ~!」
「アイツはオカンか・・・」
ポトスが呟いた。
「カスミちゃんやヤマブキ君とか、下の子に懐かれてるからね。世話好きなんだろうな」
「懐かれれてるのはお前の方だろ?」
「え?あ、そう・・・かな?・・・ポトス君も私に懐いてくれてるの?」
「懐いているかは知らんが、信頼してる。ウチはボディーガードとかやってるけど、お前を守るのは大変そうだけど楽しそうだ」
「そっかあ、えへへ」
「抜け駆けしないで・・・。それにボクはルピナスに懐いてるわけじゃにゃいから!」
「何だ!人聞きの悪・・・
「あ、また鼻血が・・・何を考えたの~?」
「う、うるはい!!」
「ハイハイ、ケンカしないの!」
カエデがアスターに声をかけた。
「アスター!バーベキューするから火つけて」
「ほいほいっと。ばんっ」
アスターが指先を赤く光らせて銃のように軽く撃つマネをすると・・・
ボッ!
「ん、付いたぞ」
「流石だね!」
ルピナスは微笑む。
「能力は便利に、使い方を間違えなければいいんだよ」
「なるほど!冬は暖房器具いらないね」
ルピナスは頷いたが
「・・・あんなの、・・・だ」
「え?何か言った?」
「・・・!いや、何でもない!」
「うん・・・」
珍しい・・・。一瞬だけど、落ち込んでた?どうしたのかな?
カエデが海の幸を広げる。
「さ、海鮮バーベキューだよ!タコとエビがいっぱいだよ焼いて焼いて!」
モミジが口を尖らせる。
「え~!アタシ、タコよりもイカがいい~」
「わかってる。イカもあるよ」
ルピナスのお腹がなる
ぐ~
「あ・・・」
「お腹空いた?今回はタレを仕込んできたよ」
「うん、いただきます!」
「はい、タレ」
タレを渡してくれるヒイラギ君の手は指先がとても長い。
違う・・・
「あ、ありがとうヒイラギ君」
ルピナスはホタテを頬張る。
「美味しい?」
「うん!私の身体はカエデ君のご飯で出来てるようなものだよ!」
「またそういう事を・・・!」
「ん?」
「・・・誰かさんに似てきた?」
カエデは赤くなりながら少し睨む。
「誰かさんってダレ?」
「・・・さぁね」
カエデは自分から話を逸らしたのでルピナスは気にしない事にした。
「カエデ君、コックさんになったらいいのに!」
「ふふっ、それ楽しそうだね。毎日来てよ」
「うん!行くよ!」
「カエデ!わたしも貝とって!貝!」
「ハイハイあるよカスミ。はい、ハマグリ」
「ありがとう!」
「カスミちゃんは貝が好きなんだね!サザエとかも好きなの?」
「ん~ん」
カスミはハマグリを頬張りながら首を横に振る。フクジュが代わりに答えた。
「二枚貝が好きなんだよ」
「ごえんごえん!」
「五円?」
アスターは何処からか貝がらを取り出してカスミにあげた。
「あ、ならコレやる好きだろ?」
「桜貝だ!!かわいい!ありがとアスター!じゃ、カシね!あとでイイことおしえたげる!」
「へーへー、期待しないで待ってるよ」
「キタイしててよぉ!」
「カシなんてどこで覚えてきた・・・」
フクジュは頭を抱えた。
「ぷく~!」
普段よりも不機嫌なカスミにルピナスは気になり
「カスミちゃん、どうかしたの?」
「カスミ、海・・・キライ・・・」
「何で?」
「波、こわい!プールと違うし、すなもいっぱい!」
「波に驚いて怖いって、ずっと砂浜で遊んでたな」
フクジュは呆れとからかいながら笑った。
「そっかぁ、海の水ってしょっぱいもんね」
「え?しょっぱいの?」
カスミは眼を丸くした。
「そう。舐めてみなよ」
「・・・うん!海にもういっかいチャレンジする!」
お昼の後の浅瀬にて。
カスミちゃんは麦わら帽子をかぶっている。白いリボンがとっても可愛い
ここなら背が低いカスミちゃんでも浮き輪なしで転んだとしても大丈夫。足がつく浅い浜辺だ。
「ほら、おいで!」
「つ、つよくひっぱらないでよ!?」
「大丈夫だよ」
カスミちゃんは、小さくて可愛らしい湿った手だ。
違うね・・・。
「それっ!」
まずは水に慣れさせるのが一番だよね!ちょっと海水を掬ってカスミちゃんにかける。
「うきゃあっ!冷たい!カスミも行くもん!え~い!」
「え?ちょっと!きゃあっ!」
「それは相撲だろ!」
フクジュはツッコミを入れた。カスミが突進してきたからだ。
「あははっ!カスミの海~の勝ち!」
「全く大丈夫か?ルピナス」
「はい。ありがとうございます。びっくりしただけです!あははっ!負けちゃった!」
フクジュ先生が手を出してくれた。先生の手は指先が長くてちょっと冷たい。薬品が染み着いた医療研究者の手だ。
1
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
転生したら王道乙女ゲームのモブ!?
萌凛珠
恋愛
私はサーレイト。事故でこの世界、王道乙女ゲームの世界に転生してしまったの!イケメンなお兄様や婚約者はまさかの攻略対象!?けど、私はモブ。
そんな転生侯爵令嬢のお話
R15は一応のため。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
新婚なのに旦那様と会えません〜公爵夫人は宮廷魔術師〜
秋月乃衣
恋愛
ルクセイア公爵家の美形当主アレクセルの元に、嫁ぐこととなった宮廷魔術師シルヴィア。
宮廷魔術師を辞めたくないシルヴィアにとって、仕事は続けたままで良いとの好条件。
だけど新婚なのに旦那様に中々会えず、すれ違い結婚生活。旦那様には愛人がいるという噂も!?
※魔法のある特殊な世界なので公爵夫人がお仕事しています。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる