7 / 88
入学式7
しおりを挟む「話聞いてた!?・・・もうわかるでしょ?透視、 盗聴、ハッキング」
「ん?あ、あのさ・・・」
ちょっと考えて思った。
「何?」
「それ、ストーカーって言わない?」
「はぁ!?ぼくの能力だって言ってるでしょ!?」
「いや、覗きは良くないよ」
「ストーカーじゃない!見てただけだよ!」
「みんなそう言って言い訳するんだって知ってる?」
「だから、違うって!」
「でも・・・」
怪しい・・・。ひょっとしたら着替えまで見てたりするんじゃ・・・。年上としてちゃんと注意しなきゃ・・・!
「何その目!見守ってただけだから!」
「ストーカーはみんなそう言って・・・
「わかった!じゃあもう心配しない!」
「え?心配してくれてたの?」
ヤマブキ君は頬をポリポリと人差し指でかく。
「・・・だ、だってきみ、ため息ばっかりついてるし、即刻ヤバい先輩に絡まれてるし・・・」
あーまぁ、確かにイベリスさんはヤバい人だね。君も似たり寄ったりな気がするけど・・・
「そっか・・・。2人とも悪い人じゃないから大丈夫だよ。ありがとね、ヤマブキ君」
なんだかグッタリしてるのが可愛いく思えてフードの頭をナデナデしてみた。
「・・・・・・っ!はぁ・・・やっぱりきみは、ぼくまでタラシ込むつもり?ぼくはそんな光人間の眩しいきみとは住む世界が違うの!」
手は払われなかった。ようやく目が合った蛍光の眩しい黄色だ。
「え?これから同じ寮暮らしだよ?」
ヤマブキ君はうなだれてされるがままだったけどバ ッと移動してドアに隠れた。
「だ!男子と女子の境があるでしょう!?そ、そう いう意味だや!」
「え?今噛んだ?」
「あ、揚げ足取らないでよ!もういいでしょ!?じ ゃ、これきゃらよろしきゅね!」
ドアをバタンと閉めてしまった。ここが彼の部屋みたいだ。
「また、噛んだ?」
「う、うるしゃい!!」
またまた噛んだけど、それっきり反応が無くなっちゃった。
「ふふふっ。よろしく」
「・・・・・・よろしく・・・」
ヤマブキ君は部屋に閉じ籠ってしまったけど、答えてはくれた。う~ん、可愛いんだけど、ちょっとストーカー気負が怖いな・・・
「顔合わせは終わったか。引きこもり2人ともきちんと会話できたんだな。あの2人が・・・珍しい」
先生は意味ありげにニコリと笑った。
「先生、もっと優しく・・・」
「俺、優しくないか?」
「・・・!」
もう!この先生が担任だと苦労するよね この人はZクラスの担任で寮監のフクジュ先生。入 学式で頭を抱えてた先生で保健室の先生だ。眼鏡をかけた白衣のイケメンだし、にこやかなんだけどち ょっと、イヤ、かなりのドSだ。
何だろう?先生にじっとり見られてる視線は頭かな?
「・・・・・・先生?なんか近づいてないですか?」
何なの!?私何かした!?
「・・・・・・ん?」
あ、目があった・・・って!かお、顔近い・・・!!
「ふ、フクジュ先生!?」
「・・・なるほどな、それが能力か」
先生はそう言ってすぐ離れた。
「・・・え?何ですか?」
「いや、何でもない」
一体何だったの!?
その時、先生がドタンと音をたてた。
「いたあっ!なんですか?転んじゃいましたぁ!」
「ん?先生の足元、床がそこだけ腐ってる!?」
「ボタンさん、痛いじゃないですかぁ!あ、ケータ イが熱っ!ヤマブキ君ですね!」
「2人を怒らせたからですよ・・・」
先生から小さな汗が見える。年齢も幼くなったようだ。自業自得ってヤツだ。でも、先生って二重人格なの?
「あ、空いた底から失くした水晶のペンダントが!良かったぁ!」
「あ、先生の能力って、ひょっとして・・・」
「はい。ぼくの能力は幸運と不運。ラックなんですよ」
「あははっ!せ、先生!そ、その顔なんで・・・!!」
眼鏡が外れて目が3になってる!!
「あははははははっ!」
「・・・・・・!笑ってないで眼鏡くださいよ!」
「あははっ!ご、ごめんなさブフっ!」
ダメ、見るたびに笑っちゃう!!
「パパ、眼鏡はここですよ!」
「あ、ありがとうございます。カスミ」
先生はようやく眼鏡を受け取ってかけた。
「うわぁ!可愛い!カスミちゃんて言うの?・・・ってパパ!?」
「はい!フクジュがいつもおせわになっております」
「あ、どうもご丁寧に。こちらこそよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げて合わせてお辞儀してしまった。 しっかりしてるなぁ・・・ ヒヨコみたいなウェーブした柔らかい金髪は肩まででハーフアップにしてる。黄色にも水色にも見える色が薄くてわかりにくい瞳だ。幼稚園かな?妖精さんみたいに可愛い!
「パパはお世話する側だ!」
「って!先生がパパ!?」
確かに、フクジュ先生は首下のサイドで緩く結んでいるからわからなかったけど、ウェーブした金髪はカスミちゃんと髪質が同じだ。先生の金髪は色がシャーベットみたいだったからわかりにくかった。黒なのに白っぽく見える不思議な瞳だ。
眼鏡をかけた先生はやっぱりイケメンだ。かけた方がイケメンなんてぶぷっ!
「はい。カスミ、これ見つけたぞ」
「あ、ありがとパパ」
ん?なんだろこの空気・・・?
「あ、お姉ちゃんだね!」
「え?」
カスミちゃんはパアッとしたような顔で見上げてきた。
「あのね、カスミは占いができるの!きのう占ったらお姉ちゃんね、このがっこうでいっしょうなかよ しなひととあえるよ!」
「いっしょうなかよし?」
「うん、いっしょう!」
「そ、そう・・・?」
え~っと?困っていたらフクジュ先生が得意げだ。
「カスミの占いは百発百中だぞ」
「そう!凄いんだね~」
このくらいの頃っておまじないとか占いとか好きになるんだよね~。ナデナデしちゃう!
「お姉ちゃん信じてないでしょ!じゃあ、お姉ちゃんがだれと一番仲良くなりたいか、カスミに教えて?占ってあげるから!」
「え?」
「あ、でもそのすぐ後にこのペンダントなくしちゃったから、邪魔があるかもね。タオルで拭かなきゃ」
先生はそのタイミングで立ち上がった
「さて、挨拶も済んだしゆっくりしてていいぞ。面倒だから問題起こすなよ!」
「ば、パパ?」
「仕事残してるから学校に戻る・・・」
「うん・・・」
「あ、それと・・・・・・」
フクジュ先生はカスミちゃんに何か伝えた。
「うん、わかった!」
「・・・?」
カスミちゃんは向き直る。
「さて、お姉ちゃん、いちばんなかよくなりたい人は?」
2
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた
菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…?
※他サイトでも掲載中しております。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
皇帝は虐げられた身代わり妃の瞳に溺れる
えくれあ
恋愛
丞相の娘として生まれながら、蔡 重華は生まれ持った髪の色によりそれを認められず使用人のような扱いを受けて育った。
一方、母違いの妹である蔡 鈴麗は父親の愛情を一身に受け、何不自由なく育った。そんな鈴麗は、破格の待遇での皇帝への輿入れが決まる。
しかし、わがまま放題で育った鈴麗は輿入れ当日、後先を考えることなく逃げ出してしまった。困った父は、こんな時だけ重華を娘扱いし、鈴麗が見つかるまで身代わりを務めるように命じる。
皇帝である李 晧月は、後宮の妃嬪たちに全く興味を示さないことで有名だ。きっと重華にも興味は示さず、身代わりだと気づかれることなくやり過ごせると思っていたのだが……

すり替えられた公爵令嬢
鈴蘭
恋愛
帝国から嫁いで来た正妻キャサリンと離縁したあと、キャサリンとの間に出来た娘を捨てて、元婚約者アマンダとの間に出来た娘を嫡子として第一王子の婚約者に差し出したオルターナ公爵。
しかし王家は帝国との繋がりを求め、キャサリンの血を引く娘を欲していた。
妹が入れ替わった事に気付いた兄のルーカスは、事実を親友でもある第一王子のアルフレッドに告げるが、幼い二人にはどうする事も出来ず時間だけが流れて行く。
本来なら庶子として育つ筈だったマルゲリーターは公爵と後妻に溺愛されており、自身の中に高貴な血が流れていると信じて疑いもしていない、我儘で自分勝手な公女として育っていた。
完璧だと思われていた娘の入れ替えは、捨てた娘が学園に入学して来た事で、綻びを見せて行く。
視点がコロコロかわるので、ナレーション形式にしてみました。
お話が長いので、主要な登場人物を紹介します。
ロイズ王国
エレイン・フルール男爵令嬢 15歳
ルーカス・オルターナ公爵令息 17歳
アルフレッド・ロイズ第一王子 17歳
マルゲリーター・オルターナ公爵令嬢 15歳
マルゲリーターの母 アマンダ
パトリシア・アンバタサー エレインのクラスメイト
アルフレッドの側近
カシュー・イーシヤ 18歳
ダニエル・ウイロー 16歳
マシュー・イーシヤ 15歳
帝国
エレインとルーカスの母 キャサリン帝国の侯爵令嬢(皇帝の姪)
キャサリンの再婚相手 アンドレイ(キャサリンの従兄妹)
隣国ルタオー王国
バーバラ王女

目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる