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◇学ラン

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 これで4着目。
 さっきまではブレザーっぽいのを着てて、今は学ラン。

 ブレザーでネクタイもカッコいいけど、まあ普段の制服がそっち系なので。そこ行くと、学ランは、もう、レアで。

 すっごい、カッコよすぎる、蒼紫。似合いすぎる。
 やばいなー、これ。

 この写真欲しい。
 蒼紫の学ラン写真。

 なんて、オレが考えながら、写真撮影をされてるなんて、誰も分からない。
 分かるはずないけど。


 学ランに着がえてた時は、智さんも一緒に部屋に居たもんだから、出来なかったんだけど。学ラン着てる蒼紫がカッコよすぎて、抱き付きたかった。まあ。……智さん居なくても、自分からそんな事が本当にできるかは、謎だけど。



「2人見つめあってくれる?」

 カメラマンからの要求。
 そういうのを望む客層が居るからか……いつもこれ系の要求来るけど。


 きょ……
 今日は恥ずかしいぞ。


 昨日あんなにキスしちゃって。
 ……しかもこんなにカッコいいって思っちゃってるのに、見つめあうとか。


 いや、だめだめ!!
 平常心。
 バレる訳に、いかないんだから。

 しかも今なんて、皆の視線がオレ達の顔に集まってるんだから。

 息吸え。深呼吸。
 大丈夫。今まで、蒼紫にすら、全くバレずにやってきたんだから。


 すうと息を吸って、息を止めて、蒼紫と見つめあう。

 大丈夫、いつも通り。
 よし、このまま、いける――――……。

 思った瞬間。

 蒼紫が、ふ、と。
 瞳を細めて、微笑んだ。


「……!」

 っやば――――……。
 カッと赤くなりそうになって、顔を背けた瞬間、カメラマンの「はいOK」の声がかかった。

 途端に周囲がざわついて、皆が片付け始める。


 やっば。
 ……助かった、終わって良かった。

 ドキドキドキドキ。
 心臓を落ち着けようと、頑張っていると。




「蒼紫、涼、こっち来て」

 智さんに呼ばれて、カメラマンさんの所に行って、写真の確認。


 うわー、蒼紫超カッコいい。
 この雑誌買っちゃおうかなー。



「どれがいいとかある?」

 言われてつい、蒼紫がめっちゃカッコイイ写真を指差してしまう。
 2人で写ってるから何も思われないだろうと思って。

 オレのうつりとかは、別にどーでもいいし。

 正直、アイドルとかで売った訳でもないのに、アイドルみたいな扱いをされる事も多くて、蒼紫は若干嫌がってる。

 歌を聞いてもらいたいっていう気持ちのが強いみたい。

 オレはそこまでこだわりなくて、別にアイドルみたいにルックスから好かれても良いし、そこから歌も聞いてくれたらいいなという気持ちのが強い。

 蒼紫が作る歌が大好きだから、オレは、アイドル的な視点から入った人達の耳に歌が入って、好きになってもらえるならそれでいいし。

 だから蒼紫がカッコイイ方が売れるだろうし。



「涼はこっちのが写りいいんじゃない?」

 智さんが言うけど、オレ、蒼紫視点だから。……とは言わないけど。
 そうかな?と誤魔化しつつ。希望だけ伝えてあとはカメラマンさんにお任せで、撮影終了。


「じゃあ、次の雑誌社のカメラマンがここで用意してる間に取材受けるから、とりあえず学ラン脱いで、着替え終わったら、電話してくれる?」

「はーい」

 2人で撮影の部屋を出て、隣の部屋に戻って、ドアを閉めた瞬間。


 蒼紫が、かち、と鍵を掛けた。






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