「嫌いな君に、恋をした僕」

悠里

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7.嘘みたいに。※

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 キスしてもいいか聞かれて、戸惑ってる内に、唇が触れた。
 声が漏れないように、と言われて、反論が奪われた。

 その日は、僕の熱を解放してくれて。カインのも、一緒に。
 ――――それで。それから、何回も。カインが、僕の部屋に。来るようになった。



◇ ◇ ◇ ◇


「何、考えてるの?」
「……ふ……っ」

 トリップしてた僕の頬に触れて、カインがじっと見つめてくる。

「まだ余裕ある?」
「……っ……」

 ぷるぷると、小さく、首を振る。余裕なんか、ない。
 カインとする時、僕に余裕があった時なんか、ない。

「シュリ――オレの、なめる?」
「……う、ん」

 体を起こした、カインの脚の間。
 こんなの舐められるようになっちゃって……。僕ってば……何してんだろ。
 でもだって、カインが散々してくれるのに、何もしないとか、なんかちょっと、人としてどうなんだと思って……。

「もっと、深く入れて」
「……ん、む……う……」

 奥まで入れられて、涙が滲む。

「こっち見て、シュリ」
「……ふ、う、……」

 頬に触れられて、顔を上げさせられる。目が合うと、「……えろ」と呟かれて、反論しようと思ったのに中で、大きくなるというか硬くなったというか。

「んぐ……ふ……」
「鼻で息して? 舌、使って―― 苦しかったら、出していいよ」
「……ん、ふっ……」

 カインに、言われるまま。
 なんだかとても苦しいし、僕にとっては、ものすごく倒錯的な感覚のある行為を、続ける。

「……ふ、は……」

 少し中で出されて、ごく、と飲み込む。
 けほ、と、せき込んでると、顔に触れられて、そのまま抱き寄せられてしまう。

「――頑張ったね。いい子、シュリ……」

 キスされて、そのまま、また頬にも、額にも、キスされる。

「……かぃ、ん……」
「どうしたい?」
「――」
「早く、言ってごらん……?」

 ひゅ、と息を吸う。
 ――もう、どこもかしこも、カインに触られてないとこなんて無い気がする。

 いつも、言って、と言われていることが、喉に引っかかる。
 言うたびに、なんか――おかしくなっていくような気がして。ドキドキする。

「シュリ――かわいいな」

 ちゅ、と頬にキスされる。

 この人は、いつもこんな風に、相手をぐちゃぐちゃにして、抱くんだろうか。
 いつも。こんなこと言って、相手にも、言わせてるんだろうか。

 じっと見つめられて、僕は、ふ、と息を潜めた。涙が滲む。


「……好 き…… 早く……して」

 言うと、「いいよ」とカインが微笑む。

「というか、こっちが限界だって……」
「……んん……ん、あぁ、っう……!」
「――声……」

 またカインの手でふさがれる。息が苦しい。
 ……何だか、すごく、それに興奮するような……。

「何。苦しいの、気持ちいいの?」

 そんなことを言い当てながら、奥まで、突き上げられた。

「……あ、ぅ……ん、ン……っ……カイ、ン……」
「……ああ、もう……可愛いな」

 抱いてる間、シュリはよく、可愛いとか、言う。
 可愛い、好きだよ、いい子だね。繰り返して、抱き締めてくる。

 ――それは本気で……やめた方がいいと思う。
 なんか……よく分からない気分になるから。

「シュリ……」
 色っぽい声で僕の名前を呼ぶカイン。

「っ……んんっ……ふ、ぁ…………」

 中を突きあげる音、抜き差しされる音、カインの腰骨が、僕の肌にぶつかる。……つまり、もう奥まで入れられて、隙間すらないってこと、で。

「……あ、ん……っ」
「また、イッた……? 中、きっつい……」
「……ひぁ……ぁ……んん……」

 きゅうきゅうに締め付けて、うねってる中を、カインが突き上げてくる。


「……はぁ……っき、もち…………」

 思わず言ってしまったら、抱き付いてるカインの体温が一気に上がった気がした。強く深く抉られて、もう何も考えられない。


「……あ……っ……!!」

 僕の腰を強く掴んで、なかで、カインがイッた。
 仰け反ってた僕の背が、ベッドに沈み込む。


 触ってもイけないなんて、言ってたのが嘘みたいに。
 体全部が。頭の中まで全部が。――カインが与えてくる快感に、支配される。




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