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side*陽斗 9

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 触れてた唇を、ゆっくりと離す。

「陽斗さん……」

 なんか、ものすごく嬉しそうな顔で笑って。
 オレを、じっと見つめてくる。

 まっすぐな、この瞳が、すごく、好きだなと思う。

 三上とこうなってから、なんかずっと一緒だった気がして。

 ――――……三上と久しぶりに離れて、
 三上の事を思い出しながら、三上との事を話すとかしていたら。

 ……なんか。
 わりと冷静に、三上の事想えて。

 分かってたけど、ますます好きを実感した気がする。


「……結構酔ってるでしょ」

 オレを優しく見つめて、ふ、と笑う三上の手が、頭から頬に、触れる。
 少し首まで滑って、苦笑い。

「熱いよ、陽斗さん」

 ちゅ、と頬にキスされて、ただ、三上を見上げる。


「――――……可愛いんだから、オレ居ないとこで、あんまり飲まないでよ」

 両手でオレの頬を挟んで冷やしながら、クスクス笑う。


「陽斗さん、あのさ」
「……」


「オレんち、連れて帰っていい?」
「――――……」


「もう遅いし、変なこと、しないから。シャワー、別々に浴びて、寝る準備して。――――……一緒に寝よ?」

 最後、ちょっと、優しく笑みながら、聞かれて。


 ――――……断れる奴って。居るのかな……??
 居る? こんな風に言われて、断れる奴。居ないよね。絶対。



「……朝、オレんち寄って、スーツ着替える」
「ん。一緒に行く」


「……じゃ、行く」


 三上はすぐ、嬉しそうに笑って、オレの腕を掴んだ。


「早く帰りましょ」
「ん」

 頷いて、立ち上がる。
 三上が先を歩いて、一緒に店を出て、エレベーターで一階へ。

 夜の街を、一緒に歩き始める。


「兄貴との話、どうでした?」
「……うーん。どう……」

 どうって言ったらいいんだろ。うーん。


「なんか、志樹、だなあって感じで……」
「うん」

「どう転がっても、良いみたいな、感じ。分かる?」
「分かる」

 三上は、すごく苦笑い。

「……反対もされなかったってことですよね?」
「うん」

「賛成もされなかった?」
「うーん……? 反対してないっていう時点で、認めてくれてるような気もしたけどね。どっちでも、いい、て感じがしたかなあ」

 クスクス笑いながら、思い起こしていると。


「兄貴が陽斗さんの事、好きじゃなくて良かった」
「…………えっ??」


「……いや、なんとなく」

 オレの顔を見て、三上は、そう言いながら、ぷっと吹き出した。


「そんなに驚く?」
「……だって。志樹がオレを好きじゃなくて良かったって……意味が全然分かんなくて」

「分かんないじゃん。兄貴が陽斗さんに惚れないとも、限らないし」
「……オレ達、そんな雰囲気、一切ないけど」


「――――……あのね、陽斗さんに無くても、相手にある事もあるからね?」
「…………」

「これは、兄貴に限らずだから」

 何だか真剣な顔でオレを見つめてくる三上を見てたら、何だか可笑しくなってきて。


「それって、男の事言ってる??」
「男も女も」


「……オレ、男にモテた事ないけど」
「――――……」


 三上は、何やら、すっごく眉を寄せて、複雑な顔をしている。



 ……ん?









◇ ◇ ◇ ◇

(2022/6/2)

あれっ。26日以来。
思ってたよりちょっとお久しぶりの更新でした(*'ω'*)
ただいま、の気分。
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