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◇マジで
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「……まあ、違うとは思うんだけど、一応聞いとくけど」
祥太郎が、オレを見ながら眉を顰める。
「ただ隣に、ぐーぐー寝ました、じゃ、ねえよな……?」
「そんなの何でお前に報告すんだよ」
「……だよな」
んー、じゃあ、と祥太郎は、更に眉を顰めてる。
「――――……ヤった。ってこと?」
「そう」
「――――……どこまで?」
「まあ。普通に。全部」
「――――……」
視線をしばらく彷徨わせた後。またしばし、固まっている。
「つか、お前、店、戻んなくていいの?」
オレがそう言うと、はー、とため息をつく祥太郎。
「……そんなの今どーでもいいし。……ていいうか、お前、マジで口説いてるとか、言ってんの?」
「マジ」
「……綺麗、とか言ってたのは分かってるけど、何、そういう意味で惚れてたの?」
「複雑で分かんなかったけど、とにかく今はそういう意味」
「男だけど?」
「ああ。男だけど」
「マジで言ってる?」
「マジで」
しつこくて苦笑しながら頷くと。
祥太郎は、ふーん、と言ったきり黙った。
「……ていうか、蒼生は、男、ありだったの?」
「絶対ナシだった」
「――――……だよなぁ?」
「つか、今だってナシだけど。先輩だけアリ」
「――――……」
少し無言だった祥太郎は、プッと吹き出した。
「お前、何、ほんとに、本気な訳?」
「だからさっきっからそう言ってるだろ」
「何、一体何で、そんな事になっちまう訳? むかつくってとこから、いきなり飛び越えすぎだろ」
「――――……もともと好きだったんだよ。あとから考えれば」
「まあ、そっちは分からなくもないけど。先輩、男アリだった訳?」
「……いや、ナシだったと思うけど……」
「あー、お前、何なの、すげー詳しく聞きてぇけどいい加減戻らねえと……」
くっそ、と舌打ちしつつ。
祥太郎が、オレをまっすぐ見つめる。
「今度1人で来い、話聞くから」
「あー……明後日、来れるかも」
先輩、兄貴と約束してたもんな……。
「OK。じゃ店戻るぞ」
祥太郎にそう言われて、ああ、と頷く。
「あ。口説き中ってことは、まだ恋人じゃねえんだよな?」
「ない」
「……でもヤっちゃった訳?」
「……まあ、話してる流れで……2日かけて、って感じ」
「どんな流れだよ……」
女なら分かるけど、とぶつぶつ言いながら祥太郎が店のドアを開けた。
続けて入って、先輩の隣に戻る。祥太郎はいつもの立ち位置に戻る。
「先輩、すみません」
スマホを見ていた先輩の隣に座ると。
「ん。お帰り。どうしたんだ?」
「……ああ、ちょっと話があって」
「ふうん……」
先輩は、くす、と笑いながら、オレを見る。
「何ですか?」
「いや、なんか……」
「総長と副長かー、と思って」
祥太郎とオレを見比べて、先輩は、クスクス笑ってる。
「笑わないでくださいよ」
苦笑いで答えると。
「だって、並んでると、どうしてもあの服着てた写真が重なって」
「はいはい。そろそろ忘れてくださいね」
そう言うと先輩は、ふ、と笑む。
その顔に、しばし見惚れる。
何だかなあ。――――……ほんとに、綺麗に笑うよなあ……。
「――――……先輩って、何でそんな、綺麗なんですかね?」
「――――……は?」
「……会社に居てもずっと思うんですけど。ていうか、オレ、今までもずっと思ってたかも」
「――――……そういうの言うなって、言ったじゃん」
「会社ででしょ。結構我慢しましたよ」
「……っ」
「もう帰ってきたし、別に今周りに居ないからいいでしょ?」
「ダメ」
「何で?」
「恥ずかしすぎるからに決まってるじゃんか」
そんな台詞に、ふ、と笑ってしまう。
嫌な理由が、「恥ずかしすぎる」だもんなあ。
……可愛い。
(2022/1/24)
祥太郎が、オレを見ながら眉を顰める。
「ただ隣に、ぐーぐー寝ました、じゃ、ねえよな……?」
「そんなの何でお前に報告すんだよ」
「……だよな」
んー、じゃあ、と祥太郎は、更に眉を顰めてる。
「――――……ヤった。ってこと?」
「そう」
「――――……どこまで?」
「まあ。普通に。全部」
「――――……」
視線をしばらく彷徨わせた後。またしばし、固まっている。
「つか、お前、店、戻んなくていいの?」
オレがそう言うと、はー、とため息をつく祥太郎。
「……そんなの今どーでもいいし。……ていいうか、お前、マジで口説いてるとか、言ってんの?」
「マジ」
「……綺麗、とか言ってたのは分かってるけど、何、そういう意味で惚れてたの?」
「複雑で分かんなかったけど、とにかく今はそういう意味」
「男だけど?」
「ああ。男だけど」
「マジで言ってる?」
「マジで」
しつこくて苦笑しながら頷くと。
祥太郎は、ふーん、と言ったきり黙った。
「……ていうか、蒼生は、男、ありだったの?」
「絶対ナシだった」
「――――……だよなぁ?」
「つか、今だってナシだけど。先輩だけアリ」
「――――……」
少し無言だった祥太郎は、プッと吹き出した。
「お前、何、ほんとに、本気な訳?」
「だからさっきっからそう言ってるだろ」
「何、一体何で、そんな事になっちまう訳? むかつくってとこから、いきなり飛び越えすぎだろ」
「――――……もともと好きだったんだよ。あとから考えれば」
「まあ、そっちは分からなくもないけど。先輩、男アリだった訳?」
「……いや、ナシだったと思うけど……」
「あー、お前、何なの、すげー詳しく聞きてぇけどいい加減戻らねえと……」
くっそ、と舌打ちしつつ。
祥太郎が、オレをまっすぐ見つめる。
「今度1人で来い、話聞くから」
「あー……明後日、来れるかも」
先輩、兄貴と約束してたもんな……。
「OK。じゃ店戻るぞ」
祥太郎にそう言われて、ああ、と頷く。
「あ。口説き中ってことは、まだ恋人じゃねえんだよな?」
「ない」
「……でもヤっちゃった訳?」
「……まあ、話してる流れで……2日かけて、って感じ」
「どんな流れだよ……」
女なら分かるけど、とぶつぶつ言いながら祥太郎が店のドアを開けた。
続けて入って、先輩の隣に戻る。祥太郎はいつもの立ち位置に戻る。
「先輩、すみません」
スマホを見ていた先輩の隣に座ると。
「ん。お帰り。どうしたんだ?」
「……ああ、ちょっと話があって」
「ふうん……」
先輩は、くす、と笑いながら、オレを見る。
「何ですか?」
「いや、なんか……」
「総長と副長かー、と思って」
祥太郎とオレを見比べて、先輩は、クスクス笑ってる。
「笑わないでくださいよ」
苦笑いで答えると。
「だって、並んでると、どうしてもあの服着てた写真が重なって」
「はいはい。そろそろ忘れてくださいね」
そう言うと先輩は、ふ、と笑む。
その顔に、しばし見惚れる。
何だかなあ。――――……ほんとに、綺麗に笑うよなあ……。
「――――……先輩って、何でそんな、綺麗なんですかね?」
「――――……は?」
「……会社に居てもずっと思うんですけど。ていうか、オレ、今までもずっと思ってたかも」
「――――……そういうの言うなって、言ったじゃん」
「会社ででしょ。結構我慢しましたよ」
「……っ」
「もう帰ってきたし、別に今周りに居ないからいいでしょ?」
「ダメ」
「何で?」
「恥ずかしすぎるからに決まってるじゃんか」
そんな台詞に、ふ、と笑ってしまう。
嫌な理由が、「恥ずかしすぎる」だもんなあ。
……可愛い。
(2022/1/24)
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