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◇照れる

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【side*蒼生】


 先輩が、ふっと気を失うみたいに眠った。
 後始末を終えてから、同じ布団に入った。片肘をついて体を横向きにして、じっと顔を見つめていたら、いつのまにか、眠っていた。

 ――――……ふ、と何かが胸元あたりに触れて、目が覚めた。
 目を開けて目の前を見て、すぐ、先輩がすり寄ってきた事に気付いた。


 はは。可愛い……寒いのかな。
 布団を持ち上げて、先輩を抱き込んで、少しの間暖めてあげていたのだけれど。――――……なんか可愛すぎて、ものすごくその気になりそうになって、そろそろと布団を抜け出た。


 水飲も……。
 冷蔵庫から水を取り出して、何となく窓際に立つ。

 
 
 ――――……なんか……ほんと。ヨかったなー……。
 
 
 まあ気持ち良い事は、元々好きだし。
 ――――……先輩みたいに、そういう事がやりたくないとか、そんな事は、思った事はないし。

 恋人が居ない時期も、一夜限りでも結構あったし、経験はある方だと思うんだけど。


 体がどうこうってより――――……

 先輩の反応とか表情が、ヤバすぎて。
 ほんと…………ヨかった。


 先輩も気持ちよさそうだったけど、どうだったんだろう。
 オレには未知の事だから、どんなだったのか。

 嫌がりはしてなかったし。
 イってはいたし。気持ちよさそうに泣いてたし。
 キスも、めちゃくちゃ返してくれてたから、嫌がってる風には、全然見えなかったのだけど。


 さすがに最後は余裕がなくて、少し激しくしてしまったから、
 あの時、もしかしたら少し、辛かったかなあ……。



「三上……?」

 声に振り返ると、先輩。

「あ。陽斗さん――――……起きちゃいました?」
「うん。……三上、寝た?」

「うん。少し寝ましたよ」

 そう答えると、先輩はゆっくり、隣に歩いてくる。
 なんかすごくゆっくりなので、大丈夫かなと思って、思わず触れて支えてみた。

「……体、大丈夫ですか?」

 そう聞いたら、先輩、赤くなる。

「……大丈夫。……三上、ありがと」
「ん? 何がですか?」

「……優しかったから、全然、大丈夫」
「――――……」


 ――――……何だかなあ。
 ……これ、可愛くない人、居るのかなあ。


 少なくともオレは、ほんとにめちゃくちゃ可愛いと思う。

 さっき抱いてた時の先輩もよみがえってきて、顔が見てられなくなって、思わず逸らしてしまった。

 マジで、恥ずかしい。
 なんか、心臓がドキドキしすぎて、痛い。

 と。自分のしてる体勢の不自然さに気付いて、いつまでもそっぽ向いてるのもなあと思い、先輩の方に視線を向けると。


 先輩も、オレとは反対側のそっぽを向いていて。
 ――――……ああ、なんか、先輩も恥ずかしいのかと思うと、ふと笑みが浮かぶ。


「……ね、陽斗さん」

 腕を掴んで、少し、引き寄せる。


「……抱き締めても良い?」
「――――……っ……」

 赤い顔して、ぐ、と言葉に詰まってから。


「……ん」

 それでも、小さく頷いてくれたので、そのまま引き寄せて、抱き締めた。



「――――……」



 ……男の人なのにな。この人。
 どうしてこんなに可愛いって、思うんだろう。



 顔に触れるサラサラした髪が愛しくて、ちゅ、とキスしてしまう。







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