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side*陽斗 2 ※
しおりを挟む言えないと、思って唇を噛みしめた瞬間。三上に深くキスされた。
「……っ……ん――――……っ?」
不意の激しい口づけに、為す術もなく、翻弄される。
呼吸も意識も、何もかも、その熱に奪われる。
「……ッ……ん……う、んン……ッ」
三上の、キスって……。
何か、もう、何もかも全部を奪われて、もっていかれる感じがする……。
「……陽斗さん……」
かなり経って解かれたキスに、そっと瞳を開けると、まっすぐ視線が絡む。
ほんと。……イイ男、だな――――……。
顔がイイとかだけじゃなくて。
優しくて。やたら甘くて。……たまに意地悪だけど。
なんか頼れて。
……今は、自分のことそっちのけで、オレを抱いてくれてるし。
それで……今、は、すごく――――……オトコの、顔してる。
ゾクゾクするのが、ほんとどうしよ、これ……。
「……動いても、平気って事?」
「――――……」
欲望を、我慢したみたいな声、
何か、ものすごく…… 色っぽいような気がする。
胸がすっごく、ドキドキする。
「――――……動くよ……?」
首筋にキスされて、ぴく、と肩が揺れる。三上の首に腕を回して、ぎゅうっと抱きついてみる。
やっぱり、この上なく恥ずかしいので、言葉には出来ず、「ん」とだけ、頷いた。
「――――……ひ……っぁ……」
動かれた瞬間、その感覚に、目の奥で白い光が弾けた。
「……んっ……あっ……あ、ぅ……」
……やっぱり、痛くは、ない。どうなってんの、オレ。
それどころか――――……。
「や…… 待っ……」
震える指を三上の腕にかけると、すぐに、動くのを止めてくれる。
「……っ……あ、ごめん……つい……」
言ったら、三上は、ふ、と苦笑い。
「痛いんじゃない?」
「……痛くなくて――――……びっくり……」
はあ、と息を詰めて、そう言ったら。
「――――……じゃあ……もうとめないよ」
ちゅ、とキスされて、見つめられる。
ん、と頷くと――――……また、緩く動かれて。
中のいいとこ、狙ったみたいなやり方に、くらくらする。
「……んん…あ……ッン……」
深く突き上げられて、声が上がった。
「――――……っ陽斗さん……」
締めすぎ、と囁かれて、かあっと血がのぼる。
ぐ、と貫かれて、唇をかみしめた。
「……可愛い……」
「……ッ…… ん……ッ」
もうだいぶ、激しくなったその愛撫に似合わず、ものすごく優しい手つきで、髪を掻き上げられる。
「陽斗さん……まだイケる?」
ちゅ、と頬に口付けてくる。
きゅ、と胸が痛い。見つめていると、めちゃくちゃ深く、キスされて。
思わずしがみついた三上の身体が、ものすごく熱い。
「――――……どうしても無理そうならここでやめるから良いよ、言って」
髪の毛を撫でながら、三上が耳元で、囁いた。
……もう少し余裕があれば笑ってしまう所だった。
何、言ってんの、お前。
この状況で良くそんな言葉、言えるよな。
ほんとに……。
「……馬鹿じゃ、ねぇの ……」
ぎゅううっと抱き締めると、三上は「……ん?」と聞き返してきた。
ほんと、バカ……。
おかしいだろ、この状態で、そんな言葉。
――――……優しすぎない? ……お前ってほんとに……
「……めちゃくちゃして、いーよ……」
思わず言うと、三上は、びっくりしたみたいな顔で見つめ返してきて。
その後、ふ、と笑んだ。
「後悔しないでよね」
「……させなければいい、だろ……」
「――――……」
三上は、ものすごく……優しい、顔をして。
「――――……そーする。めいっぱい、気持ちよくしてあげるよ」
ものすごく、優しい、声で囁かれて。
「――――……」
自分から、キス、してしまった。
何か、すごくしたくてたまらなくて。思わず。
舌をゆっくり、絡めて。離すと。
「ほんと――――……煽るの天才」
まっすぐ見つめ合ったままそう言うと、三上は、オレの脚に手をかけた。
「――――……ん、ぅ……ぅ…… !」
貫かれて、涙があふれ落ちて、目尻を伝った。
すぐに、何だかもう、訳が分からなくなっていく。
一言で言うなら――――……
溶けてしまいそう、な 感じ。
もうほんとに訳が分からなくなって。
頭の中、真っ白で。何も考えられなくて。
ただなんだか。
……三上が、愛しいなと、ずっと、思ってた。
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