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side*陽斗 11
しおりを挟む分かった。
――――……はっきりしないから、こんなにブレてるんだ。
昨日も今日も、自分の言動思い返せば、もう、分かってるじゃんか。
……それを変に否定したりしてるから、オレ、
こんなに意味わかんない言動になってるんだ、よな。
もう。はっきり言ってしまおう。
そしたらもう、後は三上任せにしてしまおう。
「――――……あのさ、三上」
呼んでるのに、三上ときたら、スルーで、動いてくれないし。
むむ。
「……三上」
パンフの上部分に指を引っ掻けて、くいと下げた。そこでやっと、視線が合った。
「――――……なんですか」
大きなため息を付かれてしまう。
「怒ってんの?」
「――――……別に。怒ってはないです」
「……あのさ」
「……はい」
またまた大きなため息を付きながら、三上が、やっとパンフレットを閉じて、オレを見つめてくれた。
「オレ、決まった」
「……何がですか」
「――――……やっぱり、オレ、昨日、すごくよかった」
「――――……は?」
三上が、目の前で固まる。
「……その気になんないとか、飛んじゃうくらい」
「……せんぱい?」
なんかやたらゆっくりと、呼ばれる。けど、そこには突っ込まず、続けてみる。
「……だからきっとオレ、今日もしたい。けど」
「――――……」
あ、黙っちゃった。
もういいや。最後まで話す。
「お前、後輩だし、志樹の弟だし、男だし、て、悩んでるとこは、いっぱいあるし、お前だって、きっと、そうだと思うから」
「――――……」
「もうあとはお前に任せる」
「……は? 任せる?」
「三上が無理なら無理だし。……だって、オレ、三上に何かできる気しないし」
「――――……」
三上が、テーブルに片肘ついて、口元、隠してしまった。
あぁ、なんかすげえ困ってる?
「……ごめん、困らせて。 ――――……オレは、ほんとに結構長い間悩んでたから…… 昨日なんであんなにああなったのか分かんなくて。今日もああなるのか、試したい……気もするけど……」
「――――……」
「でも試したいだけ……じゃない気も……して、なんかよく分かんないし、これ、考えてても、分かんなそうで――――……悩むとこがいっぱいあるのは確かだから、三上がやめたいなら、オレもやめたいってことにする」
「先輩……」
なんか、ものすごく、何とも言えないような顔で、三上がオレを見てる。
「オレ多分、これ以上は、自分では決められないし……三上が嫌なら無理だから.……だから。三上に任せていい?」
ものすごく、ドキドキしながら、三上に、そう言ってみた。
三上はまだ、口元隠してたけど。
まっすぐ、オレを見てはくれてるので。
答えを、待ってみる事に、した。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
あとがき💛
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
陽斗sideここまでです。
つぎからまた、蒼生くんです。お楽しみに笑
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