74 / 126
◆Stay with me◆本編「大学生編」
「できない理由」
しおりを挟む「で? あいつの事が、好きなの?」
「弟だから、好き、だけど……」
「は?……聞いてんのは弟としての好きじゃないよ。分かってんだろ」
呆れたような亮也の声に、ため息。
「――――好きも何も……無理だし」
「無理って何が?」
「……家族だし」
「――――血つながってないんだろ」
「でも、家族だよ。親も居るし、下に弟も居るし」
「ああ――――そういうしがらみに、弱そうだもんなあ、お前……」
そんな事を言いながら、ものすごい、苦笑いの亮也。
「……つか……そんなのに、強い奴、居んの」
「でも、彰は特に弱そう。人のことばっか考えてさ」
む、と黙ってると。
亮也はまた苦笑い。
「とりあえず、弟が勘違いとか言ってんのはおいといてさ。お前自身は、あいつのこと、好きなんじゃねえの?」
「さっきからさぁ…… 何でそーいう質問になんの? オレ、そんなこと、言ってないだろ」
「だって、弟が来てからじゃん。 彰がオレと、寝なくなったの」
「――――」
言葉が咄嗟に出ない。
そんなこと、関係ない、と思うのに。
「もともとセフレとかお前っぽくないけど……でも二年は続けてきた訳じゃん? なのに、オレとだけやめるんじゃなくて、女の子のセフレも、切ったんだろ?」
「――――」
「弟の顔見ちゃったら、出来なくなったんじゃないのか?」
「――――そんなんじゃない……し……」
返すけれど、自分でも歯切れが悪い。
「じゃあ、オレとできる?」
「――――」
「少し前まで、もう数えきれないくらいしてきたじゃん。今更一回くらい増えたって、かわんねえよな? ……出来る?」
「――――」
……あーもう……ほんとに……。
……寛人といい、亮也といい――――。
「……できない」
――――なんで痛いとこばっかり……ついてくるのかなあ。
テーブルに肘をついて、額を手で覆い、俯く。
「――――ちゃんと上むいて?」
亮也はそう言って手を伸ばしてきて、オレの顎を掴むと上向かせた。ちゃんと、オレと目があってから、手を離す。
「なあ。無理って、何なの?」
「……え?」
「オレとしてたってことは、男同士は、大丈夫だったんだろ?」
「――――うん……まあ」
「弟だから、無理なの?」
「……んー……うん。多分……」
「――――ふーん……でもさ。あいつは今でも彰が好きなんじゃないの?」
その言葉に、亮也を見つめ、少ししてから、首を振った。
「……違うと思う。……前に一回さ、キスマーク見られたけど……すっごい普通にスルーされて……気をつけなって注意されたし。オレに興味は無いと思う」
「……じゃあ、何もないなら、何であいつあんなに、オレを嫌う訳?」
「――――それは、分かんないけど……」
ほんとに分かんないんだよなー……。
男の友達が来るっていってた時は、別に機嫌悪くなかったし。
亮也を嫌う理由なんてないと思うし。
……なんなんだろ。
4
お気に入りに追加
650
あなたにおすすめの小説
つぎはぎのよる
伊達きよ
BL
同窓会の次の日、俺が目覚めたのはラブホテルだった。なんで、まさか、誰と、どうして。焦って部屋から脱出しようと試みた俺の目の前に現れたのは、思いがけない人物だった……。
同窓会の夜と次の日の朝に起こった、アレやソレやコレなお話。
上司と雨宿りしたら、蕩けるほど溺愛されました
藍沢真啓/庚あき
BL
恋人から仕事の残業があるとドタキャンをされた槻宮柚希は、帰宅途中、残業中である筈の恋人が、自分とは違う男性と一緒にラブホテルに入っていくのを目撃してしまう。
愛ではなかったものの好意があった恋人からの裏切りに、強がって別れのメッセージを送ったら、なぜか現れたのは会社の上司でもある嵯峨零一。
すったもんだの末、降り出した雨が勢いを増し、雨宿りの為に入ったのは、恋人が他の男とくぐったラブホテル!?
上司はノンケの筈だし、大丈夫…だよね?
ヤンデレ執着心強い上司×失恋したばかりの部下
甘イチャラブコメです。
上司と雨宿りしたら恋人になりました、のBLバージョンとなりますが、キャラクターの名前、性格、展開等が違います。
そちらも楽しんでいただければ幸いでございます。
また、Fujossyさんのコンテストの参加作品です。
食事届いたけど配達員のほうを食べました
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか?
そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。
彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王
ミクリ21
BL
姫が拐われた!
……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。
しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。
誰が拐われたのかを調べる皆。
一方魔王は?
「姫じゃなくて勇者なんだが」
「え?」
姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる