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◆Stay with me◆本編「大学生編」

「できない理由」

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「で? あいつの事が、好きなの?」
「弟だから、好き、だけど……」
「は?……聞いてんのは弟としての好きじゃないよ。分かってんだろ」

 呆れたような亮也の声に、ため息。

「――――好きも何も……無理だし」
「無理って何が?」
「……家族だし」
「――――血つながってないんだろ」
「でも、家族だよ。親も居るし、下に弟も居るし」

「ああ――――そういうしがらみに、弱そうだもんなあ、お前……」

 そんな事を言いながら、ものすごい、苦笑いの亮也。

「……つか……そんなのに、強い奴、居んの」
「でも、彰は特に弱そう。人のことばっか考えてさ」

 む、と黙ってると。
 亮也はまた苦笑い。

「とりあえず、弟が勘違いとか言ってんのはおいといてさ。お前自身は、あいつのこと、好きなんじゃねえの?」
「さっきからさぁ…… 何でそーいう質問になんの? オレ、そんなこと、言ってないだろ」

「だって、弟が来てからじゃん。 彰がオレと、寝なくなったの」
「――――」

 言葉が咄嗟に出ない。
 そんなこと、関係ない、と思うのに。

「もともとセフレとかお前っぽくないけど……でも二年は続けてきた訳じゃん? なのに、オレとだけやめるんじゃなくて、女の子のセフレも、切ったんだろ?」
「――――」

「弟の顔見ちゃったら、出来なくなったんじゃないのか?」
「――――そんなんじゃない……し……」

 返すけれど、自分でも歯切れが悪い。

「じゃあ、オレとできる?」
「――――」

「少し前まで、もう数えきれないくらいしてきたじゃん。今更一回くらい増えたって、かわんねえよな? ……出来る?」
「――――」

 ……あーもう……ほんとに……。
 ……寛人といい、亮也といい――――。

「……できない」

 ――――なんで痛いとこばっかり……ついてくるのかなあ。
 テーブルに肘をついて、額を手で覆い、俯く。

「――――ちゃんと上むいて?」

 亮也はそう言って手を伸ばしてきて、オレの顎を掴むと上向かせた。ちゃんと、オレと目があってから、手を離す。

「なあ。無理って、何なの?」
「……え?」

「オレとしてたってことは、男同士は、大丈夫だったんだろ?」
「――――うん……まあ」

「弟だから、無理なの?」
「……んー……うん。多分……」

「――――ふーん……でもさ。あいつは今でも彰が好きなんじゃないの?」

 その言葉に、亮也を見つめ、少ししてから、首を振った。

「……違うと思う。……前に一回さ、キスマーク見られたけど……すっごい普通にスルーされて……気をつけなって注意されたし。オレに興味は無いと思う」

「……じゃあ、何もないなら、何であいつあんなに、オレを嫌う訳?」
「――――それは、分かんないけど……」

 ほんとに分かんないんだよなー……。


 男の友達が来るっていってた時は、別に機嫌悪くなかったし。
 亮也を嫌う理由なんてないと思うし。
 
 ……なんなんだろ。




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