188 / 235
第2章
◇女避け?*圭
しおりを挟む「……高瀬のスーツはねー」
「ん?」
「オレだけじゃないと思うよ。妄想してんの」
「――――……ん??」
クスクス笑う高瀬。
「絶対女の子もさ、抱き締められたいなーとか、ぜっっったい思ってると思う」
力説してると、高瀬は笑いながら、オレの頬を摘まんだ。
「じゃあ、織田は、抱き締められたいって思ってるってこと?」
「――――……」
あ。そうでした。
今、オレの話だった。
しかもオレよく考えたら今、女の子もって言った。女の子も……もって。
もう、オレがそうだから、女の子もって事だよね。
ああなんか、恥ずかしい。
「そっか……どういう時思うの?」
「ど……どういう時?」
「普通に横に座ってる時も思うの?」
「――――……えっと…… 座ってる時は、そうでもないかな……?」
「ふうん?」
「……立って、なんか。背中のラインとか……? 腕、とかみちゃった時……とか……」
何だこれ。オレ今何言ってんの?
は、ハズかしすぎる……。
意識したら一気に恥ずかしくなって、顔が熱くなった瞬間。
高瀬が、ぷ、と笑いながら近づいてきて、ちゅ、と唇にキスされた。
「じゃあ、今度立った時、抱き締めてあげるよ」
「――――……」
え。嬉しい。
……じゃなくて。しっかりしろ、オレ。
「ぜ、絶対オレ、真っ赤になって、一瞬で皆に、バレるけど……」
そう言ったら。
高瀬はまたクスクス笑って。
「いいんじゃない? オレらがそうってなったら、迫ってくる奴も居なくなるだろうし。安心」
「本気?」
「まあ、……他の奴を避けるようにって考えると、本気だけどね」
高瀬はんー、と考えながら、そんな事を言う。
「……オレにより、高瀬の方に行く人が絶対的に多いと思うから、それで、安心するのは、オレだけじゃない?」
「――――……織田を好きな奴。居ないと思ってるんなら、ほんと、バラして、女よけしたい」
「……??」
その言い方ってなんだろう。
「織田を好きそうな子に、心当たり、無い?」
「……えー…………無い」
「……マジで、バラしたい」
ぶに、と頬を摘ままれる。
「あとさー。男。にも気を付けて。分かった? 織田、可愛いから、いつ惚れられるか分かんないからな」
「――――……無いと……思うんですけど」
「ある。ほんと気を付けて」
「――――……」
……意味が分かりません。
ていうか、どう考えたって、女よけして欲しいのは、高瀬さんですが。
言いたいけど。
なんか、むー、と眉を寄せて、オレの頬を挟んで、じっと見つめてくる高瀬に言えず。
「……気を、付ける。一応……」
そう言ってみたら。
「一応じゃダメだよ」
とさらに突っ込まれる。
「ほんとに気を付けて」
「……はい」
答えながら、ぷ、と吹き出してしまった。
「だからほんと、織田は、マジメに聞いてないだろ」
高瀬が、ほんとにまったくもう、みたいな顔をして、文句言ってるから、余計おかしくなってくる。
「オレより、高瀬気を付けてよ。すっごい綺麗な子とか、すっごい可愛い子が、ご飯行きましょうよーって言ってきたらどうするの」
「――――……行くと思う??」
「……う…ん。どうだろ。ものすごい可愛かったら……とか。あと、ほら、二人じゃなくて、皆で行きましょうよーっとか、断れない感じだったら……とか?」
「……100歩譲って、皆でっていうかのが断れない感じだったとして、行ったとして。――――……ってそもそも、織田がその中に居ない、皆でっていう関係が今、あんまり無いけどな」
……まあ確かに。会社関係だと、オレらはいつでもセットで居る気がするけど。
「まあもしあったとして、行っても、個人的に誰かとどーかなんて、絶対なんない」
「――――……」
「そこはオレの意志なんだから行かないって決めたら行かない」
そうなのか。絶対無いのか。
と、言葉だけだとしても、嬉しくなっていると。
「……でもさ、織田はさ、連れ込まれちゃったら困るし。だからほんとにお前は気をつけて」
「――――……」
これ、高瀬って、何回か言ってくるけど、本気なのかな。
――――……ふざけて言ってるんじゃなくて、本気??
うーん。高瀬の、ここの部分だけ、毎回だけど、全くよく分からない。
「絶対また本気にしてないだろ」
あ。バレてる。
33
お気に入りに追加
1,428
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
「短冊に秘めた願い事」
悠里
BL
何年も片思いしてきた幼馴染が、昨日可愛い女の子に告白されて、七夕の今日、多分、初デート中。
落ち込みながら空を見上げて、彦星と織姫をちょっと想像。
……いいなあ、一年に一日でも、好きな人と、恋人になれるなら。
残りの日はずっと、その一日を楽しみに生きるのに。
なんて思っていたら、片思いの相手が突然訪ねてきた。
あれ? デート中じゃないの?
高校生同士の可愛い七夕🎋話です(*'ω'*)♡
本編は4ページで完結。
その後、おまけの番外編があります♡
「誕生日前日に世界が始まる」
悠里
BL
真也×凌 大学生(中学からの親友です)
凌の誕生日前日23時過ぎからのお話です(^^
ほっこり読んでいただけたら♡
幸せな誕生日を想像して頂けたらいいなと思います♡
→書きたくなって番外編に少し続けました。
あなたのことが好きなのに
宇土為名
BL
高校2年生の江藤匡孝は通っている高校の国語教師・市倉に毎日のように好きだと言うが、市倉には相手にされない。だが匡孝が市倉に好きだと言うのにはある秘めた理由があった。
すべてのことが始まったあの春に、あの日に会わなかったなら──
くまさんのマッサージ♡
はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。
2024.03.06
閲覧、お気に入りありがとうございます。
m(_ _)m
もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。
2024.03.10
完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m
今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。
2024.03.19
https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy
イベントページになります。
25日0時より開始です!
※補足
サークルスペースが確定いたしました。
一次創作2: え5
にて出展させていただいてます!
2024.10.28
11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。
2024.11.01
https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2
本日22時より、イベントが開催されます。
よろしければ遊びに来てください。
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
その溺愛は伝わりづらい!気弱なスパダリ御曹司にノンケの僕は落とされました
海野幻創
BL
人好きのする端正な顔立ちを持ち、文武両道でなんでも無難にこなせることのできた生田雅紀(いくたまさき)は、小さい頃から多くの友人に囲まれていた。
しかし他人との付き合いは広く浅くの最小限に留めるタイプで、女性とも身体だけの付き合いしかしてこなかった。
偶然出会った久世透(くぜとおる)は、嫉妬を覚えるほどのスタイルと美貌をもち、引け目を感じるほどの高学歴で、議員の孫であり大企業役員の息子だった。
御曹司であることにふさわしく、スマートに大金を使ってみせるところがありながら、生田の前では捨てられた子犬のようにおどおどして気弱な様子を見せ、そのギャップを生田は面白がっていたのだが……。
これまで他人と深くは関わってこなかったはずなのに、会うたびに違う一面を見せる久世は、いつしか生田にとって離れがたい存在となっていく。
【7/27完結しました。読んでいただいてありがとうございました。】
【続編も8/17完結しました。】
「その溺愛は行き場を彷徨う……気弱なスパダリ御曹司は政略結婚を回避したい」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/962473946/911896785
↑この続編は、R18の過激描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる