上 下
187 / 235
第2章

◇スーツとか*圭

しおりを挟む


「あのさ?」

 高瀬の腕の中から顔をあげて、高瀬を見上げた。

「ん?」

 ゆっくり、優しい笑みが、向けられて。
 ほっこり、暖かくなりながら。


「高瀬と行きたいとこありすぎて、週休2日じゃ足りないって思うんだけど」

 そう言ったら。ふ、と笑まれて。


「足りないな。週休5日位欲しいなー」
「うんうん」

 ほんと、そう。
 そう言って。はっと、あることに気づく。

「あー。でも……」
「……ん? でも?」

 オレの言葉の続きを、待ってる高瀬を見つめて。

「オレ、スーツ着てる高瀬、好きだから……週2日しか見れないのはちょっと嫌かも……」

 思うままそう言ったら、高瀬が、また笑って、ちょっと揺れる。

「何だそれ」
「……だって。スーツ姿、死ぬほどカッコいいし」
「……まあ。ありがと……て言うとこ?」
「うん。言うとこ。だって今、めちゃくちゃ褒めてるとこだから」

 ふふ、と笑って、高瀬を見上げる。

「そっか」

 クスクス笑いながら、高瀬が頬にキスしてくれる。

「……あ、でも、私服もいいし。それも捨てがたい……ていうか、パジャマ着ててもいいけど。……あ、浴衣もいいなあ。……ていうか、高瀬、どーなってんの。全部カッコいいって」

「――――……」

 高瀬はオレが喋る程にクスクス可笑しそうに笑って。
 最後、ぐい、と頬を挟まれた。

「何言ってんの、ほんと。そこまで言われると、なんか恥ずかしいけど」

 言いながらも、すごく、優しい笑顔で。


「――――……ほんと、可愛いな、織田」

 鮮やかに、笑われると。
 ぐ、と言葉に詰まる。というか。

 もう、胸がいっぱいで、何も言えなくなると言うか。

 
「オレも、織田のスーツ、好きだよ」
「え。ほんと?」

「うん。――――……すっごい……」
「うん?」

「乱したくなるというか?」
「みだ――――……」

 繰り返しかけて、意味が分かった瞬間に、ボッと赤面。

 その反応を笑われて。からかわれてるのが分かったし、恥ずかしいのもあって、膨らんでいると。ごめんごめん、と笑われて。 頬にキスされて。


「――――……でもほんとだけどね」
「……仕事中は変な目で見ないでください」

 言うと、高瀬がクスクス笑う。

「織田は、オレの事変な目で見た事ないの?」
「え」

「スーツ大好きなんだろ?」

 じーっと見つめられて。


 ――――……えーと。変な目。
 ……スーツ。


 ……抱き締められたいとか?
 ――――……なんか。腕まくってる時、エロいなー。とか?

 ……真剣な顔してる時、こっち向いてキスして欲しい、とか……?


 …………いっぱい考えてる事、とっさに浮かんできて。

 かあっと赤くなった瞬間。
 目の前でオレを見てた高瀬が、可笑しそうに笑う。


「何でそんな素直かな……」

 狼狽えてると、よしよし、と撫でられてしまう。


「何考えてたか、教えてみな?」


 クスクス笑って見つめられるけど。
 ……言うのはかなり、恥ずかしい。

 


(2022/5/16)

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

「短冊に秘めた願い事」

悠里
BL
何年も片思いしてきた幼馴染が、昨日可愛い女の子に告白されて、七夕の今日、多分、初デート中。 落ち込みながら空を見上げて、彦星と織姫をちょっと想像。  ……いいなあ、一年に一日でも、好きな人と、恋人になれるなら。   残りの日はずっと、その一日を楽しみに生きるのに。 なんて思っていたら、片思いの相手が突然訪ねてきた。 あれ? デート中じゃないの?  高校生同士の可愛い七夕🎋話です(*'ω'*)♡ 本編は4ページで完結。 その後、おまけの番外編があります♡

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

クラスの仲良かったオタクに調教と豊胸をされて好みの嫁にされたオタクに優しいギャル男

湊戸アサギリ
BL
※メス化、男の娘化、シーメール化要素があります。オタクくんと付き合ったギャル男がメスにされています。手術で豊胸した描写があります。これをBLって呼んでいいのかわからないです いわゆるオタクに優しいギャル男の話になります。色々ご想像にお任せします。本番はありませんが下ネタ言ってますのでR15です 閲覧ありがとうございます。他の作品もよろしくお願いします

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

くまさんのマッサージ♡

はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。 2024.03.06 閲覧、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。 2024.03.10 完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m 今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。 2024.03.19 https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy イベントページになります。 25日0時より開始です! ※補足 サークルスペースが確定いたしました。 一次創作2: え5 にて出展させていただいてます! 2024.10.28 11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。 2024.11.01 https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2 本日22時より、イベントが開催されます。 よろしければ遊びに来てください。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

処理中です...