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第2章
◇スーツとか*圭
しおりを挟む「あのさ?」
高瀬の腕の中から顔をあげて、高瀬を見上げた。
「ん?」
ゆっくり、優しい笑みが、向けられて。
ほっこり、暖かくなりながら。
「高瀬と行きたいとこありすぎて、週休2日じゃ足りないって思うんだけど」
そう言ったら。ふ、と笑まれて。
「足りないな。週休5日位欲しいなー」
「うんうん」
ほんと、そう。
そう言って。はっと、あることに気づく。
「あー。でも……」
「……ん? でも?」
オレの言葉の続きを、待ってる高瀬を見つめて。
「オレ、スーツ着てる高瀬、好きだから……週2日しか見れないのはちょっと嫌かも……」
思うままそう言ったら、高瀬が、また笑って、ちょっと揺れる。
「何だそれ」
「……だって。スーツ姿、死ぬほどカッコいいし」
「……まあ。ありがと……て言うとこ?」
「うん。言うとこ。だって今、めちゃくちゃ褒めてるとこだから」
ふふ、と笑って、高瀬を見上げる。
「そっか」
クスクス笑いながら、高瀬が頬にキスしてくれる。
「……あ、でも、私服もいいし。それも捨てがたい……ていうか、パジャマ着ててもいいけど。……あ、浴衣もいいなあ。……ていうか、高瀬、どーなってんの。全部カッコいいって」
「――――……」
高瀬はオレが喋る程にクスクス可笑しそうに笑って。
最後、ぐい、と頬を挟まれた。
「何言ってんの、ほんと。そこまで言われると、なんか恥ずかしいけど」
言いながらも、すごく、優しい笑顔で。
「――――……ほんと、可愛いな、織田」
鮮やかに、笑われると。
ぐ、と言葉に詰まる。というか。
もう、胸がいっぱいで、何も言えなくなると言うか。
「オレも、織田のスーツ、好きだよ」
「え。ほんと?」
「うん。――――……すっごい……」
「うん?」
「乱したくなるというか?」
「みだ――――……」
繰り返しかけて、意味が分かった瞬間に、ボッと赤面。
その反応を笑われて。からかわれてるのが分かったし、恥ずかしいのもあって、膨らんでいると。ごめんごめん、と笑われて。 頬にキスされて。
「――――……でもほんとだけどね」
「……仕事中は変な目で見ないでください」
言うと、高瀬がクスクス笑う。
「織田は、オレの事変な目で見た事ないの?」
「え」
「スーツ大好きなんだろ?」
じーっと見つめられて。
――――……えーと。変な目。
……スーツ。
……抱き締められたいとか?
――――……なんか。腕まくってる時、エロいなー。とか?
……真剣な顔してる時、こっち向いてキスして欲しい、とか……?
…………いっぱい考えてる事、とっさに浮かんできて。
かあっと赤くなった瞬間。
目の前でオレを見てた高瀬が、可笑しそうに笑う。
「何でそんな素直かな……」
狼狽えてると、よしよし、と撫でられてしまう。
「何考えてたか、教えてみな?」
クスクス笑って見つめられるけど。
……言うのはかなり、恥ずかしい。
(2022/5/16)
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