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第2章
◇浮かれる*圭
しおりを挟む真宙を連れて戻ってきた俊兄が、「悪いな」とオレと高瀬に言う。
「真宙、おっきくなったねー、動きめっちゃ早い」
しゃがんで真宙の目の前。その頭を撫でていると。
「お前がちっちゃかった時に似てる」
「え。そう?」
俊兄の言葉に笑いながら見上げると、俊兄がクスクス笑う。
「すげーそっくりで不思議」
「顔が?」
「顔もだけど、動きとか。言う事とか」
「へー」
似てるかなあと真宙を見つめてると。
高瀬がクスクス笑って。
「織田こんな感じだったんだ」
と言いながら、真宙とオレの前にしゃがんだ。
真宙の頬を、ぷに、と優しくつまんでる。
「可愛いな」
あ。なんかよくオレにやってるやつ。
なんて思うと。
ちょっとおかしくなってしまうけど。
優しい触れ方に、真宙はまあ当然嫌がらず。
高瀬に、わーいと、むぎゅ、と抱き付いた。
「高瀬、子供好き?」
やりとりが優しい。
「まあ。嫌いじゃないかな」
そうだった。絵奈ちゃんにも優しいし。
……高瀬は、もともと優しいんだな。
こんなクールな見た目なのに。
――――……と思いながら、立ち上がって真宙を抱っこした高瀬を見ると。
今度は逆に真宙にほっぺに触れられて、クスクス笑ってるのが目に映る。
なんかめちゃくちゃ優しい顔をして笑っていて。
あれ。……クールじゃなくなってる。
なんて思って。真宙に合わせてるのかもしれないけど、高瀬、ちょっと可愛く見えちゃうし。
「なあ、圭」
「うん?」
真宙は高瀬が抱っこしてくれてるので、オレ達は来海を見守りながら。
「圭達はこれからどーすんの?」
「ん? ああ、買い物、しようかって言ってた」
「何の買い物?」
「ブラブラして……」
――――……おそろいのもの買おうって言ってるんだ、て。
やっぱり女の子だったら。言えたよなあ。
「2人分奢るから一緒に食べないか? 高瀬くんが良いならだけど」
「おごってくれんの? え、なんで?」
クスクス笑いながら聞いたら。
俊兄は苦笑い。
「この2人とオレだけで外食とかすげー大変なんだよ。食事以外なら何とかなるんだけどさ。一緒に食べてくれて、面倒見てくれると助かる」
俊兄がそんな風に言って。
オレの頭の中は。
高瀬はさっき良いって言ってくれたけど。
ほんとにいいのかな。
でもたしかに俊兄大変だろうし。来海や真宙とも少し久しぶりだったし。
でも高瀬、ほんとにいいのかな??
一瞬で色々考えていたら。
「オレ、いいですよ。全然」
真宙を抱っこしたまま、高瀬が振り返る。
「別に奢ってもらわなくても、付き合いますけど」
ふ、と笑う高瀬に、俊兄は「いや、奢らせて」と笑う。
「何か食べるもの決まってた?」
俊兄に聞かれて、オレと高瀬は顔を見合わせる。
「特に決まってないよね?」
「あぁ。来海ちゃんと真宙くんの好きなもので良いですけど」
さっきから、高瀬の答えって。
――――……なんでこんなに良い人なの。と思うような答えばかりで。
大好きで大好きで大好きすぎて、ほんと困るんだけど。
まあ別に。
良い人な答えをするから好きなのかと言われたらそうじゃないけど。
――――……好きなとこ、ありすぎる位あるけれど。
なんなら、じっと見つめてくれる瞳だけでも、大好きだけど。
「織田? 聞いてる?」
真宙と一緒に、高瀬に覗き込まれる。
「……っ」
大好きな瞳。と。 可愛いくりくりした瞳。
一緒に見つめられて、一瞬引いたら。
「圭ちゃん、話聞いてないなあ?」
高瀬が真宙にそんな事を言って、真宙とクスクス笑ってる。
――――……圭ちゃん。
ちょっと待って。
なんか。
すごい自然に、真宙と来海が呼んでる「圭ちゃん」とか言ってきたけど。
なんかめちゃくちゃ嬉しいって。
なんなら、なんか、部屋で枕抱えて転がりたい気分。
…………てバカなのかな、オレ。
でもなんかすっごい、今のうれしーし。
なんかもう。
心の中がほわほわしてて、どうしようもないみたい。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
(2022/1/6)
圭くん、もだえてます(笑)ふふ(*'ω'*)♡
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