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第2章
◇妄想よりも*圭
しおりを挟む「変な心配しなくていいのにな」
クスクス笑われて、見つめられてしまうと。
もうそのまま素直に頷いてしまいたくもなるけれど。
「んー……でもさ? すっごい高瀬好みの、すっごい可愛い子だったらとかさ。電話番号くらい交換しといてもいいかなーって思って。 そしたら、連絡が来てさ。それで、まあ少しくらい会ってもいいかーってなってさ、そんで、そこから……少しなら、とかさ。そういうのならあるかも……とか……」
途中からもう、面白そうな顔をしてオレを見ながら聞いていた高瀬。
「はは。すごい妄想、長いな?」
そう言って、可笑しそうに笑うと、オレにキスしてくれる。
柔らかく触れて、ゆっくりと、離れる。
「――――……オレ、バカみたいに、織田に好きって言ってるだろ?」
「――――……」
……バカみたいに好きなのは、オレの方だと思うんだけど。
「……オレが、織田の妄想みたいにしたら、嫌だろ?」
「……うん」
「もしそれ、オレがしたら、んで、それがお前にバレたらさ」
「……」
「泣く? ――――……別れるって言うか?」
「――――……」
黙って、見上げてると。
「どっちにしても、オレが、織田とまっすぐ向かい合えなくなるのは絶対に嫌だし」
ちゅ、とキスされる。
「絶対しないよ」
「――――……」
こんな事言ってしまって、なんでも許されるとか思われたら悲しいから、言わないけど……。
――――……もしさっきの、妄想通り、高瀬がたとえばご飯とか、行っちゃっても。それで、その先までもしかして、進んじゃったとしても。
……オレ、別れるとか……言えないと思うんだけど。
そんな簡単に、別れたいなんて……絶対、オレ、言えない。
離れたくないもんなー……。
そんな風に思いながら、高瀬を見上げていると。
「ていうかさ。 ずーっとオレんちに居させて、土日も一緒に居て、出社も一緒で、ランチも一緒で、仕事中もずっと隣だし、帰りも一緒で、帰ってきたら、オレお前に触るのにさ」
「――――……」
「お前のその妄想、どこに入る余地があんの?」
……確かに。
……どこにあるんだろ。
「……無いだろ?」
高瀬にクスクス笑われて、うん、と頷く。
確かに。
少なくとも、今は無さそう。
無さそうって、思える位。
高瀬はいつもオレを大事にしてくれている、気がする。
「――――……高瀬」
「ん?」
「……すっごい、好き」
「――――……」
言った瞬間、ん?という顔をしてから。ふわ、と笑う。
ああ。ほんとに。全部カッコいい。
なんなら、オレに触れてくる、その指すら、綺麗で本気でカッコいいと思ってしまう。
「……なに、急に?」
「――――……なんか急に思って。 変な心配してるより、大好きって言った方がいいかなって」
じ、と見つめて、そう言ったら。
ますます、目を細めて笑ったと思ったら。
「こっちおいで」
言われて、腕を引かれて、抱き締められてしまった。
すごい密着して、よしよし、と後頭部を撫でられる。
「ほんと――――……その方がいいな」
「うん」
「オレも、そうする事にする」
笑いながら、そんな風に言ってくれる。
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