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第2章

◇不思議すぎ*圭

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「オレ、今まで男に迫られた事なんて、ないし」
「……今まではそーかもしれないけど」

「けど?」
「――――……」

 高瀬がふー、とため息をついてたかと思うと。

 ぐい、と、腕を引かれて、唇を塞がれて。
 舌が、奥まで挿しこまれた。

「……っん……っ……!」

 さらにぎゅ、と抱きこまれて、全然動けない中。
 深く深くキスされる。

 近くにある高瀬の濡れた髪が、カッコいいなあ、なんてそんな事を思いながら見上げていたけれど、そんな余裕はすぐ無くなって。
 ぎゅ、と瞳を閉じるしかなくなる。

「……ン……ん……っ」

 優しい、絡み方のキス。でも熱くて――――……気持ちいい。

「―――……ん……ぅ……」

 後頭部に回った手により密着させられて、舌を奪い取られる。
 すごく長い事キスされて。息も上がるし、顔、熱いし。ぼうっとするし。
 

 キスを離されて、ゆっくりと高瀬を見上げたら。

「……そーやってさ……すぐ、色っぽい顔するだろ」

 ……色っぽくないし。

 もしも、百歩譲って、オレが今、そんな顔をしてたとしても。
 ……これは、高瀬が、めちゃくちゃ、キスするからで……。

 高瀬がキスしなかったら、そんな、顔は、しない訳で……。


 言いたいのだけれど、言葉になる前に、また唇を塞がれた。


「――――……ん、ぅ……っ……ン……」

 キスが、激しくなって――――……ますます、朦朧としてくる中で。ふ、と思ったのは。

 ――――……そんなに本気で心配する位……。
 高瀬は、オレに、その気になってくれるって事なんだよなぁ……。

 と、そう思ったら。


 ――――……なんだか、嬉しくなってきてしまって。
 高瀬の背に手を回して、抱き付いてみた。


 キスしてくれてた高瀬が、ふ、と唇を離して。
 じ、と見つめてくる。  このまま、いろいろ続くのかと思ったのに。


 なんだか中途半端に離されて、でも高瀬が何だか様子がおかしいので、思わず首を傾げてしまう。


「――――……高瀬?」

 聞くと、なんだか、困った顔。


「……どしたの?」
「――――……オレ、心配しすぎ?」

 そんな問いに、少し返答に困った後、ぷ、と笑ってしまった。

「……ん。しすぎ、かな」
「……だよな」


 高瀬は、落ちてきた前髪を掻きあげた所で止めて、そのまま、うーん、と考え込んでる。

「つーか…… こんなのを心配するの、初めてで、よく分かんねえ」

「女の子にも心配してなかった事、オレにしてるの?」
「そう……みたいだな」

 んー、と、高瀬は少し考えて。
 ぷに、とオレの頬を摘まんできた。


「――――……織田、可愛くてしょーがないんだよな、オレ」
「……」

「だから、他の奴にも可愛く見えるだろうし。酒飲むと、余計可愛くなるし」

 ……ん??

「……オレの事、酒飲むと可愛くなるって思ってるの???」
「ん」

「……よっぱらって迷惑かけるとかじゃなくて?」

 そう聞いたら、高瀬は、は?という顔でオレを見た。

「……いや。可愛いだろ。ずっと1人で帰すの心配だから、家に連れて帰ってきてたし」

 ……そうだったのか……。
 酔って迷惑かけたり、フラフラして、心配だから、あんまり飲まないように言われてるのかと思ってた。

 可愛いから、1人で帰すの心配だったって……だから、高瀬が居ないとこであんまり飲むなって言ってたの?

 ……ていうか。高瀬って、どんだけ、オレを可愛いって思ってんだろう。


 嬉しい気も、するけど。

 ……不思議すぎる……。





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