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第2章
◇ついてく*圭
しおりを挟む「もうお前、先戻ってろよ」
高瀬の言葉に、須長は嫌そうな顔を見せる。
「――――……はいはい。ほんっとお前、変わってねーな」
愚痴っぽく言って、苦笑いしながら須長が出ていって、トイレのドアが閉まった。
と、同時に。
「……織田」
囁かれて、抱きよせられて。ドアから少し隠れる所に背中を軽く押し付けられて。急に深くキスされた。
「――――……」
ドア開いても、見えはしないとこだけど……。
気になって、全然集中できないので、胸に手をついて高瀬を離す。
「……た、かせ……」
唇を離して、見つめる。
あー、なんか……高瀬だなあ。
「……高瀬、おかえり……。 すっげー、会いたかった」
ドアが気になりながらも、ついつい、ぎゅ、と抱きついてしまった。
と、すぐに、引き離されて。
「――――……つか、だめだ。 織田、出ようぜ」
「え???」
急な移動に、高瀬を見上げると。
「……こんなとこで出来る事じゃおさまんないから、帰ろ」
言われて、意味が分かった瞬間、かあっと頬が、熱くなる。
腕を引かれたまま、店内に戻る。
「あ、戻ってきた。 大丈夫、織田? 気分悪いって?」
加藤に聞かれて、え、と思って、須長を見る。くす、と笑われて。
あ、そういう事にしてくれたのかと悟って、オレは、うん、と頷いた。
「顔赤いもんなー……良かったな、高瀬来てくれて。つうか、高瀬が急に来て、すげー女子がざわついたぞ……」
「あ、そうなんだ……」
最後の方をこそこそ言った加藤に、苦笑いで答えていると。
高瀬の事を、周りの女子達が見上げてるのが、見える。
でも、高瀬は全く見向きもしないて、自分とオレの鞄を、手に取った。
「悪いな、加藤。織田連れて先出る」
「うん、いーよ。織田、気を付けてな」
「あ、会計まだなんだけど」
「あーまだ清算してないから立替とく。月曜でいいや」
「分かった。ごめんね」
その会話が終わると同時に、高瀬がオレの背中に手を置いた。
「じゃあまたな」
周りに挨拶してる高瀬に、背中を軽く押されて歩きながら、オレも「じゃあね」と手を振る。振り返った時に、須長と目が合って、ぷ、と笑われ。須長にも手を振った。
女子達の、せっかく来たのに帰っちゃった、的な声が聞こえてくる。
高瀬から鞄を受け取りながら、店の中を歩いて外に向かいながら。
高瀬の、カッコいい背中を見つめる。
……高瀬って、どんだけ自分が視線向けられてるかとか全然、気づいてないんだなあ……。気づいてないのか、完全にスルーなのか。まあオレ的には嬉しいけど……。
店の外に出ると同時に、高瀬に腕を取られて。引かれる。
「――――……織田、ちゃんとついてきて? タクシー乗るよ」
……もうどこまでもついていく、と、言いたいくらい。
カッコイイ笑顔で振り返られて。 オレは、うん、と、頷いた。
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