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第2章

◇須長って高瀬の事?*圭

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「二人で見つめあってんの、やめてくれる?」

 笑みを含んだ須長の声に、はっとして、高瀬を見つめてた視線を少し逸らした。 高瀬は、ムッとして、はー、とため息。

「……お前さ……同じビルでばったり会ってから、敢えてお互い声かけずにいたよな? なのに、何で、同じ飲み会来てんの」

「つか、オレだって、お前来るならやめようと思ってたし。今日は高瀬来ねえって聞いたから来たら、高瀬とよく一緒にいる織田が来てて。面白そうだから、話してたけど」

「織田、マジで大丈夫? 変な事されなかったか?」
「さ、されてないよ」

「ちょっと体支えたり、ちょっと口塞いだりしただけだよなー? 織田」

 いやいや、言い方……!
 焦ってると、高瀬が。

「……――――……口塞いだって、なんだよ」

 と低い声。

「別にキスした訳じゃねーけど。手で、な」

 クスクス笑う須長。

「つか、織田がけがれるから、マジで触んな」
「ひどくねえか、こいつ。 ほら、織田、こういう奴だって……やめといた方がいいぞ」
「――――……」


 ……ていうか、この会話って。
 ――――……高瀬、オレと付き合ってるって。暴露してるとしか、思えないんだけど……。

 
「あの……高瀬、いいの? なんか、今、普通に言っちゃってる気が……」
「……どーせ大体分かってて、織田に絡んでたんだろ。そういうのバラしたりはしねーと思う。昔から色々お互い様だったし」

 高瀬がそう言うと、須長はめちゃくちゃ苦笑い。

「お互い様とか言うな。……まあ織田と話してて途中からそうなのかなぁとは思ってたけど、お前が男って……なんか全然、はまんねーし、さっき直接織田に聞いたけど、意外と反応からはどっちか分かんなかったし」

「……じゃあ良かった、織田、何もされなくて。――――……マジで触んな」

 オレをまた後ろに隠しつつ、高瀬がいう。

「……須長ってさ」

 そう言うと、2人がオレの方をぱ、と振り返った。

 迫力に、う、と一瞬詰まる。
 なんか、超イケメン2人と、トイレで、いったい何を話してるんだ。
 と思ったけど、さっきから、どうしても気になって聞きたい事を、聞いてみる事にした。


「……須長って、高瀬の事が好きなの……?」

「「……は?」」

 一瞬で、2人が、すごい険しい顔になった。
 ……ていうか、高瀬にこんな顔で見られた事って、そんな無い。

「……だ……だって、なんか、高瀬へのこだわりが半端ないっていうか……」

「ない。絶対ぇないから」
 須長は、超嫌そうに言うし。

「織田、ほんと酔ってる? 大丈夫か?」
 高瀬は、頭に触れながら、もはや心配そうに聞いてくるし。

「大丈夫だよ……」
 言うと、そのまま、頬に触れてくる。

「顔、熱いなー……」
「……ごめん」

 言いながらも、高瀬が目の前にいて、触れてくれるのが、めちゃくちゃ嬉しくて。
 すごく笑顔になってしまう。

「――――……めっちゃ笑ってるし」

 オレと高瀬のやり取りを見てた須長がクッと笑いながらそう言う。また、はた、と我に返る。

 高瀬の事大好きなの、バレバレだよね……。
 だめだ。酔っぱらってるし、高瀬が居て、浮かれてる……。

「……なあ、ほんとに高瀬、男に走ったの? 」
「――――……お前に答える必要ないだろ」

 高瀬が冷めた声でそう言ったけど。

「だってお前、男嫌いだよな」
「――――……別に。 女が好きだった訳でもないし」
 
「え。そうなの?」

「……男に走ったとかやめろよ。 織田だけだし」


「はーーー? 何それ、キャラじゃねえ、キモイ」

「……お前、ほんとにムカつくな……」


 高瀬は、またまた深いため息をついてる。
 すると、須長も、大げさなため息とともに。


「あのさ、織田。オレ、高瀬を好きなんて絶対無いから。取らねえから大丈夫」

 そう言って、苦笑い。

「……つかどっちかっていうと、ほんとに高瀬と付き合ってんなら、織田と試してみようかなーとか思ったけど」

「……冗談でもやめろよ」

 高瀬の声に、須長はぷ、と笑った。

「はは。マジで冗談。 オレ、男は無い。……面白いから、ちょっと飲ませたけど」
「ちょっとじゃねーよな……織田、かなり酔ってるよな」

「そんなじゃないよ……大丈夫だよ?」

 じー、と見つめられて。にこ、と笑って見せたら。


「――――……」


 急に影が出来て。


「……っ??……」

 キスされてしまって、びっくりして高瀬を見つめると。

 ぐい、と引かれて、片腕の中に引き寄せられてしまった。



「……昔は別にお前がしてた事もどうでもよかったけど……あの頃とは違うから、織田にだけは絶対触んなよ」


「――――……」



 須長は呆れたように高瀬を見た後、真っ赤になって焦ってるオレを見て。
 ぷ、と苦笑いを浮かべた。

「だから、男には触んねえって。あー、あと、織田、ばらさねえから安心して。高瀬どーでもいーけど、織田が困るのは何か可哀想だから」


 須長、意外と良い奴だ。 ……高瀬の事好きでも、あげないけど。











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