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第2章
◇うたたね*圭
しおりを挟む――――……あれ? 高瀬は?
外で食事を食べて高瀬のマンションに帰ってきて。
今日は高瀬が先にシャワーを浴びた。続いてシャワーを浴びて出てきたら、すごく静かで。あれ?と思って探したら、高瀬がソファで寝ていた。
ドライヤーがそばに置いてあるから、かけ終わった所で寝たのかな。
……めずらしー。
オレはよくウトウトしちゃう事あるけど……。
そっと高瀬に歩み寄り、すぐ横にしゃがみ込む。
どうやらぐっすり眠っているらしい高瀬に、 顔が自然に綻んだ。
いつもオレの方が先に眠ってしまうから、高瀬の寝顔を見るのは、暗闇の中で抱き締められてて、目が覚めた時位。
こんな明るい所で寝顔見るの、あんまりないかも……。
「――――……」
しばしその寝顔を眺めた後、寝室から毛布を取ってきて、高瀬の上にそーーっと掛ける。そしてまた、高瀬の寝顔を見つめてみる。
珍しくまじまじと見る、高瀬の寝顔。
――――…… 何か、可愛い……。
そんな風に考えた自分に気付いて、オレは微笑んでしまう。
いや、カッコいいんだけど。
……無防備なの、可愛い。
と思ったら、少し、ん、と声を出して、高瀬が動いた。
起きちゃうかな。
毛布かけただけでも……てか、ほんとよく、起きちゃうからな……。
と思って、ひたすら静かにしていたら。
「――――……おだ……」
ぼそ、と 呟いた後、高瀬はもぞもぞと動いて 毛布にくるまった。
「――――……」
動揺して、口元を手で覆う。
かあ、と顔が熱くなる。
……寝言で呼ぶとか…… ほんとに……。
顔が、綻ぶのを、止められない。
何でオレの事好きでいてくれるのかは、何回聞いても、よくわかんないんだけど。 ――――……何か、オレを好きだと想ってくれてるのは、色んなタイミングで、感じさせてくれる気がする……。
――――……高瀬……。
このままずっと、居られたら、いいな……。
ずっと――――…… オレの事、好きでいてくれたら、いいな……。
我慢できなくなって。そっとそっと、高瀬の頬に手を伸ばし、ただそっと触れる。 温もりが優しくて、オレはまた微笑むと、ゆっくりと手を離し、そこを離れようとした。その瞬間。
「――――……」
オレは、 立ち去ろうとした その手を掴まれた。
驚いて振り返ると、ソファにむくっと起きあがった、眠そうな表情の高瀬。
「――――たかせ……」
起こしちゃったー 触んなきゃよかったー……しまったーー……。
思った時。高瀬は、ふと、毛布に気づいて。
「……毛布……ありがと……」
目を軽く擦りながら、高瀬がそう言い、そして、ふ、と笑う。
――――……思わず、微笑み返して、しまう。
「……疲れてるならもう寝る? ベッドで寝た方がいいよね?」
「んー……」
高瀬がぐい、とオレの腕を引いた。
「ん?」
ソファに座らされたオレを、高瀬が背後からすっぽり抱き寄せる。
「……もう目、覚めた」
言いながら、高瀬はドライヤーのスイッチを入れると、オレの頭に温風をあてはじめた。
……うたたねから目が覚めてすぐ、人の髪乾かしてくれるって。
何だかおかしくて、背後の高瀬を振り返る。
「ありがと」
「ん」
ふ、と笑って、優しい手つきで乾かしてくれる。
しばらくしてドライヤーを床に置くと。
オレまでを毛布にくるくると巻き込んで抱き寄せた。
「……少しこのまま居て?」
優しい声で言われ、オレはふ、と笑った。
「うん。いーよ」
「――――……今すごくいい気分……」
「……そうなんだ」
後ろから、ちゅ、と頬にキスされる。
くすぐったくて、首を竦めたら、高瀬が笑って。
「――――……何か、織田の夢見てて…… 目ぇ覚めたら、織田が居た」
自分の肩に頭を載せて、クスクス笑う高瀬に、オレは微笑んだ。
「――――……」
何かオレ。
ずっと。 高瀬が居てくれれば。
――――……他に何もいらないかも。
ぎゅ、と優しく抱き締められて。
優しい仕草が 心に穏やかに 暖かくて。
「――――……」
自分の肩にのっている高瀬の頭に。
そっとそっと。
――――……頬を寄せた。
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