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第2章

◇温泉*拓哉

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「星めちゃくちゃキレイ。すごいなー」

 すっかり肩までお湯に沈み込んで、織田が真上の空を見上げて、嬉しそうにしてる。


 頬がほんのり赤くなってて。前髪が上がって額が出てて。めちゃくちゃ可愛い。 キスしたいなー。なんて思いつつ。

 今は誰もいないけれど、いつ誰が入ってくるかもわからないから、我慢。
 ……うん、織田と居るとよくあるけど、またまた耐える拷問時間の到来。


「……高瀬とさ」
「ん?」
「ふたりきりで、こんなとこに居るっていうのがさ」
「うん」

「……まだ、不思議」
「――――……」

 ふ、と笑いながら、自分の言ってる事に照れてるっぽい。

 ……可愛いなあ。
 織田。


「――――……オレもまだ不思議だから、一緒だよ」
「……そうなんだ」

 にこにこ、笑いながら、オレをじっと見つめてくる。



「オレね、今までつきあってた女の子達さ」
「うん」

「それなりに好きだと思ってきたはずなんだけどさ……」
「ん……」


「比べ物にならない位さ。高瀬が好きなんだよねー……」

 お湯につかってほんのり赤かった顔が、そこまで言って、さらに赤くなった。


「…………ってオレは、急に何言ってんだろ」

 急に気づいて、恥ずかしくなったらしくて、わたわた慌てだす。

「ごめん、なんか、言ってから恥ずかしくなった」

 織田は、手でパタパタと扇いでいる。


 ――――……つーか。ほんと。織田って。
 意識しないで、煽ってくるよなー……。

 めっちゃくちゃキスしたい。


「――――……なんか、のぼせそう。 ……オレ、もう出てていい?」
「待てよ。一緒に出るから」

 咄嗟に腕を掴んで、近づいたら。
 ――――……真っ赤になるのが、ほんとに可愛くて。

 一瞬だけ、唇を重ねてしまった。

 至近距離で見つめ合うと。かあっと赤くなる。

 なんだかなあ。可愛すぎて。
 ――――……そろそろ、限界。


「――――……部屋帰ろ?」

 そう言うと、織田が、うん、と頷く。
 歩き出した瞬間、露天の扉が開いて。人が入ってきた。


「――――……ギリギリセーフだな」

 と言ったら、「セーフじゃないってば、心臓に悪いし」と、ヒヤヒヤした顔をしてる。シャワーを浴びて、脱衣所に戻る。

「にしても、なんかほんとに空いてるね、お風呂」
「食後だからかな。 もう少ししたら混むと思うけど……」
「そっかー」

 言いながら、織田が、浴衣を羽織る。

「――――……なんか良い感じにほんのり赤いな」

 頬にすり、と、触れる。
 浴衣を羽織っただけ、髪も濡れたままの織田が、すごく可愛く見える。


「……っ」
「……また赤くなるし――――……どんだけ可愛いの、織田」


 くしゃくしゃ、その髪の毛を撫でた。
 ドライヤーで髪を乾かしてから部屋に戻ると、風呂に入ってる間に食事が片づけられて布団が敷かれていた。


「ふとんーー きもちいいー……」


 とか言いながら、織田が布団にダイブしてる。


 ほんと、何も、考えてないな……。
 布団にダイブとか……。
 


 ……可愛いけど。


 苦笑いが浮かんでしまう。




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