105 / 236
第2章
◇温泉*拓哉
しおりを挟む「星めちゃくちゃキレイ。すごいなー」
すっかり肩までお湯に沈み込んで、織田が真上の空を見上げて、嬉しそうにしてる。
頬がほんのり赤くなってて。前髪が上がって額が出てて。めちゃくちゃ可愛い。 キスしたいなー。なんて思いつつ。
今は誰もいないけれど、いつ誰が入ってくるかもわからないから、我慢。
……うん、織田と居るとよくあるけど、またまた耐える拷問時間の到来。
「……高瀬とさ」
「ん?」
「ふたりきりで、こんなとこに居るっていうのがさ」
「うん」
「……まだ、不思議」
「――――……」
ふ、と笑いながら、自分の言ってる事に照れてるっぽい。
……可愛いなあ。
織田。
「――――……オレもまだ不思議だから、一緒だよ」
「……そうなんだ」
にこにこ、笑いながら、オレをじっと見つめてくる。
「オレね、今までつきあってた女の子達さ」
「うん」
「それなりに好きだと思ってきたはずなんだけどさ……」
「ん……」
「比べ物にならない位さ。高瀬が好きなんだよねー……」
お湯につかってほんのり赤かった顔が、そこまで言って、さらに赤くなった。
「…………ってオレは、急に何言ってんだろ」
急に気づいて、恥ずかしくなったらしくて、わたわた慌てだす。
「ごめん、なんか、言ってから恥ずかしくなった」
織田は、手でパタパタと扇いでいる。
――――……つーか。ほんと。織田って。
意識しないで、煽ってくるよなー……。
めっちゃくちゃキスしたい。
「――――……なんか、のぼせそう。 ……オレ、もう出てていい?」
「待てよ。一緒に出るから」
咄嗟に腕を掴んで、近づいたら。
――――……真っ赤になるのが、ほんとに可愛くて。
一瞬だけ、唇を重ねてしまった。
至近距離で見つめ合うと。かあっと赤くなる。
なんだかなあ。可愛すぎて。
――――……そろそろ、限界。
「――――……部屋帰ろ?」
そう言うと、織田が、うん、と頷く。
歩き出した瞬間、露天の扉が開いて。人が入ってきた。
「――――……ギリギリセーフだな」
と言ったら、「セーフじゃないってば、心臓に悪いし」と、ヒヤヒヤした顔をしてる。シャワーを浴びて、脱衣所に戻る。
「にしても、なんかほんとに空いてるね、お風呂」
「食後だからかな。 もう少ししたら混むと思うけど……」
「そっかー」
言いながら、織田が、浴衣を羽織る。
「――――……なんか良い感じにほんのり赤いな」
頬にすり、と、触れる。
浴衣を羽織っただけ、髪も濡れたままの織田が、すごく可愛く見える。
「……っ」
「……また赤くなるし――――……どんだけ可愛いの、織田」
くしゃくしゃ、その髪の毛を撫でた。
ドライヤーで髪を乾かしてから部屋に戻ると、風呂に入ってる間に食事が片づけられて布団が敷かれていた。
「ふとんーー きもちいいー……」
とか言いながら、織田が布団にダイブしてる。
ほんと、何も、考えてないな……。
布団にダイブとか……。
……可愛いけど。
苦笑いが浮かんでしまう。
75
お気に入りに追加
1,478
あなたにおすすめの小説
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
花婿候補は冴えないαでした
一
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる