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第2章
◇照れる…*圭
しおりを挟む「……ふーん?」
高瀬がくす、と背後で笑う。
なんか楽しそう。
何??
「そういう事してると、うしろで何されてもしょうがないな?」
不穏なセリフに、え、と思った瞬間、背中の真ん中をつー、と指でなぞられた。びくーん!!と全身震える。
「……っ!」
顔も体も、一気にかあっと熱くなって。
がば、と起き上がって、枕を抱えたまま、壁際に退く。
「何、その反応」
ふ、と高瀬が笑って。
「……なんか、可愛すぎて、誘ってるとしか、思えないんだけど」
「――――……っ……」
さ、誘うとか、できる訳が…………っっ。
またスイッチ入りそうな顔で、近寄られて、ブルブル首を振る。
「……っ……オ、レ、すっごい腹減った」
「――――……」
オレの言葉に、伸ばしかけた高瀬の手が、ぴた、と止まった。
「……た、食べないと、倒れるかも……」
「――――……んー……」
しばし、高瀬が葛藤する様を見守る。
たぶん。
きっと、たぶん、これは、聞いてくれる。
そういう所は、ほんとに優しい、から、きっと。
「……いーよ。食べよ」
ほっとした所で、頬に触れた手に引き寄せられて、キスされる。
「――――……逃げれて、嬉しそうにすんなよな」
クスクス笑われて。
また頬にキスされて。
優しく緩んだ瞳にめちゃくちゃドキドキさせられて固まってるオレをよそに、高瀬は立ち上がった。
「ちょっと待ってて」
そう言われて、ドキドキしたまま少し待ってると、さっきリビングで脱がされた服を持ってきてくれた。
「ありがと……」
「ん。ごはん、あっため直しておくから、ゆっくりでいいよ」
ふ、と笑った高瀬が、くしゃくしゃとオレの頭を撫でて。
そのまま、部屋を出ていった。
「――――……ほんと………無理……」
……ドキドキで死ぬ事って、ほんとに、ないのかな。
と真剣に心配になる位、胸がバクバクいってる。
ほんとに強烈……。
――――……そういえば今日絵奈ちゃんに、そう言ったっけ……。
……色んな意味で、本当に強烈な、恋人に。
頭の中、溶けそうになりながら、布団に突っ伏した。
しばらくしてようやく起き上がり、リビングに行くと。
高瀬がオレを見て、くす、と笑う。
「大丈夫?」
「……うん。ごめん、手伝う」
「いいよ。もう終わるから座ってな」
「……ありがと」
笑って言う高瀬に、なんかもうほとんど準備が終わってるみたいなので、おとなしくそのまま座る。
「織田、酒飲みたい?」
「ううん。今日いいや……」
「ん。オレももういいや。お茶でいい?」
「うん」
高瀬がお茶を入れたコップを持ってきて、テーブルに置きながら、隣に座った。
「食べよ」
「うん、ありがと。 いただきます」
言いながら時計を見て、23時か……と呟く。
「確かに腹減った、よな」
「うん。あ、焼き鳥美味しい……」
もぐもぐ。
美味しい。
……18時過ぎにここに来て……絵奈ちゃんと話して……高瀬が20時位に帰ってきたっけ……? ……絵奈ちゃん送って、夕飯買ってきてくれてる間に、オレ寝ちゃって。高瀬帰ってきて……
……で、今23時過ぎてるって事は……。
結構な時間、高瀬とベッドに居た気がする……。
……そんなに居た気がしないのは……もうおかしくなっちゃって、時間感覚、なくなってたから、かな……。
うー……。
……恥ずかしいな……。
「――――……?」
頭に手を置かれて、高瀬を見ると。
ふ、と優しい笑顔。
「……なんか照れてる?」
「……っ……べつ、に……」
な、なんで分かるんだろ。
ぷるぷるぷる。
首を横に振るけれど、高瀬は、よしよし、と頭を撫でながら、おかしそうに笑ってる。
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