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第2章
◇織田の話*拓哉
しおりを挟む玄関を開けて、入ってきた織田が、避けてごめんねと、謝ってるのを見ていたら、抱き締めてしまいたくなったけど。
OKの返事を聞くまでダメだと思って。ぐっとこらえる。
ほんとこれで、ダメだったら。
オレどうするんだろう。なんて思いながら「電話するって言ってなかった?」と聞いたら。
「……高瀬に会いたくなって。……顔見て話したかったから」
なんか、言葉が出なくなる。
「……何でそんな可愛いかな……」
答えが出るまではと思うのに、つい、そう言ってしまうと、織田はすぐ顔を赤くする。
嫌でも期待してしまう反応だけど――――……。
ちゃんと聞かないと。
そう思って織田の話を促した。
入社式から好きだった。でも、男同士だから恋人になりたいとは思っていなかった、自然と忘れるまで、好きでいる位いいかと思ってた。
あの夜、酔った勢いもあって、急にあんな事になってしまって。
でも落ち着いたら、オレが織田を好きだと言ったのが、何でか分からなかったし、 付き合ってから、別れることになった時の事まで考えて悩んでた。
全部、話してくれた後。
一緒に居たいから、付き合って下さい、と、織田が言った。
ほとんど分かってた事だったけど。
改めて言われると。
1週間、きっとすごく悩んだんだろうなと改めて思った。
それでも、付き合おうと出してくれた結論が、すごく嬉しくて。
オレが、付き合って、伝えてたのに。
――――……改めて、付き合ってほしいと、織田から言うんだな。
そういう所も好きだなと、思ってしまう。
「織田、オレな」
「うん……?」
「お前の事、好きでたまらないから、好きって言ったんだよ」
「え」
「何で好きか分かんないとか、織田は言ってたけど。ちょっと好きとかじゃなくて。ほんとに、お前の事が好きだから、言った」
「――――……」
「オレがお前を可愛いって思ったの、いつが最初か分かる?」
「…………わかんない。ていうか、可愛いと思ってくれてたっていうのが、そもそも……」
ぷるぷる首を振ってる織田に、ふ、と笑ってしまう。
「……可愛いっていうのは入社式ん時に、思ってた」
「――――……」
織田にとっては、その言葉は相当意外だったみたいで。
大きな瞳が、ただまっすぐオレを見つめたまま。
しばし、言葉を発しようとはしなかった。
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