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第2章

◇両想い翌朝*圭

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「――――……ン……」

 光が、眩しい。目が、開かない。

 なんか……すごくだるいなあ、なんて思いながら、少し目を擦る。
 ゆっくりと目を開けたら、明らかに自分の部屋ではない天井。

 あれ?と思った瞬間。

「……目、覚めたか?」

 低い、聞き心地の良い声が、すごく近くで響いた。
 声の主はすぐ分かった。

 ……あ、高瀬の声……。
 ああ…… また、泊まりに来ちゃったんだっけ。

「おは――――……」

 言いながら上半身、少し起き上がって。
 高瀬の声のする後ろを振り返って。

 瞬間。

 ものすごい至近距離って事と、
 しかも、起き上がってた高瀬は、上半身は裸で。

 え。

 それ以上話し続けられずに、すぐに顔を高瀬と反対方向に戻した。

 ――――……ん???
 ……何で、高瀬、裸??

 しかも……近すぎ……?

 ……ちょっと待って。
 ……オレ達って、一緒のベッドで、寝たの?

 泊まる時はいつも、高瀬のベッドの下に、高瀬が布団を敷いてくれて、そこで寝てるのに。

 今自分が居るのは――――……高瀬の、ベッドの上。
 ……なんで?

 そこまで、考えた時。
 昨日の事が、不意に頭によみがえってきて。

 硬直。


 え。
 この記憶って――――……夢?

 
 ……思い出せ。
 ……ちゃんと、しっかりはっきり、思い出せ。

 でも、裸の高瀬と同じベッドに居て、混乱しすぎて、全然ちゃんと考えられない。


 その後。数秒。


「――――……」

 ギギギギギと、まるで音がしそうな程に強張った首を無理やり動かして、高瀬を振り返る。


「……たかせ……?」
「ん?」

 ふ、と優しく笑う高瀬は、もう一度見ても、上半身は完全に裸で。下半身にかかっている薄い布団の下は見えないけど。いや、むしろ怖くて覗き見る事は出来ないけど。

 しかも、オレはと、言えば。
 ……この、ものすごくすーすーする、この感じは。
 ――――……確認するまでもなく…… 全裸なのではないだろうか。

「……織田、寝過ぎ」

 クスクス笑いながら、高瀬は強張ったまま動けないオレの頬に触れた。

「――――……昨日疲れただろうから……起きるまで待ってたけど」

 触れた指が、頬を軽くつまんでくる。
 優しい触れ方に、硬直するしかない。

 そして。
 そっと、優しいキスが、唇に重なった。


「体、大丈夫か……?」

 ふ、と、優しく緩む瞳。
 動かない頭が、さらに停止した。

 今、頭に浮かんでるのは。
 夢じゃなくて、昨日、本当にあった事……?


「――――……た……高瀬……?」
「ん?」

「――――……あの……」

 何を言ったらいいのか、悩んで、動けないオレに、高瀬は首を傾げた後。
 触れてた指を、そっと、オレから離した。

「――――……織田?」
「高瀬、あの――――……昨日……オレ達……」

「……もしかして、覚えてない……?」
「……というか……夢なのか、ほんとなのか、今――――……混乱してて」

 素直にそう言ったら、高瀬は、ふー、と息を付いた。


「……分かった。とりあえず、朝ごはん、作ってくる。その間に、整理してみて?」
「――――……うん」

 優しい高瀬の言葉に、頷いた。
 立ち上がった高瀬は上半身裸で、下にズボンをはいてて。
 あ、よかった。全裸じゃなくて、と思ったオレを見下ろして。

 目が合うと、オレの頭をクシャクシャと撫でた。


「どうする? ご飯の前に、シャワー、浴びてくるか? すっきりした方が良いだろ?」

 優しい声に、ドキドキしながら、言われるままに頷くと。
 高瀬は、クロ―ゼットから、いつも置いてくれてるオレの服を取り出して、ベッドの上に置いた。

「バスタオルはいつもんとこから出して」
「……うん」

 頷くと、ふ、と笑んで。
 高瀬は部屋を出て行った。

 優しい。……朝からカッコ良すぎるし。

 ふわふわ喜んでたけど、はっと、気づく。
 それどころじゃない。


 ええっと……落ち着け、オレ。
 ちゃんと昨日の事、思い出せ。


「――――……」

 オレ、昨日――――……。
 高瀬と――――……?


 ……そんな訳、無いよね?

 ――――……いやいや、でも、さっき、高瀬、オレに、キスした。

 この記憶全部、ほんとなのかな。

 リアルだけど……。

 高瀬が、オレの事をずっと好きだったとか。
 オレに都合が良すぎて。

 ――――……ていうかオレ……。
 めちゃめちゃ、好きって言いながら、高瀬と――――……。

 そそそ、んなバカな…。
 信じられなくて、夢な気がする。

 ダメだ。
 とりあえずシャワー浴びよう。

 起き上がったら、全裸。
 ベッドの下の方に遭った下着をはいて、昨日のお風呂の後に来ていた部屋着を、着た。


 全裸、てことは。
 高瀬と、一緒のベッドに寝てたってことは。

 高瀬にさっき、キス、されたって、ことは。


 この、夢としか思えない記憶、全部、本当なのかな……?



 ぐるぐる頭がおかしくて、倒れそうな気分のままシャワーを浴び始めて。
 キスマークに、叫びそうになる。


 色んなとこに、残る跡と。
 後ろも、なんか――――……違和感。


 もう、夢だとか逃げようも無く、確信。

 多分この記憶は、現実で。

 高瀬が好きって言ってくれて。
 オレも好きって言って。
 ――――……オレ、止めなくてもいいとか、誘うような事、言っちゃって。
 最中もめちゃくちゃ好きって、言い続けて。

 高瀬と――――……全部しちゃった。



 かああああああああっ。
 羞恥で、顔ばかりか、全身熱くなるって、あるんだ。

 だめだ。恥ずかしすぎて。
 無理無理。


 まっすぐ立ってられなくて、鏡に、手をついてしまう。



 酔ってたけど。
 言ってた事は全部本気で。
 酔ってたから言ったんじゃない。

 全部、心で思ってた事で、嘘じゃない。

 でもでも、絶対、酔ってなかったら言えなかった事だらけ。
 酔ってなかったら、告白してすぐ最後までとか、絶対、そんな訳ないし……っ。


 シラフの今。
 ――――……もうこのままどこかに隠れて、もはや高瀬の目に映りたくない位。


 ……恥ずかしすぎる…………っ
 わーん、マジどうしようー!!!











◇ ◇ ◇ ◇
後書きです。

↓ 改稿前の前の話を覚えてて違和感がある方、お読みください。

……やっぱり告白忘れたままってどうなんだ…というのが耐えられなかったので、そこだけは大きく変えました。前のを楽しんでくださってたらすみません……。圭が狼狽えてるのは書きたかったので、この形になりました。
一回書いた話、大きく変えてすみません……(>_<)。

新しい形で、楽しんで頂けることを祈りつつ進みます。

悠里。
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