710 / 822
◇同居までのetc
「優しい気分」*玲央
しおりを挟む
「優月、夕飯は? 食べたいものある?」
「んー……お腹は空いてるんだけど」
「昼は何食べた?」
「カフェのサンドイッチ。可愛い感じで少なかったの」
「あぁ、なるほど」
カフェで話してたのか、と思いながら。
「どこのカフェ?」
「正門の方から少し歩いたところにあって……駐車場の方のカフェじゃないよ。玲央は? 何食べた?」
「んーなんだっけ……」
「あっ食べたもの忘れちゃうのヤバいよ、玲央さん」
クスクス笑いながら優月が悪戯っぽく言ってくる。
「えーと……ああ、思いだした。エビフライ定食」
「エビフライ、いいね。好き」
「なんか今日のは二十食限定とか書いてあって。勇紀にノせられて食べた」
「え、なにか特別なの?」
「さあ? すこし大きかったような?」
「そうなんだ」
優月は、面白そうにクスクス笑う。
「じゃあ何か……お肉かお魚にする?」
「作る?」
「うん、早いし、作ろ?」
「ん。どっちがいい? 新鮮な魚売ってる店、行く? 少し遠回りだけど」
「美味しそう。そんなとこあるんだ! お刺身もある?」
「刺身も売ってる。手巻き寿司とかする?」
「うんうん。わぁ夕飯が豪華になった」
そんな風に言って、何やらキラキラした笑顔で喜んでいるので、オレも、微笑んでしまう。
「手巻き寿司って豪華?」
「うん、なんか……パーティーっぽい時にうちはよくやったから。豪華なイメージ」
そう言ってから、優月は、うーんと考える。
「でもまあ、海苔にごはんのっけて、お刺身巻くだけなんだけどね。なんか豪華って思っちゃう」
そう言ってから、あ、そうだ、と思い出しながら。
「なんか、ひな祭りとか子供の日とかによくやってた気がする。オレ達が巻いて喜んでただけかも。豪華っていうか、楽しかったイメージかな」
クスクス笑う優月。
優月と一樹と樹里が、楽しそうに色んなのを巻きながら食べてる姿が、容易に想像できて、笑ってしまう。
すごく楽しそうにしてそうで、そんな姿を見るなら、お母さんもそりゃよくやるんじゃないのかなと、良く分からないお母さん目線で、想像してしまった自分がちょっと可笑しい。
「じゃあ決まり、な」
「うん」
嬉しそう。
その顔についつい。
「今度、二人呼んで、手巻き寿司パーティやろ」
と言ってしまった。でも、言ってからふと。……何だそれ。手巻き寿司パーティって。
自分の中から勝手に出てきた言葉に、自分でちょっとびっくりしていたら。
優月が、キラキラした顔でオレを見上げてきてる気配。
「いいの?」
いいのって、オレが言ったんだからいいには決まってるが、つか、オレ、ほんと手巻き寿司パーティって何、と思いながらも。
嬉しそうにオレの返事を待ってる優月を一瞬見て、また前に視線を戻しながら、「いいよ」と答えると「嬉しい」と笑う優月。
「なんかさ」
「ん?」
「玲央がね、クロとかうちの子達とかに優しい顔すると、もう死にそうに好きって思っちゃう……」
何やらちょっと困った顔でそんな風に言うのが可愛すぎる。
もともと猫も犬も、子供も嫌いじゃないけど。
なんだか自分でも不思議なくらい優しい気持ちになったり、自分でも不思議なことを、ぽろっと言ってしまったりするのは、絶対優月と居るからな気がする。
別に嘘をついてるとか無理してるとかではなくて。
――――……ただ、優しい気持ちになってる、て感じ。
「んー……お腹は空いてるんだけど」
「昼は何食べた?」
「カフェのサンドイッチ。可愛い感じで少なかったの」
「あぁ、なるほど」
カフェで話してたのか、と思いながら。
「どこのカフェ?」
「正門の方から少し歩いたところにあって……駐車場の方のカフェじゃないよ。玲央は? 何食べた?」
「んーなんだっけ……」
「あっ食べたもの忘れちゃうのヤバいよ、玲央さん」
クスクス笑いながら優月が悪戯っぽく言ってくる。
「えーと……ああ、思いだした。エビフライ定食」
「エビフライ、いいね。好き」
「なんか今日のは二十食限定とか書いてあって。勇紀にノせられて食べた」
「え、なにか特別なの?」
「さあ? すこし大きかったような?」
「そうなんだ」
優月は、面白そうにクスクス笑う。
「じゃあ何か……お肉かお魚にする?」
「作る?」
「うん、早いし、作ろ?」
「ん。どっちがいい? 新鮮な魚売ってる店、行く? 少し遠回りだけど」
「美味しそう。そんなとこあるんだ! お刺身もある?」
「刺身も売ってる。手巻き寿司とかする?」
「うんうん。わぁ夕飯が豪華になった」
そんな風に言って、何やらキラキラした笑顔で喜んでいるので、オレも、微笑んでしまう。
「手巻き寿司って豪華?」
「うん、なんか……パーティーっぽい時にうちはよくやったから。豪華なイメージ」
そう言ってから、優月は、うーんと考える。
「でもまあ、海苔にごはんのっけて、お刺身巻くだけなんだけどね。なんか豪華って思っちゃう」
そう言ってから、あ、そうだ、と思い出しながら。
「なんか、ひな祭りとか子供の日とかによくやってた気がする。オレ達が巻いて喜んでただけかも。豪華っていうか、楽しかったイメージかな」
クスクス笑う優月。
優月と一樹と樹里が、楽しそうに色んなのを巻きながら食べてる姿が、容易に想像できて、笑ってしまう。
すごく楽しそうにしてそうで、そんな姿を見るなら、お母さんもそりゃよくやるんじゃないのかなと、良く分からないお母さん目線で、想像してしまった自分がちょっと可笑しい。
「じゃあ決まり、な」
「うん」
嬉しそう。
その顔についつい。
「今度、二人呼んで、手巻き寿司パーティやろ」
と言ってしまった。でも、言ってからふと。……何だそれ。手巻き寿司パーティって。
自分の中から勝手に出てきた言葉に、自分でちょっとびっくりしていたら。
優月が、キラキラした顔でオレを見上げてきてる気配。
「いいの?」
いいのって、オレが言ったんだからいいには決まってるが、つか、オレ、ほんと手巻き寿司パーティって何、と思いながらも。
嬉しそうにオレの返事を待ってる優月を一瞬見て、また前に視線を戻しながら、「いいよ」と答えると「嬉しい」と笑う優月。
「なんかさ」
「ん?」
「玲央がね、クロとかうちの子達とかに優しい顔すると、もう死にそうに好きって思っちゃう……」
何やらちょっと困った顔でそんな風に言うのが可愛すぎる。
もともと猫も犬も、子供も嫌いじゃないけど。
なんだか自分でも不思議なくらい優しい気持ちになったり、自分でも不思議なことを、ぽろっと言ってしまったりするのは、絶対優月と居るからな気がする。
別に嘘をついてるとか無理してるとかではなくて。
――――……ただ、優しい気持ちになってる、て感じ。
150
お気に入りに追加
5,157
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺
toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染)
※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。
pixivでも同タイトルで投稿しています。
https://www.pixiv.net/users/3179376
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/98346398
つぎはぎのよる
伊達きよ
BL
同窓会の次の日、俺が目覚めたのはラブホテルだった。なんで、まさか、誰と、どうして。焦って部屋から脱出しようと試みた俺の目の前に現れたのは、思いがけない人物だった……。
同窓会の夜と次の日の朝に起こった、アレやソレやコレなお話。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
転生令息の、のんびりまったりな日々
かもめ みい
BL
3歳の時に前世の記憶を思い出した僕の、まったりした日々のお話。
※ふんわり、緩やか設定な世界観です。男性が女性より多い世界となっております。なので同性愛は普通の世界です。不思議パワーで男性妊娠もあります。R15は保険です。
痛いのや暗いのはなるべく避けています。全体的にR15展開がある事すらお約束できません。男性妊娠のある世界観の為、ボーイズラブ作品とさせて頂いております。こちらはムーンライトノベル様にも投稿しておりますが、一部加筆修正しております。更新速度はまったりです。
※無断転載はおやめください。Repost is prohibited.
気付いたら囲われていたという話
空兎
BL
文武両道、才色兼備な俺の兄は意地悪だ。小さい頃から色んな物を取られたし最近だと好きな女の子まで取られるようになった。おかげで俺はぼっちですよ、ちくしょう。だけども俺は諦めないからな!俺のこと好きになってくれる可愛い女の子見つけて絶対に幸せになってやる!
※無自覚囲い込み系兄×恋に恋する弟の話です。
ひとりぼっち獣人が最強貴族に拾われる話
かし子
BL
貴族が絶対的な力を持つ世界で、平民以下の「獣人」として生きていた子。友達は路地裏で拾った虎のぬいぐるみだけ。人に見つかればすぐに殺されてしまうから日々隠れながら生きる獣人はある夜、貴族に拾われる。
「やっと見つけた。」
サクッと読める王道物語です。
(今のところBL未満)
よければぜひ!
【12/9まで毎日更新】→12/10まで延長
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる