641 / 822
◇同居までのetc
「そっち??」*優月
しおりを挟む席について、オムライスの写真を撮って、玲央に送った。
「オレのラッキーアイテムはこれ」とメッセージも送ったら、「優月用のラッキーアイテムじゃん」と返ってきて、笑ってる顔文字がついてる。
……オレがオムライス好きなのを知ってくれてるからこの返信なんだよね。と思うと、なんかすごく嬉しい。
あ、でもオレ、麻婆豆腐好きか嫌いかってこと、知らなかった。
……そういえば、ずーーーっと一緒に居て、ご飯一緒に食べてる気するけど、まだ出会ってそんな経ってないし、一緒に食べてないものもいっぱいあるし、好き嫌いとかも、知らないものいっぱいあるんだ。
そんなに好き嫌いは無いって言ってた気するけど、好きか普通か、くらいはあるよね。
……なんか。あれだなぁ。
これからいっぱい知っていけるんだなあと思うと。
……なんか幸せ。かも。
知りたいこといっぱいある。
「いただきます」
手を合わせて、食べ始めると、少しして、「なんか優月に似合う食べものだよな」と言われた。
「……オムライス? 似合う?」
「うん。……なんとなくな?」
クスクス笑われて、言った友達が隣の友達に視線を送ると、「分かる」と笑われる。
「……好きだけど」
似合うってよく分かんないけど。まあいっか。好きだし。
……と思ったんだけど、食べながら、んー、と考える。
卵料理が好きだし、オムライスすごく好きだけど、なんとなく、オムライスとかって、旗がささった子供用の食べ物のイメージがあるなあ。似合う……。
……まあ美味しいからいっか。と結論づけて、オムライスを食べていると。
「よ」
不意に上から声がして、振り仰ぐと、恭介が笑っていた。クラス会の日以来だ。
「今来たの?」
友達の声に、違うよ、と恭介が笑う。
「ちゃんと二限出たよ。優月にも言われたし」
言いながらオレに視線を流してくる。
「それはオレに言われなくてもちゃんと出てね」
クスクス笑いながら言うと、「はーい」と恭介が笑う。
「大丈夫、ちゃんと出なきゃいけないのは出てるし」
「なら良いけど。後輩にならないでね?」
「怖いこと言うな」
言いながら、恭介は持っていたトレイを置きながら、オレの隣に座った。
「なあ、優月、あれからどーだった?」
「ん。……あ、皆に言ってから?」
「ん」
頷いて、いただきますと言ってから、食べ始める恭介に、オレは「なんか普通な感じ、かな」と笑った。
「あ、やっぱり?」
「なんでやっぱり?」
「なんかそんな感じがして」
クスクス笑いながら恭介がオレを見つめる。
「何人かとそのこと話したんだけど。ほら、なんかあれじゃん、信じられないーとかさ、言われてたら嫌だよなーと思ったんだけど」
「ん」
「女子なんか、喜んでたしな」
クックッと恭介が笑う。
「そうなの? 喜ぶ?」
「絶対カッコいい人だよ、絶対、だって優月くん、可愛くなってるもん、みたいな」
「…………」
なんかそれクラス会の時も聞いたような。
……カッコいい人ではある。……死ぬほど、誰よりカッコいい気はする。
でも、オレが可愛くなってるからカッコいい人っていうのは……可愛くなってる……?? 謎すぎる……。
「イケメンナンバーワンって、言いたくて言いたくて」
「……そっちはまだ、広まってないの?」
「意外だよな、広まってない。あん時も、何人かは悟っただろうし、分かってる奴もいるんじゃないかなーと思うんだけど。あれだな、優月がまだ言いたくないって言ったからかな」
「……オレ、ちょっとは覚悟してたんだけど」
そう言ったオレを見て、恭介はクスクス笑う。
「まあさーお前迎えにきたあいつ、絶対バレても良さそうだったじゃん。頭撫でてるし、むしろ見せつけてきてるみたいな?」
「……」
「まあお前もまっすぐ駆け寄ってくし、バレても平気なんだろうなと、オレは思ってたけど」
「……うぅ~……」
何も言えない。あの時は、バレても平気というよりは、玲央が居て嬉しくなっちゃっただけで……。
ごはんを口に入れてモグモグ食べながら、思わず唸ってしまうと、恭介がめちゃくちゃ面白そうに笑い出して顔を背けると、口を押えてて、でもなんかプルプル震えてる。
「……笑いすぎ」
ご飯を飲み込んでから、むっとして言うと、恭介はくる、と振り返って。
「だから、お前はリスかって……」
「そっちで笑ってたの?」
何なんだもう、と眉を寄せると、周りで聞いてた友達たちも笑い出した。
(2023/5/18)
本日表紙を変えました。しばらく慣れないかもですが…💦
よろしくお願いします(*'ω'*)✨
138
お気に入りに追加
5,157
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺
toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染)
※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。
pixivでも同タイトルで投稿しています。
https://www.pixiv.net/users/3179376
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/98346398
つぎはぎのよる
伊達きよ
BL
同窓会の次の日、俺が目覚めたのはラブホテルだった。なんで、まさか、誰と、どうして。焦って部屋から脱出しようと試みた俺の目の前に現れたのは、思いがけない人物だった……。
同窓会の夜と次の日の朝に起こった、アレやソレやコレなお話。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
転生令息の、のんびりまったりな日々
かもめ みい
BL
3歳の時に前世の記憶を思い出した僕の、まったりした日々のお話。
※ふんわり、緩やか設定な世界観です。男性が女性より多い世界となっております。なので同性愛は普通の世界です。不思議パワーで男性妊娠もあります。R15は保険です。
痛いのや暗いのはなるべく避けています。全体的にR15展開がある事すらお約束できません。男性妊娠のある世界観の為、ボーイズラブ作品とさせて頂いております。こちらはムーンライトノベル様にも投稿しておりますが、一部加筆修正しております。更新速度はまったりです。
※無断転載はおやめください。Repost is prohibited.
気付いたら囲われていたという話
空兎
BL
文武両道、才色兼備な俺の兄は意地悪だ。小さい頃から色んな物を取られたし最近だと好きな女の子まで取られるようになった。おかげで俺はぼっちですよ、ちくしょう。だけども俺は諦めないからな!俺のこと好きになってくれる可愛い女の子見つけて絶対に幸せになってやる!
※無自覚囲い込み系兄×恋に恋する弟の話です。
ひとりぼっち獣人が最強貴族に拾われる話
かし子
BL
貴族が絶対的な力を持つ世界で、平民以下の「獣人」として生きていた子。友達は路地裏で拾った虎のぬいぐるみだけ。人に見つかればすぐに殺されてしまうから日々隠れながら生きる獣人はある夜、貴族に拾われる。
「やっと見つけた。」
サクッと読める王道物語です。
(今のところBL未満)
よければぜひ!
【12/9まで毎日更新】→12/10まで延長
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる