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◇同居までのetc

「清い?」*玲央

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 やっとアイスを食べ終わった優月にキスしたのに。
 テーブルに置いたスマホが、何度もうるさく振動する。

「――――……」

 最初無視しようとしたのに、優月が、少し離れて、オレを見上げた。


「……見てきて?」

 クスクス笑って、オレを見上げる。

「コーヒー飲んでるね」
「ああ」

 ため息をつきながら優月から離れて立ちあがり、テーブルに近付いた。
 スマホを手に取って、確認すると。

 さっき一緒にカラオケに行ってた連中からの連絡だった。いつの間にやらトークルームが作られてて、そこにポンポン、メッセージが続いていた。

 ……トークルーム作ったのは、勇紀だった。

『皆、お疲れー。先帰った玲央は今頃いちゃついてんのかな~?』

 そんな勇紀の言葉が一番に入っていて、皆が面白がって、それに「キャー」だの、はしゃいでるスタンプだの、ポンポン入ってきてる。

 ……こんなくだらないので邪魔されたのか……。
 はー、とため息を付いていると。

 別の画面で勇紀からメッセージが届いた。そっちは、バンドメンバーの画面。

『玲央、お疲れ。優月がクラスで告白するって言ってたの、どーなったって? 大丈夫だったのか気になって。いちゃついてるとこだったらごめんなー』

 なんて入ってきて、ふざけたスタンプと共に届く。

「まさにそうだったけど」と、怒りスタンプと一緒に送ると、「あわわ」という文字と、焦ったスタンプ。

 ふー、と息をつきながら、優月を見ると、マグカップを両手でもって、こくこく飲んでる。

 ……和む。
 どう見ても、可愛い生き物にしか見えない……。

 さっさとやりとり、終わらせてしまおう。


「優月は、オレの名前は言わないことに決めてたみたいだったけど、結局オレが迎えに行ったから、一部にはバレたっぽい。でも、何となく大丈夫そうだった」

 そう入れると、勇紀から、良かった、と入ってきて、続けて、颯也と甲斐からも、いいね、みたいな形のスタンプが入ってくる。

『邪魔してごめんなー。どうぞ続けてください……いや。やっぱ、あんまり優月を汚すなよー』

 ……また言ってる。アホ勇紀。

「だから可愛がってるだけだって言ってんだろ。ていうか、優月、何しても、汚れねーから」

 ちょっとムカついてそう入れると、すぐに全員既読だけれど、少しだけ間が空いて。

『玲央、悪い。さすがに想定外すぎて、若干キモイ』

 颯也からそう入ってきて、ち、と思った瞬間。

『確かに優月は汚れなそうだな。何しても、終わればけろっと、いつもの感じになってそう』

 と、甲斐から。

「何してもとか、一ミリも、想像すんな」

 と返すと。また数秒固まって。


『玲央の独占欲、こわいっつーの!』

 泣いたスタンプとともに送ってくるのは、勇紀。

『マジで、怖い』

 青ざめてブルブルふざけたのを珍しく送ってくるのは、颯也。
 ……普段スタンプとかつかわねーくせに……と思っていると。


『なんか、優月と付き合ってるとさ』

 と、甲斐が入れてきて、数秒、続きを待っていると。



『優月が玲央で汚れるんじゃなくて、玲央が優月で浄化されてる感じだよな?』


 そんな風に入ってきて、何と返そうか迷っていると。
 勇紀と颯也から、大笑いしてる系の、スタンプが並ぶ。

『確かに―! 甲斐、ナイスー!』
『確かに、どんどん言ってる事、純粋になってきてるもんな』

『だろー?』

 勇紀と颯也の返信に、甲斐が、得意げなドヤ顔のスタンプを送ってくる。


 ……浄化、か。

 視線の先に、ぽわぽわとしてる優月が居て、オレの視線に気づくと、ふんわり微笑む。


 ――――……さっき、あんなに、乱したのになぁ。

 ……なに、あれ。清いまんま、みたいな。
 

 こいつら、見てないのに、何で分かるんだか。

 苦笑いで息をついて。
 また明日、のスタンプを押して、スマホをテーブルに置いた。




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