449 / 822
◇「周知」
「困る」*玲央
しおりを挟む
【side*玲央】
目が覚めると、優月がまだスヤスヤ寝てる。
……寝顔――――……天使、みたい。とか。
――――……あほか、オレ。さすがに、恥ずい。
一人で内心狼狽えながら、静かに体を起こして、ベッドを降りようとして気づく。そういや、いつも、一緒に起こしてと言われるっけ。
ベッドの端に腰かけて、優月を振り返って、髪に触れる。
さら、と髪を梳きながら、頬に少しだけ触れる。
「……ん……」
くすぐったそうに、ぴく、と動く。
――――……可愛すぎないか。これ。
そのまま、すり、と頬を撫でたら。
ふ、と、小さな声にもならない声を出して、もう一度、スヤスヤ眠る。
――――……起こしたくない。と結論が出た。
時計を見ると、まだ時間、早いし。
そのまま立ち上がって、先にシャワーを浴びた。
……つか、オレ、ほんとに早起きだな。すっきり目が覚めるし。
ずっと、朝が弱いと思っていたけど――――……ただ夜が遅かっただけなのか……。
髪をざっと乾かして、着替える。
コーヒーをセットして、食事を作り始めて。
そろそろ起こして、シャワーを浴びさせようかなと、思った時。
かちゃ、とドアが開いて。
優月が、キッチンに居るオレを見ると。ぷーー、と膨らんだまま、入ってきた。とことこやってきて、オレの前に立って。
んーーー、と、何やら一生懸命な顔で見上げてくる。
……何それ。可愛すぎるんだけど。
何か言いたげなので、言うのを待っていると。
「……起こしてって、言ってるのにー。何でオレこんなに起きれないんだろ、もーおかしい、玲央のベッドに睡眠薬か何か入ってるみたいな……もー」
起こさないオレを責めてるのか、起きれない自分を責めてるんだか、ベッドを意味不明に責めてるんだか。
とにかく、面白い。
クッと笑い出してしまったら、優月は、ますます、むー、とした顔でオレを見る。
「玲央、起きたら、オレの事も起こしてってば」
「ん」
オレは、すぽ、と優月を抱き締めた。
「おはよ」
「……う。ん。おはよ……」
途端に勢いをなくして、オレの腕の中にすっぽりハマってる優月。
……可愛い。
「今日は、ちゃんと起こそうと思ったんだけどさ」
「――――……」
「寝顔が安らかだし、すげー可愛すぎて、起こせなかったというか……」
「……何言ってんの、玲央……」
優月がまた、むー、と見上げてくる。
「……寝る前相当無理してるし、寝てていいんだよ、優月」
「寝る前無理……」
目をパチパチさせてから、またかああっと赤くなって。
「お前が起きれないのは、絶対それだと思うんだよな。だから、いいよ、
オレ今起こしに行こうと思ってたとこだし。これ位のタイミングで起きてくれたら、全然いいよ」
「――――……」
「そのかわり、朝ゆっくり起きる代わりに、夜オレに付き合ってくれれば」
「――――……っっっっ」
何を想像したんだかもっと赤くなる。
――――……あー。
かわい。
「……だからとりあえず今は、シャワー浴びておいで」
「…………」
「出る頃作り終わるようにするから。いってこいよ」
よしよし、と頭を撫でて、そう言うと。ありがと、と言った後。
でもやっぱり納得いかないのか。
「……後でまた話して」
なんだかまた、ぷー、と膨れつつ。てくてく歩いていく。
姿が見えなくなってから、何かもう、可愛くて笑ってしまう。
きっと、オレが起きて色々やってんのに、自分が寝てんのが嫌なんだろうなぁ。まあ、優月はそうなんだろうなと分かるんだけど。
あんな可愛く寝てんの、無理無理起こすのもなあ……。
あーほんと。起こしても起こさなくても。
可愛くて、困る。
(2022/6/7)
◇ ◇ ◇ ◇
可愛くて困る、って方いらしたら、挙手('ω')ノ♡
私は玲央と優月、書いてると幸せなので
読んでる方も、ちょっとでも幸せになってくれるといいなあと
思っております(≧▽≦)♡
目が覚めると、優月がまだスヤスヤ寝てる。
……寝顔――――……天使、みたい。とか。
――――……あほか、オレ。さすがに、恥ずい。
一人で内心狼狽えながら、静かに体を起こして、ベッドを降りようとして気づく。そういや、いつも、一緒に起こしてと言われるっけ。
ベッドの端に腰かけて、優月を振り返って、髪に触れる。
さら、と髪を梳きながら、頬に少しだけ触れる。
「……ん……」
くすぐったそうに、ぴく、と動く。
――――……可愛すぎないか。これ。
そのまま、すり、と頬を撫でたら。
ふ、と、小さな声にもならない声を出して、もう一度、スヤスヤ眠る。
――――……起こしたくない。と結論が出た。
時計を見ると、まだ時間、早いし。
そのまま立ち上がって、先にシャワーを浴びた。
……つか、オレ、ほんとに早起きだな。すっきり目が覚めるし。
ずっと、朝が弱いと思っていたけど――――……ただ夜が遅かっただけなのか……。
髪をざっと乾かして、着替える。
コーヒーをセットして、食事を作り始めて。
そろそろ起こして、シャワーを浴びさせようかなと、思った時。
かちゃ、とドアが開いて。
優月が、キッチンに居るオレを見ると。ぷーー、と膨らんだまま、入ってきた。とことこやってきて、オレの前に立って。
んーーー、と、何やら一生懸命な顔で見上げてくる。
……何それ。可愛すぎるんだけど。
何か言いたげなので、言うのを待っていると。
「……起こしてって、言ってるのにー。何でオレこんなに起きれないんだろ、もーおかしい、玲央のベッドに睡眠薬か何か入ってるみたいな……もー」
起こさないオレを責めてるのか、起きれない自分を責めてるんだか、ベッドを意味不明に責めてるんだか。
とにかく、面白い。
クッと笑い出してしまったら、優月は、ますます、むー、とした顔でオレを見る。
「玲央、起きたら、オレの事も起こしてってば」
「ん」
オレは、すぽ、と優月を抱き締めた。
「おはよ」
「……う。ん。おはよ……」
途端に勢いをなくして、オレの腕の中にすっぽりハマってる優月。
……可愛い。
「今日は、ちゃんと起こそうと思ったんだけどさ」
「――――……」
「寝顔が安らかだし、すげー可愛すぎて、起こせなかったというか……」
「……何言ってんの、玲央……」
優月がまた、むー、と見上げてくる。
「……寝る前相当無理してるし、寝てていいんだよ、優月」
「寝る前無理……」
目をパチパチさせてから、またかああっと赤くなって。
「お前が起きれないのは、絶対それだと思うんだよな。だから、いいよ、
オレ今起こしに行こうと思ってたとこだし。これ位のタイミングで起きてくれたら、全然いいよ」
「――――……」
「そのかわり、朝ゆっくり起きる代わりに、夜オレに付き合ってくれれば」
「――――……っっっっ」
何を想像したんだかもっと赤くなる。
――――……あー。
かわい。
「……だからとりあえず今は、シャワー浴びておいで」
「…………」
「出る頃作り終わるようにするから。いってこいよ」
よしよし、と頭を撫でて、そう言うと。ありがと、と言った後。
でもやっぱり納得いかないのか。
「……後でまた話して」
なんだかまた、ぷー、と膨れつつ。てくてく歩いていく。
姿が見えなくなってから、何かもう、可愛くて笑ってしまう。
きっと、オレが起きて色々やってんのに、自分が寝てんのが嫌なんだろうなぁ。まあ、優月はそうなんだろうなと分かるんだけど。
あんな可愛く寝てんの、無理無理起こすのもなあ……。
あーほんと。起こしても起こさなくても。
可愛くて、困る。
(2022/6/7)
◇ ◇ ◇ ◇
可愛くて困る、って方いらしたら、挙手('ω')ノ♡
私は玲央と優月、書いてると幸せなので
読んでる方も、ちょっとでも幸せになってくれるといいなあと
思っております(≧▽≦)♡
217
お気に入りに追加
5,156
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺
toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染)
※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。
pixivでも同タイトルで投稿しています。
https://www.pixiv.net/users/3179376
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/98346398
つぎはぎのよる
伊達きよ
BL
同窓会の次の日、俺が目覚めたのはラブホテルだった。なんで、まさか、誰と、どうして。焦って部屋から脱出しようと試みた俺の目の前に現れたのは、思いがけない人物だった……。
同窓会の夜と次の日の朝に起こった、アレやソレやコレなお話。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
転生令息の、のんびりまったりな日々
かもめ みい
BL
3歳の時に前世の記憶を思い出した僕の、まったりした日々のお話。
※ふんわり、緩やか設定な世界観です。男性が女性より多い世界となっております。なので同性愛は普通の世界です。不思議パワーで男性妊娠もあります。R15は保険です。
痛いのや暗いのはなるべく避けています。全体的にR15展開がある事すらお約束できません。男性妊娠のある世界観の為、ボーイズラブ作品とさせて頂いております。こちらはムーンライトノベル様にも投稿しておりますが、一部加筆修正しております。更新速度はまったりです。
※無断転載はおやめください。Repost is prohibited.
ひとりぼっち獣人が最強貴族に拾われる話
かし子
BL
貴族が絶対的な力を持つ世界で、平民以下の「獣人」として生きていた子。友達は路地裏で拾った虎のぬいぐるみだけ。人に見つかればすぐに殺されてしまうから日々隠れながら生きる獣人はある夜、貴族に拾われる。
「やっと見つけた。」
サクッと読める王道物語です。
(今のところBL未満)
よければぜひ!
【12/9まで毎日更新】→12/10まで延長
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる