374 / 822
◇「周知」
「嬉しい」*優月
しおりを挟む何でこのメッセージ、勇紀からきたんだろ。
あ、そっか。玲央がきっと、動物の何に似てるか聞いたんだろうなあ。オレに聞かれた事も言ったのかな。
それで、周りが一致したけど、玲央がオレに送らないから、勇紀が送って来た……てこと、かな。
ていうか、発情期って、何……。
それは考えてなかったけど――――……。
肉食獣っていうのは、オレがさっき考えてたのと、一致してるなあ。
カッコイイもんね、やっぱり。
――――……ふふ。なんか、玲央きっと、今頃すっごい嫌そうな顔してるんだろうなあ……。 ほんと、面白い。
「何か面白い連絡?」
ずっと黙ってスマホと向かい合ってたオレを見て、隣の友達が言ってきた。
「え?」
「笑ってるし」
そう言われて。あ、オレ、笑っちゃってたんだ、と苦笑い。
「うん。ちょっと、面白い連絡だった」
「ふーん?」
クスクス笑われる。
ちょうどその時教授が入ってきて、オレは、スマホをポケットにしまった。
教授の挨拶と少し雑談。
何となく聞きながら、ふっと考える。
――――……さっき、ここの教室に入って来た時。
思い出したのは、先週のこと。
本気になったら終わりだと思ってたオレが、玲央に好きって言えなくて、嫌いじゃないと伝えたら、玲央を怒らせて。
オレは、泣いた後でここに来て。2時間授業を受けて。
終わっても動けなくて、机で突っ伏していたら。
玲央が、迎えに、来てくれて。
好きって言っても良いって、言ってくれた。
――――……あれから、1週間かあ……。
なんかもう、関係が、変わりすぎて。
不思議すぎる。
ぶ、とポケットでスマホが震えたので、机の下で見ると。
『勇紀の、聞かなくていいからな? あとでな、優月』
と玲央から入ってきていた。
ふ、と笑ってしまう。
――――……楽しいな。
思い起こすだけで、好き、だなって思う。
スマホを向かって前を向きながらも、微笑んでしまった。
◇ ◇ ◇ ◇
間に休憩を挟んで、4限5限と終わった。
荷物を片付け終えてる皆に、「オレ約束があるから」と別れを告げた。
メッセージを送ってから行こうと思って「今終わったから、すぐ行くね」と玲央にあてて送信。スマホを見ながら立ち上がった時。すぐ近くで、「優月」と呼ばれた。
え、とそっちを見ると、玲央が立っていて。
「玲央、どうしたの?」
……会えて、嬉しい。
今から部室行けば会えたけど。全然思ってもない所で急に会えて。
しかもここに居るって事は、オレを迎えに来てくれたから居るって事だから、それも嬉しい。
そんな事を思いながら玲央を見上げたら。
玲央が、ふ、と目を細めて笑った。
「先週、ここに迎えに来ただろ? なんかさっき思い出して」
「――――……」
「何となく、もっかい迎えに来た」
――――……何か、すごくすごく、嬉しい。
「オレもさっき思い出してた」
「……そっか」
優しく笑う玲央の隣に並ぶと。
玲央は、周りをちょっと見てから。オレを、皆が教室を出るために並んでいる方から見えないように隠してから。
ちゅ、とキスしてきた。
「――――……玲央……」
クスクス笑ってしまうと、頬をすり、と撫でてから、頭を撫でられる。
「いこうぜ。テンション高い奴らが待ってるから」
「あ、うん」
嫌そうに笑う玲央に、可笑しくなってしまいながら。
一緒に教室を出た。
238
お気に入りに追加
5,157
あなたにおすすめの小説
婚約破棄される悪役令嬢ですが実はワタクシ…男なんだわ
秋空花林
BL
「ヴィラトリア嬢、僕はこの場で君との婚約破棄を宣言する!」
ワタクシ、フラれてしまいました。
でも、これで良かったのです。
どのみち、結婚は無理でしたもの。
だってー。
実はワタクシ…男なんだわ。
だからオレは逃げ出した。
貴族令嬢の名を捨てて、1人の平民の男として生きると決めた。
なのにー。
「ずっと、君の事が好きだったんだ」
数年後。何故かオレは元婚約者に執着され、溺愛されていた…!?
この物語は、乙女ゲームの不憫な悪役令嬢(男)が元婚約者(もちろん男)に一途に追いかけられ、最後に幸せになる物語です。
幼少期からスタートするので、R 18まで長めです。
マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 〜強面、筋骨隆々、とても強い。 でもとっても優しい男が異世界でのんびり暮らすお話〜
かむら
ファンタジー
【ファンタジー小説大賞にて、ジョブ・スキル賞受賞しました!】
身長190センチ、筋骨隆々、彫りの深い強面という見た目をした男、舘野秀治(たてのしゅうじ)は、ある日、目を覚ますと、見知らぬ土地に降り立っていた。
そこは魔物や魔法が存在している異世界で、元の世界に帰る方法も分からず、行く当ても無い秀治は、偶然出会った者達に勧められ、ある冒険者ギルドで働くことになった。
これはそんな秀治と仲間達による、のんびりほのぼのとした異世界生活のお話。
前略、旦那様……幼馴染と幸せにお過ごし下さい【完結】
迷い人
恋愛
私、シア・エムリスは英知の塔で知識を蓄えた、賢者。
ある日、賢者の天敵に襲われたところを、人獣族のランディに救われ一目惚れ。
自らの有能さを盾に婚姻をしたのだけど……夫であるはずのランディは、私よりも幼馴染が大切らしい。
「だから、王様!! この婚姻無効にしてください!!」
「My天使の願いなら仕方ないなぁ~(*´ω`*)」
※表現には実際と違う場合があります。
そうして、私は婚姻が完全に成立する前に、離婚を成立させたのだったのだけど……。
私を可愛がる国王夫婦は、私を妻に迎えた者に国を譲ると言い出すのだった。
※AIイラスト、キャラ紹介、裏設定を『作品のオマケ』で掲載しています。
※私の我儘で、イチャイチャどまりのR18→R15への変更になりました。 ごめんなさい。
【完結】俺の声を聴け!
はいじ@11/28 書籍発売!
BL
「サトシ!オレ、こないだ受けた乙女ゲームのイーサ役に受かったみたいなんだ!」
その言葉に、俺は絶句した。
落選続きの声優志望の俺、仲本聡志。
今回落とされたのは乙女ゲーム「セブンスナイト4」の国王「イーサ」役だった。
どうやら、受かったのはともに声優を目指していた幼馴染、山吹金弥“らしい”
また選ばれなかった。
俺はやけ酒による泥酔の末、足を滑らせて橋から川に落ちてしまう。
そして、目覚めると、そこはオーディションで落とされた乙女ゲームの世界だった。
しかし、この世界は俺の知っている「セブンスナイト4」とは少し違う。
イーサは「国王」ではなく、王位継承権を剥奪されかけた「引きこもり王子」で、長い間引きこもり生活をしているらしい。
部屋から一切出てこないイーサ王子は、その姿も声も謎のまま。
イーサ、お前はどんな声をしているんだ?
金弥、お前は本当にイーサ役に受かったのか?
そんな中、一般兵士として雇われた俺に課せられた仕事は、出世街道から外れたイーサ王子の部屋守だった。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
【蒼き月の輪舞】 モブにいきなりモテ期がきました。そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!
黒木 鳴
BL
「これが人生に三回訪れるモテ期とかいうものなのか……?そもそもコレ、BLゲームじゃなかったよな?!そして俺はモブっ!!」アクションゲームの世界に転生した主人公ラファエル。ゲームのキャラでもない彼は清く正しいモブ人生を謳歌していた。なのにうっかりゲームキャラのイケメン様方とお近づきになってしまい……。実は有能な無自覚系お色気包容主人公が年下イケメンに懐かれ、最強隊長には迫られ、しかも王子や戦闘部隊の面々にスカウトされます。受け、攻め、人材としても色んな意味で突然のモテ期を迎えたラファエル。生態系トップのイケメン様たちに狙われたモブの運命は……?!固定CPは主人公×年下侯爵子息。くっついてからは甘めの溺愛。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる