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◇「恋人」

「ああ、もう」*優月

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 おやつをじっと見つめるふりをしながら、頭の中、何も考えられず。
 少し時が過ぎた所で、隣で玲央がまた笑いながら。

「優月、おやつ選ばねえの?」
「……ん」

「早く行かねーとクロに触ってる時間なくなるぞ?」

 じ、と見つめて笑う玲央に、ん、と頷いた。

「……これにする」
 もう早く買って、クロの所に行こう、と立ち上がると。

「飲み物も買ってこうぜ」

 ひょい、とおやつを奪われて、玲央がドリンクコーナーに歩いて行ってしまう。

「玲央、それ……」

 咄嗟に呼んだら、くる、と振り返った玲央が、真顔で。


「あのさ、優月。一緒に居る時のは、オレが払う」
「――――……」

「と思ってるけど――――……言いたい事ありそうだから」


 玲央は、クスクス笑いながら。
 また頭ポンポンしてくる。 

「帰ったら話そ。とりあえずここは払う。飲み物どれがいい?」
「……麦茶」
「ん」
「……ありがとう」
「ん」

 ふ、と笑って、玲央は歩いてく。
 ――――……何だかなー、玲央。ほんと、カッコいいんだけど。
 うーん。……なんだかな。
 玲央は良いって言うけど。……オレが気になるだけ、かー……。

 ちょっと考えていたのだけれど、前方に、レジでおばちゃんたちが待ち構えている雰囲気が見えて、一気に、そっちに気を取られた。こっちは後で話そう……。まずこのおばちゃんたちをクリアしないと……。


「お願いします」

 玲央が言って、台に商品を置くと。
 1人のおばちゃんがピッピッとレジ作業。

 なぜか、というか、理由は分かってるけど、もう1人のおばちゃんもすっかり品出しをやめて、隣に居るし。

 このレジにおばちゃん達が2人並んでるの、普段、見ない。
 いつも1人がレジで、1人は品出しとか掃除とか。混んで来たらもう1台のレジには入るけど。

 ……もう、興味津々な視線が……。

 玲央が会計をしてる間、手の空いてる方のおばちゃんがオレを見て。

「優月くん、玲央くんとは……」
「――――……」

「……すっごく、仲良く見えるけど……」

 遠回しすぎて。

 もう、いっそはっきり聞いてくれた方がー!と思った瞬間。
 会計を終えた玲央が、ふ、とオレを見てから。


「すごく仲良いですよ? な、優月」

 この場に必要ないんじゃないかと思うような、キラキラの笑顔で。
 玲央は、おばちゃん達に微笑みかけてから、オレに視線を向ける。

 何て顔で笑っちゃうんだと思いながら、おばちゃん達に視線を向けると。
 ……おばちゃんたちがすっかりやられてた。


「それってもしかして……」

 もうすでにおばちゃん達、叫びそうなのに。
 ふ、と玲央がまた笑んで。――――……ていうか、もうとどめ、みたいな。


「てことで。また優月と一緒に来ますから、よろしく」

 おばちゃんたちが何か言う前に、玲央が、「優月行こ」とオレを引いて、コンビニを出た。
 自動ドアが閉まって、すこし急ぎ足で離れてから、ぷ、と笑ってる玲央。

「玲央、おばちゃんたち、絶対叫んでる……」
「だろーな」


 クスクス笑う玲央。


「あんまり期待されてたから」
「そうだけど……」

「面白かったな?」
「――――……」


 悪戯っぽい顔して。
 ――――……じっとオレを見つめてくる。


 こんな顔も、するんだ。玲央。

 ――――……なんかもう。
 ……ああ、もう。


「うん」

 ふふ、と笑ってしまう。


 ほんと――――…… 好き、玲央。
 
 そんな風に思ってると、また、めちゃくちゃヨシヨシされた。













◆ ◆ ◆ ◆ ◆

(2021/12/11)

次めちゃくちゃ甘いです(∩´∀`)∩

2人、お好きですか(*'ω'*)?
とたまに聞いちゃう('∀')
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