300 / 822
◇「恋人」
「ああ、もう」*優月
しおりを挟む
おやつをじっと見つめるふりをしながら、頭の中、何も考えられず。
少し時が過ぎた所で、隣で玲央がまた笑いながら。
「優月、おやつ選ばねえの?」
「……ん」
「早く行かねーとクロに触ってる時間なくなるぞ?」
じ、と見つめて笑う玲央に、ん、と頷いた。
「……これにする」
もう早く買って、クロの所に行こう、と立ち上がると。
「飲み物も買ってこうぜ」
ひょい、とおやつを奪われて、玲央がドリンクコーナーに歩いて行ってしまう。
「玲央、それ……」
咄嗟に呼んだら、くる、と振り返った玲央が、真顔で。
「あのさ、優月。一緒に居る時のは、オレが払う」
「――――……」
「と思ってるけど――――……言いたい事ありそうだから」
玲央は、クスクス笑いながら。
また頭ポンポンしてくる。
「帰ったら話そ。とりあえずここは払う。飲み物どれがいい?」
「……麦茶」
「ん」
「……ありがとう」
「ん」
ふ、と笑って、玲央は歩いてく。
――――……何だかなー、玲央。ほんと、カッコいいんだけど。
うーん。……なんだかな。
玲央は良いって言うけど。……オレが気になるだけ、かー……。
ちょっと考えていたのだけれど、前方に、レジでおばちゃんたちが待ち構えている雰囲気が見えて、一気に、そっちに気を取られた。こっちは後で話そう……。まずこのおばちゃんたちをクリアしないと……。
「お願いします」
玲央が言って、台に商品を置くと。
1人のおばちゃんがピッピッとレジ作業。
なぜか、というか、理由は分かってるけど、もう1人のおばちゃんもすっかり品出しをやめて、隣に居るし。
このレジにおばちゃん達が2人並んでるの、普段、見ない。
いつも1人がレジで、1人は品出しとか掃除とか。混んで来たらもう1台のレジには入るけど。
……もう、興味津々な視線が……。
玲央が会計をしてる間、手の空いてる方のおばちゃんがオレを見て。
「優月くん、玲央くんとは……」
「――――……」
「……すっごく、仲良く見えるけど……」
遠回しすぎて。
もう、いっそはっきり聞いてくれた方がー!と思った瞬間。
会計を終えた玲央が、ふ、とオレを見てから。
「すごく仲良いですよ? な、優月」
この場に必要ないんじゃないかと思うような、キラキラの笑顔で。
玲央は、おばちゃん達に微笑みかけてから、オレに視線を向ける。
何て顔で笑っちゃうんだと思いながら、おばちゃん達に視線を向けると。
……おばちゃんたちがすっかりやられてた。
「それってもしかして……」
もうすでにおばちゃん達、叫びそうなのに。
ふ、と玲央がまた笑んで。――――……ていうか、もうとどめ、みたいな。
「てことで。また優月と一緒に来ますから、よろしく」
おばちゃんたちが何か言う前に、玲央が、「優月行こ」とオレを引いて、コンビニを出た。
自動ドアが閉まって、すこし急ぎ足で離れてから、ぷ、と笑ってる玲央。
「玲央、おばちゃんたち、絶対叫んでる……」
「だろーな」
クスクス笑う玲央。
「あんまり期待されてたから」
「そうだけど……」
「面白かったな?」
「――――……」
悪戯っぽい顔して。
――――……じっとオレを見つめてくる。
こんな顔も、するんだ。玲央。
――――……なんかもう。
……ああ、もう。
「うん」
ふふ、と笑ってしまう。
ほんと――――…… 好き、玲央。
そんな風に思ってると、また、めちゃくちゃヨシヨシされた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
(2021/12/11)
次めちゃくちゃ甘いです(∩´∀`)∩
2人、お好きですか(*'ω'*)?
とたまに聞いちゃう('∀')
少し時が過ぎた所で、隣で玲央がまた笑いながら。
「優月、おやつ選ばねえの?」
「……ん」
「早く行かねーとクロに触ってる時間なくなるぞ?」
じ、と見つめて笑う玲央に、ん、と頷いた。
「……これにする」
もう早く買って、クロの所に行こう、と立ち上がると。
「飲み物も買ってこうぜ」
ひょい、とおやつを奪われて、玲央がドリンクコーナーに歩いて行ってしまう。
「玲央、それ……」
咄嗟に呼んだら、くる、と振り返った玲央が、真顔で。
「あのさ、優月。一緒に居る時のは、オレが払う」
「――――……」
「と思ってるけど――――……言いたい事ありそうだから」
玲央は、クスクス笑いながら。
また頭ポンポンしてくる。
「帰ったら話そ。とりあえずここは払う。飲み物どれがいい?」
「……麦茶」
「ん」
「……ありがとう」
「ん」
ふ、と笑って、玲央は歩いてく。
――――……何だかなー、玲央。ほんと、カッコいいんだけど。
うーん。……なんだかな。
玲央は良いって言うけど。……オレが気になるだけ、かー……。
ちょっと考えていたのだけれど、前方に、レジでおばちゃんたちが待ち構えている雰囲気が見えて、一気に、そっちに気を取られた。こっちは後で話そう……。まずこのおばちゃんたちをクリアしないと……。
「お願いします」
玲央が言って、台に商品を置くと。
1人のおばちゃんがピッピッとレジ作業。
なぜか、というか、理由は分かってるけど、もう1人のおばちゃんもすっかり品出しをやめて、隣に居るし。
このレジにおばちゃん達が2人並んでるの、普段、見ない。
いつも1人がレジで、1人は品出しとか掃除とか。混んで来たらもう1台のレジには入るけど。
……もう、興味津々な視線が……。
玲央が会計をしてる間、手の空いてる方のおばちゃんがオレを見て。
「優月くん、玲央くんとは……」
「――――……」
「……すっごく、仲良く見えるけど……」
遠回しすぎて。
もう、いっそはっきり聞いてくれた方がー!と思った瞬間。
会計を終えた玲央が、ふ、とオレを見てから。
「すごく仲良いですよ? な、優月」
この場に必要ないんじゃないかと思うような、キラキラの笑顔で。
玲央は、おばちゃん達に微笑みかけてから、オレに視線を向ける。
何て顔で笑っちゃうんだと思いながら、おばちゃん達に視線を向けると。
……おばちゃんたちがすっかりやられてた。
「それってもしかして……」
もうすでにおばちゃん達、叫びそうなのに。
ふ、と玲央がまた笑んで。――――……ていうか、もうとどめ、みたいな。
「てことで。また優月と一緒に来ますから、よろしく」
おばちゃんたちが何か言う前に、玲央が、「優月行こ」とオレを引いて、コンビニを出た。
自動ドアが閉まって、すこし急ぎ足で離れてから、ぷ、と笑ってる玲央。
「玲央、おばちゃんたち、絶対叫んでる……」
「だろーな」
クスクス笑う玲央。
「あんまり期待されてたから」
「そうだけど……」
「面白かったな?」
「――――……」
悪戯っぽい顔して。
――――……じっとオレを見つめてくる。
こんな顔も、するんだ。玲央。
――――……なんかもう。
……ああ、もう。
「うん」
ふふ、と笑ってしまう。
ほんと――――…… 好き、玲央。
そんな風に思ってると、また、めちゃくちゃヨシヨシされた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
(2021/12/11)
次めちゃくちゃ甘いです(∩´∀`)∩
2人、お好きですか(*'ω'*)?
とたまに聞いちゃう('∀')
232
お気に入りに追加
5,157
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
親友だと思ってた完璧幼馴染に執着されて監禁される平凡男子俺
toki
BL
エリート執着美形×平凡リーマン(幼馴染)
※監禁、無理矢理の要素があります。また、軽度ですが性的描写があります。
pixivでも同タイトルで投稿しています。
https://www.pixiv.net/users/3179376
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
素敵な表紙お借りしました!
https://www.pixiv.net/artworks/98346398
つぎはぎのよる
伊達きよ
BL
同窓会の次の日、俺が目覚めたのはラブホテルだった。なんで、まさか、誰と、どうして。焦って部屋から脱出しようと試みた俺の目の前に現れたのは、思いがけない人物だった……。
同窓会の夜と次の日の朝に起こった、アレやソレやコレなお話。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
転生令息の、のんびりまったりな日々
かもめ みい
BL
3歳の時に前世の記憶を思い出した僕の、まったりした日々のお話。
※ふんわり、緩やか設定な世界観です。男性が女性より多い世界となっております。なので同性愛は普通の世界です。不思議パワーで男性妊娠もあります。R15は保険です。
痛いのや暗いのはなるべく避けています。全体的にR15展開がある事すらお約束できません。男性妊娠のある世界観の為、ボーイズラブ作品とさせて頂いております。こちらはムーンライトノベル様にも投稿しておりますが、一部加筆修正しております。更新速度はまったりです。
※無断転載はおやめください。Repost is prohibited.
ひとりぼっち獣人が最強貴族に拾われる話
かし子
BL
貴族が絶対的な力を持つ世界で、平民以下の「獣人」として生きていた子。友達は路地裏で拾った虎のぬいぐるみだけ。人に見つかればすぐに殺されてしまうから日々隠れながら生きる獣人はある夜、貴族に拾われる。
「やっと見つけた。」
サクッと読める王道物語です。
(今のところBL未満)
よければぜひ!
【12/9まで毎日更新】→12/10まで延長
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる