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◇週末の色々

◇蒼くんのキス?✳︎優月

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 結局、その後、変に盛り上がったギャラリーにのせられて、玲央たちが何曲か歌い終えたところで、ちょうど時間で、お開きになる事になった。
 玲央たちが一言ずつ軽い挨拶を終えて、その後、美奈子さんが、最後の挨拶をして、終了。

「結局終わりまで居ちゃったね。蒼くん、明日もあるのに、ごめんね?」
「それはいいよ」

 ……それはって。それはいいけど、じゃあ何がダメかって……。
 結局さっきから、蒼くんのムカつきモードは解けてない。
 
「蒼くん、オレ、後でちゃんと玲央と話すから。 大丈夫だよ、オレ。不思議と、傷ついてたりしてないから」

 むしろ蒼くんが玲央にムカついてる方が、困る……。

 蒼くんは、オレをじっと見る。
 あ。と、何か良い事、思いついた的な顔をしてる。

 何??

 思った瞬間。
 ステージの方から、拍手が聞こえてきて、玲央たちがステージから降りてくる。
 玲央がこっちを見てる。
 多分さっきのキス、玲央の方が、気にしてくれてる。

 だから、ほんとに、蒼くん、怒ってくれなくていいのにな。


 立ち上がって、周りの皆と同じように、玲央たちに拍手をしていた。
 ステージから降りてきた玲央たちが、周りの人達に別れを告げて。バラバラと、皆が散らばって帰り始める。

 大体の人が出口に向かって歩き出した頃、玲央たちが皆、さっきまで座ってたこっちの椅子の方に来ようとして。

 お疲れ様と迎えようと待っていた、その時。
 ぐい、と蒼くんに腕を引かれた。

 え?

 突然。
 椅子の横の、壁に背を押し付けられて。蒼くんの肘が、壁について。
 早い話、壁と、蒼くんの間に、囲われた。

「蒼く」
「黙ってろよ?」
「っ??」

 口を、蒼くんの片手で塞がれて、何を考えてるんだか、そこに蒼くんが唇をあててきた。
 なんかめちゃくちゃ近くに蒼くんの顔があって、一瞬。というか、しばらく意味が分からなくて、固まるしかない。


「――――……」


 なに、してんの、そうくん……?
 これじゃ、後ろからは、オレと蒼くんがキス、してるみたいにみえちゃうんじゃ……。って。…………まさか。

 オレが、あ、と気付いて瞬きを何回かすると。

 ゆっくり蒼くんが離れる。
 くす、と笑いながら。

「――――……意味わかったか?」
「……っもう!!」

 蒼くんの胸を押して、離れてもらう。

 案の定。
 玲央だけどころか、勇紀と甲斐と颯也まで、足を止めて、固まってるし。

「ち、ちが……っっ」

 なんかもう、恥ずかしくなって。
 ぶんぶん首を振ったけれど、なんか、熱くなる頬に、ますます怪しい気がして。

「優月、大丈夫、今すぐばらすから」

 ポンポン、と頭を叩かれて。

 もう、この人は、ほんとにもう……っ。
 見上げると。蒼くんは、ぷ、と笑った。


「ばらしたら、オレ、帰るからな?」
「――――……」


「オレがキスしたと思った時の玲央の気持ち、聞いてみな」
「…………」

 多分。
 ――――……奏人くんにキスされた玲央にムカついてたから。

 オレが、他の人にキスされたら、どう思うか。
 実地で、分からせた、というのか。

 そういう話なんだと思うけど。
 ほんとにもう。


「最後のは、無しだけど――――…… 今日、ありがとう、蒼くん」
「おう。ていうか、最後のに一番ありがとう、だろ? 一回、玲央も、思い知った方が良いと思うぜ?」
「…………っ」

「一応スーツ一式は持ってくからな」
「……うん。分かった。……ありがと、蒼くん」
「ん」

 くす、と笑って。蒼くんはオレから離れて。
 玲央に近付いていった。


 玲央は、さっきオレが振り返った時は、すっごく驚いてたけど。
 蒼くんに普通に向かい合った、ように見えた。

 蒼くんが何かを玲央に言って。
 玲央は、ちょっと黙ってから何か答えた。

 それから、また蒼くんが何かを言って、玲央から離れた。


「じゃあな、優月」

 片手を振る蒼くんに、うん、と頷くと。
 蒼くんは、帰って行った。




 ほんとに。蒼くんはやる事が……。
 たまに、オレにとっては、未知すぎる……。







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