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◇週末の色々

◇2人の今迄*玲央

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 打ち上げの途中で、歌ってと言われて、一段高くなってるステージの台に乗って、フロアーを見渡したら、優月を発見。

 嬉しそうに手を振ってるし。
 こっちも嬉しくなる。

 これが良い、と選ばれた歌の音楽がかかって。

 歌い始めたら、1人、一緒に歌いたいと言い出した。
 ワンフレーズだけ歌ってすぐ下ろさせたけど。
 気になって優月を見たら――――……どう見ても泣いてるし。

 ――――……まさか今の、デュエットしたから泣いてんじゃねえよな??

 普段の優月のセリフから考えれば、それで泣くのは違うとは思うのだけれど、じゃあなんで泣いているんだと、もう、泣いてる優月の事しか気にならなくて。

 曲が終わると同時に、優月の元に向かってしまった。
 ……ダメだって、分かってんのに。

  近づいたら、泣いてる優月が可愛すぎて。

 キスしないでいるのが、大変で。
  とりあえずその涙だけ、触れて、拭ったけれど。


 次の瞬間、ダメだろ、トイレ行ってこい、と優月の隣の人が言って。
 はっと気づいた顔をして、優月が急いで、出て行った。


 座ってと促されて、その人の隣に座る。

 ……すげえ、周りの視線が飛んできてたな…。
 良かった、優月にキスしなくて。

 あぶねえな、オレ。――――……泣いてる優月とか。
 引き寄せられるみたいにキスしそうになってるし。


 隣に居た人は、優月の「蒼くん」。
 蒼さん、と呼ぶことになった。自然と、玲央、と呼ばれる。

 優月の話からも、イケメンぽいなとは思っていたけれど。
 想像以上だった。 モデルとかじゃねえの?と思うけど、絵とか写真とか言ってたよな……。

 まあ、でも、顔もそうだけど。
 ――――……なんか、大人の余裕、みたいなのを、すごく感じる人で。

 幼馴染、近所の商店街の人達、友達たち、でもって、こんな感じの人にも可愛がられて、優月は生きてきたのか、と思うと。
 
 何か、優月があんな感じで生きてこれたのも分かる気もして。

 でも、優月があんな感じだから、可愛がられてきたのかなとも、思うし。

 どっちが先なんだか、分かんねえけど。
 どっちにしても、優月のあんな感じをずっと守ってきた人なのかと思うと。

 何となく、背筋が、伸びてしまう。

 この余裕な感じに、負けたくない、とも、思ってしまうけど。
 それは、ますますこっちが、ガキっぽいか、とも思いながら。

 
 優月が泣いた理由は。
 ――――……オレと離れたくないから。

 蒼さんが、離れろと言ったんなら、優月なら、アドバイス聞くとこなんだろうけど――――…… でも、蒼さんが言っても、オレと離れたくない、と、言って泣いたんだと聞いたら。

 さっきの涙が余計、愛しくて。
 今すぐ優月の所に行って、連れ帰りたいのだけど。

 まだ打ち上げも終わらないし。
 さすがに、投げ出して帰るわけにはいかないし。

 後で、優月と一緒に、蒼さんにも来てもらう事にしたけど――――……。

 来てからどうなるかも、ちょっと分かんねえな。
 
 まあ、とりあえず、雪奈に優月を見せて、頼むってことと。
 蒼さんが近くに居てくれたら、優月は大丈夫そうだし。

 ――――……ふ、とため息。


 ――――……奏人は、直接言った方がいいな……。
 男何人か関係したけど、続いてたのが、奏人だけってこと、気付いてるだろうし。奏人には、昨日、優月と一緒の所を見られてるし。


 少し気が重い。

 オレを本気で好きなんだろうってのも知ってたのに、何も言ってこなくて居心地が良いのを良い事に、ずっと続けて。もう2年位か?

 ――――……それで、オレが選ぶのが男とか。
 多分、奏人にしたら、納得いかねえだろうと、嫌でも分かる。
 ……女だったら、諦めたんだろうけど。

 今になって、優月を好きな気持ちで、奏人の立場からオレのやってた事を考えると――――…… すげえ、ひどいと、思うから。

 女含めて、全てのセフレの中で、奏人に言うのが、なんだか、一番、気が重い。

 昨日、優月と居る所に来た奏人。優月を先に行かせて、2人になると。
「玲央、忙しい?」と言われた。
 ああ、と答えると。「今の子ってさ――――……」 そう言いかけた奏人は、まっすぐ奏人を見つめたオレに、「やっぱりいいや」と言った。
 そのまま、明日ライブでね、と笑顔で立ち去って行った。

 ……優月の事を、聞きたかったんだろうけど。
 あそこで、無理やり言葉を切った気持ちも、何だか今だと痛い程、分かってしまう。


 ……どう、すっかな。
 ここじゃない、方がいいよな。

 ――――……奏人だけは、2人きりの時に話そう。

 そう決めて、今日は、もうこれ以上動かない事に決めた。

 一晩とかのセフレは、SNSで。
 長かった女のセフレは、とりあえずメッセージを送って、返事次第で個別に対応する。奏人だけは、会って話して、ちゃんと、セフレを解消する。

「玲央、大丈夫? まだ考えてる?」
「いや――――…… むしろ今日はもう、動かねーから」

 そう言うと、勇紀は、そっか、と笑った。

 勇紀が逆隣にいる彼女の方を見て、楽しそうに話しだした。
 颯也は甲斐と話してて。美奈子さん達は、フロアの端でスマホを見ながら話してる。多分さっきの打ち合わせ中。


 ――――……オレが、適当にやってきたこと。
 今更好きな奴が出来たとか言い出して、協力してもらったり、相談したり。

 悪いなと思いながらも。
 ――――……ありがたいなとも、思う。


 これで全部、片づけたら。
 

 ふ、と、奥の扉が開いたのが見えた。
 優月と蒼さんが、入ってくる。

 顔ははっきりは見えないけど、もう涙を拭いてるような動きじゃない。
 ちゃんと泣き止んでるな……。

 さっきみたいな事で泣くのも。
 もとはと言えば、優月が、オレと居ない方が良いって、心の底で、思ってるからなんだろうなとも、思う。

 オレと居ない方がいいから、蒼さんが言った時に、そうすべきだと思ったけど、でも、オレの事が好きだから、葛藤して泣いた、て事だろうし。



 ちゃんと、過去の関係、全部片づけたら――――……。
 優月に、言おう。ちゃんと。
 

 








◇ ◇ ◇ ◇

あとがき というか、告知♡

◇ ◇ ◇ ◇


今日新しいお話載せました♡

共学校だけど男子寮ありの、高校生のお話(^▽^)
よろしければ~♡
https://www.alphapolis.co.jp/novel/551897599/837533564

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