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◇進展?

「絵」*玲央

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 練習がやっと終わって、3人に構われてる優月を自分のもとに引き戻した。

 長い付き合いになる、だの。
 オレが落ち着くのがここだと思うと笑える、だの。

 なんだか勝手に楽しそうな3人と別れて、2人で優月のマンションにたどり着いた。


「すぐ用意するから、待ってて?」
「ん」

 何でなのか、自分の家なのに居心地悪そうにしながら、優月が奥の部屋に消えていった。


 ――――……なんとなく、少し部屋を見回す。


 綺麗にしてんな。なんとなく、優月っぽくて……心地良い部屋。


 ふと、机の上にある2枚の紙が目に入ってきた。


「――――……」

 ――――……これって。


 そっと、触れる。
 絵が描いてある紙。


 これって、絶対――――…… オレ、だよな。


 ……いつ描いたんだ、これ。
 月曜からずっとオレのマンションに連れて行ってたんだから、描いたのは金土日のどっかだよな。

 ――――……オレとの約束。
 考えながら、描いてたって、事だよなきっと。

 なんかすげえ、カッコよく描いてくれてる気がする。
 ふ、と笑ってしまっていると。

 背後から優月の声がした。

「玲央、おまた――――……」
「なあ、これって、オレ?」

 優月の言葉を遮って、振り返りざまそう聞いた。


 その質問に不思議そうな顔をした直後。

 
「ち……ちが――――……」

 ぶるぶる首を振りながら否定してるけど。
 一生懸命、取ろうとして来る優月の反応。
 否定するだけ、無駄だよな……。


「違くないよな? オレだろ?」
「……っ……」


 みるみる真っ赤になっていって。


「すげー真っ赤……」

 優月って、なんでこんなに真っ赤になるんだろうか。
 頬、また、熱い。


「何で? 別にいいじゃん。うまいし」
「……っ……」

「もらっていい?」
「……っ……」

 すごい首を振られて、拒否される。


「何で?」
「……っ……月曜の約束をどうしようって考えてた時に……つい、手が動いて……でも、顔見てたの数分だったし……なんかうろ覚えで……こんなのあげられない」

「――――……でも、絶対オレだって分かるけどな」
「――――……っ」

 何を言っても、ブルブル首を振ってる。


「何でそんな恥ずかしいの? 真っ赤すぎだっつの」
「……っ……」

 どこまで赤くなるんだろう。そう思いながら見ていたら、涙まで浮かんできた。

 ――――……泣いた? なんで?
 もう、何か、謎。 でも、可愛い。


「あーあ、泣いてるし……」

 思わず笑ってしまう。絵を、机に置いて、抱き締めた。


「ほんと――――…… 可愛いなーお前」


 キスして、舌、絡めて、髪の毛を撫でてやってると。
 ――――……少し落ち着いてきたらしい。

 ちゅ、と頬にキスしながら、思わず笑ってしまうと、見上げてくる瞳。


「――――……絵、ちょーだい?」
「……っなんで……」

「んー。よく分かんねーけど……欲しいから」


 よく分かんねえって言ったせいで、余計に、なんで、と思ったらしい。複雑そうな顔で見つめてくる。


「お前が、初めてオレを描いた絵だろ? なんか欲しい」
「――――……今度、ちゃんと、描くよ?」

「それもいいけどさ」
「――――……」


 無言で見つめていたら。結局、もらえることになった。
 ものすごい、渋々、だったけど。


 優月が、初めて描いたオレの絵。
 オレが持っていたいに決まってるし。

 つーか。普段絵描いてる奴のくせに、何でそんな恥ずかしがるんだ? 絵って、描いたら見せるものなんじゃねえのか?
 意味、わかんね――――……。


 あー……。




 ……オレが、優月の前で歌ってて、照れくさいのと、同じか?


 なんかそう思ったら。
 急に腑に落ちた。






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